アメリカ中間選挙、どこに向かうアメリカ

昨日、あるところでばったり出くわしたのがオバマ大統領時代に同政権内でご活躍していた某氏。氏は私の顧客でもあるので疎遠ではないのですが、久々に「どうだい?」という話になり、私から「中間選挙、どう思う?」と話を振れば「Impeachment(弾劾)だ。絶対だ。俺を信用してくれ」と。彼はまだ政府関係の仕事をしているので内部事情になるためそれ以上聞き出すのもどうかと思い、ぐっとこらえ別れましたが、面白いコメントだと思います。

もちろん、これを鵜呑みにするわけでもないのですが、今回の選挙ではそのようなシナリオを描くことも頭に入れるべきなのだろうな、という気がしました。

昨日の民主党大会でトランプ氏が民主党が勝てば5000㌦を全国民に配るという話に、ある寓話を思い出しました。この寓話は私の長年の友人のユダヤ人から30年近く前に聞いた話ですが、北米ではごく普通に使われている話だと理解しています。以下がその概要です。

トランプ大統領 ホワイトハウスHPより

「あるクラスの選挙で、一人の候補者が『僕が当選したら毎日お菓子を配る!』と宣言して大人気になった。しかし先生に『そんな予算もルールもないでしょ』と怒られ、結局クラスは何も良くならなかった。もう一人の『地味だけどクラスのために頑張る』と言った子は最初は票が集まらなかったが、最後にみんなはどちらが誠実だったかに気づいた」

この話は変形バージョンがいくつかあるようですが、趣旨はお菓子を配る(お金を配る)ことで人心を買うのではなく、本質的な価値を見出すべきだという話で、トランプ氏の5000㌦の話はまさに「僕が当選したら…」のフレーズにぴったり当てはまるのです。

もちろん、このトランプ氏のこの話は総額200兆円という財源がなく、議会で通る話でもない単なるブラフと言い切ってよいでしょう。ちなみにトランプ氏は第2期に就任してから現金を配るというのは今度で4度目の話(DOGE配当、関税還付、ヘルスケア還付に次ぐもの)で過去3度は一度も実施されていません。ウソもほどほどにしてほしいと気がついている民主党派や無党派層の国民は辟易としているのであります。

似たような話は以前にもお伝えしたベッセント氏のほら吹きもあります。原油、円、債券相場へのけん制、及び「私が胴元」発言に市場では「ベッセント氏のはったり」と聞き流す傾向が強まっています。春ごろに片山大臣が原油の先物を売って原油安を誘発し、それでドル安円高を演出することを隠し玉で考えていると述べたことがあります。正直、常軌を逸するプランで財務省は原油相場をもてあそぶ気かと思いました。これもアメリカあたりからの入れ知恵だろうと想像していますが、ギミッキー(手品のような)手法は現代の市場の大きさと影響力を考えると頭で考えられるようなレベルではないのです。

選挙が近づくと皆、心地よい話を聞きたいのです。特に雇用と物価には絶対的な安心感が必要です。FRBが9月16日に利上げするのではないかという下馬評があります。トランプ氏はさせないとしています。普通、選挙前に国民が嫌がる利上げはしないようにします。私も9月はやり過ごせなくもないと思っています。ただ、選挙前の10月28日にもFOMCがあるのです。原油価格が再び跳ね上がってきており、インフレ傾向が再度強まるのが確実視される中、ウォーシュ議長が選挙前2度の定例政策決定会合で現状維持で耐えられるかは微妙です。

こう見ると中間選挙は政権主導で、議員はその下についているような感じになり、三権分立からするとゆがんでいるようにも見えます。

選挙情勢はどうか、といえば選挙のPOLL(世論調査)だけを見れば民主党が有利。もう少し細かく見ると下院は8-9割の確率で民主党が制するが、上院は現時点でFirmなのが民主、共和が共に47議席で、残り6議席が激しい争いとなっている、という状況です。ただまだ流動的だと思います。ここにきて割と影響が出ているのがカナダによるアメリカ苛め。これによりアメリカ各州で大幅な雇用や経済への影響が出そうでトランプ氏の対カナダ政策はやりすぎだという声が徐々に大きくなっています。一方カナダのCBCによるとカーニー政権はアメリカ中間選挙で影響が出るような対抗措置を取ったと記しています。明らかに中間選挙はアメリカ国内だけみても判断できなくなっているとも言えます。

中間選挙までに外交絡みで注目されるのはイラン戦争の行方、ウクライナ戦争の行方、9月24日の習近平氏の訪米、10月27日のイスラエルの総選挙になります。個人的には習近平氏とは穏やかな話になるとみています。場合により北朝鮮の話題が出るかもしれませんが、それはおまけのような感じでしょう。イラン戦争は当面次の区切りが出来ず、選挙後もどうなるかわからない状況です。ウクライナ戦争は両国がヘタって来ており、15R制のボクシングならば12,3ラウンドにいるように感じます。ただこれも中間選挙までには収まらず、トランプ氏への追い風にはならないとみています。

では民主党なら良いのか、というと先日のブログにも書いたとおり、時代が呼んでいない気もするのです。国民にとって政治が邪魔者になっている印象すらあります。茶番とまでは言いませんが、レベルの低い選挙戦のように感じます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月11日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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