「極右政党」 AfD初の州首相誕生への道

ドイツ東部のザクセン=アンハルト州議会選挙で極右「ドイツのための選択肢」(AfD)が単独過半数こそ逃したが圧勝、得票率43.8%で定数83中、議席39を獲得した。AfDは現在、第1党として新政権発足を目指して連立工作を開始している。

ザクセン=アンハルト州議会

AfDの筆頭候補者ウルリヒ・ジークムント氏は、政権を樹立する正当性があると主張しているが、第2党の「キリスト教民主同盟」(CDU)ら他の政党はAfDとの連立を拒否しているため、連立交渉が難航することが予想される。政権の発足期限は定められていないが、選挙後30日以内に新議会が招集されることになっている。

AfDの筆頭候補者ジークムント氏とアリス・ワイデル党首 ジークムント氏SNSより

まず、6日に州議会選挙の最終結果を整理する。AfDは得票率43.8%で議席39、第2党CDUで17.2%で15議席、第3党「社会民主党」(SPD)で9.3%、議席8、第4党「緑の党」8.9%、8議席、第5党「左翼党」8.6%、議席8議席、そして最後に「サーラ・ワーゲンクネヒト同盟」(BSW)5.3%、5議席。投票率は77.8%だった。

ドイツでは、他の政党はAfDに対して通称「防火壁」を作り、AfDとの連立協力を拒否してきた。そのため、過半数を有する連立政権を樹立することが難しくなる。州レベルでは、少数与党政権が存在する。ザクセン=アンハルト州では1994年から2002年にかけ、そして現在のテューリンゲン州とザクセン州でもそうだ。

2024年の選挙でAfDが第一党となったテューリンゲン州では、CDU・SPD(社会民主党)・BSWによる政権が、必要な議決の際、左翼党の議員団による支持を必要としている。一方、ザクセン州では、2024年以降、「赤・黒」の少数与党政権が、法案提出などの政策運営において、主に野党会派(BSW、左翼党、緑の党)との「協議の仕組み」を通じて事前の調整を行っている、といった具合だ。ザクセン=アンハルト州は現在、CDU、SPD、FDP(自由民主党)の連立政権によって運営されてきた。FDPは今回の選挙で議席獲得に必要な得票率5%をクリアできなかった。

CDUのメルツ党首(連邦首相)は、これまで一貫して「左翼党」およびAfD(ドイツのための選択肢)との公式な協力関係を否定してきたが、最近のインタビューでは、ザクセン=アンハルト州においてAfDを排除しつつ「左翼党」の支持を仰ぐ政権のあり方について、初めてその構想を示唆して注目された。具体的には、CDU、SPD、緑の党の3党で過半数を確保できなかった場合、左翼党の支援を受けるというのだ。ただし、メルツ氏は依然として、政策協定の締結や「左翼党」を政権の枠組みに直接組み入れることについては否定的な姿勢を崩していない。

ところで、ザクセン=アンハルト州議会選では、BSWはAfDとの連立の可能性、ないし間接的な支援にポジチブな発言を繰り返してきた。BSWの創設者ザーラ・ワーゲンクネヒト氏は、州首相選出の決選投票で棄権するといった形で、AfD候補が州首相に選出されるのを同党が支援する可能性を示唆している。

BSWは9日、AfDから連立に関する協議の申し入れを受諾した。同党の広報担当者が同日発表したところによると、州執行委員会は全会一致で協議を行うことを決定した。「AfDとの会合では、エネルギー供給、教育、平和政策といったテーマについて意見交換を行う予定」という。BSWがキングメーカーの役割を演じることにことになるかもしれない。

BSWの州代表トーマス・シュルツェ氏は、「我々の立場は選挙戦当時と変わらず、あらゆる政党と対話を行う用意がある」と述べた。同氏は、他党がAfDとの対話を拒否していることについて、「政治的振る舞いとしてお粗末だ。我々の州における民主主義の文化にとって良い兆候ではない」と批判している。ちなみに、AfDとBSWが連立を組めば、39議席に5議席が加わり、44議席で過半数を超える。

独週刊誌シュピーゲル誌(8月14日号)から「ドイツで最も危険な男」と烙印されたジークムント氏は移民の「再移住」(レミグレーション)計画への関与や、外国人に対する排外的な発言により、民主主義体制の脅威として監視対象となっている。2024年初頭、ポツダムで開催された右翼過激派の秘密会合に参加していたことが報じられ、ドイツ全土で物議を醸した。さらに、司法の独立性への攻撃や、歴史教育におけるナチス時代の相対化といった政策を推し進める一方、TikTok等のSNSで温和なイメージを演出してきた。

いずれにしても、同州の情報機関から「確実な右翼過激派」と認定されているAfDが州首相の座を獲得すれば、単に州レベルだけではなく、連邦レベルの政治にも大きな影響を与えることは必至だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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