中道が「ひとり政党」で政党交付金を受け取るのは脱法行為

中道改革連合が事実上の解体を決めた。立憲民主党出身者は新党をつくり、公明党出身者は公明党に戻る。しかし中道そのものは解散せず、国会議員を1人だけ残して存続させるという。その理由の一つが政党交付金である。

中道には2026年分として約23億4000万円の政党交付金が予定され、このうち約11億7000万円がまだ交付されていない。党を解散せず「ひとり政党」として残せば、この未交付分を受け取れる。小川淳也代表は、2月の衆院選で発生した民間業者への支払いが10億円以上残っており、「支払いを完済するまで解党できない」と説明している。

「1人でも政党」という法律の抜け穴

政党助成法では、所属国会議員が5人以上いれば「政党」になるが、5人未満でも、国会議員が1人以上所属し、直近の国政選挙で得票率2%以上などの要件を満たせば政党として扱われる。

中道は2月の衆院選比例代表で約1044万票、得票率18.23%を獲得しているため、議員が1人になってもこの要件を十分満たす。つまり中道のやり方は、少なくとも現在の法律の条文から見れば、直ちに違法とは言えない。

だが「違法ではない」ことと「制度の趣旨にかなっている」ことは別問題である。49人の衆院議員を抱えていた党が、48人を別の党へ移し、実質的な政治活動の主体も別組織へ移す。

それでも1人だけ元の党に置いておけば、49人の政党だった時代を前提に算定された交付金を受け取り続けられる。これは法律の抜け穴を利用した脱法行為ではないか。

みんなの党は国庫に14億円返した

過去には別の処理をした政党もある。2014年に解党したみんなの党は、未使用の政党交付金を国庫に返還した。当時の代表だった浅尾慶一郎氏は後に、残余財産を含め約14億円を国庫に返したと説明している。浅尾氏自身も、政党交付金をまず返還し、その後に債権債務を整理して残余財産を返したと政府の記者会見で説明した。

淺尾慶一郎氏(東スポ)

維新の党が2015年に分裂した際も、東京側と大阪側の協議で、必要経費を支払った後の政党交付金の残額は国庫に返納することで合意した。

もっとも維新の場合、その後、大阪側の一部支部から別の政治団体への資金移動について「返還逃れではないか」と批判された経緯もあり、「維新はすべてきれいに返した」と単純化することはできない。

それでも重要なのは、「党を畳むなら、支払いを済ませ、残った税金は国庫へ戻す」という原則だ。これが立法趣旨であることは、立法府の国会議員なら知っているだろう。

借金があるから税金をもらう?

中道の小川代表は「未払いの選挙費用がある以上、政党交付金を受け取らなければ取引先への支払いを踏み倒すことになる」と主張するが、これは論点をすり替えている。

民間業者への債務は支払わなければならないが、選挙の借金は議員個人の債務である。それを政党交付金で返すのは政党助成法違反である。

一般企業が破綻したとき「会社を形式上1人だけ残しておけば、国が来月と再来月に補助金を振り込んでくれる」という制度はない。

消滅した政党への交付金は返還するのが当然

政党助成法は、政党が解散した場合、残った政党交付金を国庫に返還させる仕組みを設けている。国会でも過去に「返納逃れ」を防ぐための法改正が議論されてきた。税金である以上、政党活動を終えた組織に資金を残さないというのが制度の基本だからだ。

ところが今回は、解散しなければ返還問題そのものが発生しない。政治家の大半も政治活動も別の党へ移す。しかし議員を1人だけ残し、政党という「箱」だけ維持して、残りの11.7億円を受け取る。

これは法律が想定している政党の実態と、交付金を受け取る主体とが大きく乖離している以上、制度の抜け穴を利用した脱法行為だという批判は免れない。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント

  1. 江原 正司 より:

    政党助成法第14条によって「政党交付金や政党基金を原資として直接、借入金を返済することは認められていない」と理解しますが、中道の主張は道義的な問題のみならず、法律違反ではないでしょうか。