玉城デニー知事、スタッフによる「貧困対策」応援動画が炎上:「8年間何をしていたのか?」

沖縄県知事選の投開票を13日に控える中、3選を目指す現職の玉城デニー知事がXに投稿した応援動画が波紋を広げている。

「応援動画」の女性をめぐりSNSで指摘相次ぐ

玉城知事は11日、「私を応援してくださっている方から応援メッセージをいただきました」として女性の動画を投稿した。女性は「お金がなくて病院にかかれない。毎日3食食べることができない。そんな貧困で苦しむ人がいなくなる社会をめざしています。だから、やっぱりデニーさんを応援します」と訴えた。

これに対しSNSでは、動画に出演した女性が玉城知事の街宣活動にも参加している人物ではないかとの指摘が相次いだ。「一般県民の声のように見せるのはおかしい」「自作自演ではないか」といった批判も広がった。

一方、女性の知人を名乗る人物からは「一般のボランティアで、街宣スタッフという表現は誤解を招く」との反論も出ており、陣営が有償スタッフを一般県民に装わせたなどと断定できる状況ではない。

ただし、今回の動画は別の意味でも玉城知事に厳しい問いを突き付けることになった。

8年間の県政に突き付けられた「では何をしてきたのか」

玉城知事は2018年の初当選以来、2期8年間にわたって県政を担ってきた。今回の政策集でも「県知事に就任して2期8年間」としたうえで、こどもの貧困や県民所得の向上を重要課題として取り組んできたと強調している。

3期目には「誰ひとり取り残さない優しい沖縄」を掲げ、生活困窮者や子育て世帯への支援をさらに進めるとしている。

それだけに、選挙直前に「病院にかかれない」「3食食べられない」という深刻な生活困窮を前面に出したことには、「では8年間の貧困対策で何が改善したのか」との反応が出ている。

新人候補であれば現状への批判は県政刷新を訴える材料になる。しかし、8年間行政のトップを務めてきた現職の場合、同じ訴えはそのまま自らの県政に対する評価にも跳ね返ってくる。

貧困対策を実績に掲げる玉城県政

もちろん、玉城県政が貧困対策を何もしてこなかったわけではない。

中学生までのこども医療費の窓口負担無料化や、住民税非課税世帯の中高生のバス・モノレール通学費無料化、学校給食費への支援などを実績として挙げている。

沖縄県自身も、こどもの貧困を重要課題として位置付け、調査や支援事業を続けてきた。沖縄の所得水準やひとり親世帯の多さなどを考えれば、貧困問題が一朝一夕に解消できるものではないことも確かだ。

しかし、だからこそ現職に求められるのは「貧困をなくします」という決意表明だけではなく、8年間で何がどこまで改善し、何ができなかったのかという検証だろう。

「これから頑張ります」で済むのは、通常は新人候補である。

接戦の最終盤で思わぬ「ブーメラン」

今回の県知事選では、前那覇市副市長の新人・古謝玄太氏と現職である玉城知事が激しく競り合っている。

その最終盤で出された「病院にも行けない」「3食も食べられない」という応援動画は、玉城知事への共感を呼ぶ狙いだったとみられるが、結果として8年間の県政実績を改めて問う材料にもなった。

動画の出演者が誰だったのか以上に、有権者にとって重要なのは、8年間の玉城県政で県民生活がどう変わったのかという点だろう。

「貧困をなくす」という公約が3期目への期待につながるのか。それとも、「8年間やって、なぜまだその訴えなのか」という疑問を強めるのか。

現職が掲げたはずの応援動画が、思わぬ形で自らの「8年間の通信簿」を映し出すことになった。

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