高市早苗首相の内閣改造が発表された。木原稔官房長官、片山さつき財務相、茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相ら政権の骨格は維持する一方、総務相など10人を交代させる。

今回の改造で特に目を引くのは、林芳正総務相が閣外に出ること、日本維新の会が初めて閣僚を送り込むこと、そして自民党派閥の政治資金問題で収支報告書への不記載があった議員が入閣することの3点だ。
林芳正氏だけが閣外へ、「ポスト高市」の芽を摘む人事か
最大の注目は林芳正氏の処遇だ。木原官房長官、片山財務相、茂木外相、小泉防衛相、赤沢亮正経済産業相、上野賢一郎厚生労働相、城内実経済財政担当相ら主要閣僚は留任する一方、林氏は総務相を退任して閣外に出る。後任には藤井比早之氏が起用される。
林氏は2025年の自民党総裁選で高市氏と争った有力政治家で、「ポスト高市」の一人とみられてきた。小泉氏や茂木氏を閣内に残し、小林鷹之氏も党政調会長にとどめるなか、林氏だけが政権中枢から離れる。
高市首相は、総裁選のライバル候補の一人を閣外に置くことになった。林氏の周辺には、来年の総裁選に向けて閣内に留まっては戦いにくいとの声が強かったので、これは本人の希望ではないか。
維新がついに閣内へ、連立は「政策協力」から共同責任へ
もう一つの注目点は、日本維新の会の初入閣だ。維新から中司宏氏が規制改革などを担当する特命担当相として入閣する。これまで維新は自民党との連立に参加しながら、閣僚を出さない「閣外協力」に近い立場を保ってきた。しかし今回、正式に閣内に入ることで、高市政権の政策だけでなく、政権運営そのものに責任を負うことになる。
維新にとっては大きな賭けでもある。社会保障改革や規制改革、副首都構想など自党の政策を実現しやすくなる一方、物価高や景気悪化、政権の不祥事が起きた場合には「自民党とは別です」という言い訳は通用しにくくなる。
高市首相にとっても、維新を閣内に取り込むことで政権基盤を安定させる効果が期待できる。自民党と維新の関係は、これまでの選挙協力・政策協力から、いよいよ本格的な「共同統治」の段階に入ったといえる。
「政治とカネ」の不記載議員が復権
そして最も議論を呼びそうなのが、自民党派閥の政治資金事件をめぐり、政治資金収支報告書への不記載があった議員の入閣だ。新たに文部科学相となる関芳弘氏、農林水産相となる簗和生氏は、不記載問題で名前が挙がった議員である。
政治資金問題が表面化して以降、不記載議員は党や政府の主要ポストから距離を置かれてきた。それだけに今回の登用は、高市政権が事実上「禊は済んだ」と判断したことを意味する。
高市首相は政策能力や実務経験を重視した「適材適所」と説明するだろう。しかし野党側から見れば、格好の攻撃材料だ。「政治とカネ」をめぐる国民の不信が完全に消えたとは言い難いなかで、不記載議員を再び閣僚に起用する政治的リスクは小さくない。
骨格維持でも、政治的にはかなり大胆な改造
そのほか、法相には山下貴司氏、国家公安委員長には葉梨康弘氏、復興相には細野豪志氏、国土交通相には井林辰憲氏、環境相には笹川博義氏、デジタル相には古川俊治氏が起用される。
表面的には主要閣僚を残した「骨格維持型」の改造である。しかし中身を見ると、林氏の閣外転出、維新の初入閣、不記載議員の復権という政治的メッセージの強い人事が並ぶ。
つまり今回の改造は「誰が大臣になったか」以上に、誰を外し、誰を政権に引き込み、誰を復権させたかを見るべき人事である。高市政権はこの布陣で次の総裁選まで走る構えだ。







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