
- 日本で働く外国人257万人を、ある日一斉に国外へ出したらどうなるか。公的データと公的試算だけで、SF的に最後まで追いかけました。
- GDPは1年目▲2%、3年目▲4.8%、5年目▲10%。よく引用される「▲2〜3%」は長期モデルの数字で、突然いなくなるケースには甘い。最初はそこそこ平気で、3年目から雪だるま式に悪くなるのがポイント。
- 物価は、人手のいる外食・介護・建設・物流から上がる。景気は悪いのに物価は上がる、スタグフレーション型。
- 外国人が払っている社会保険料、年約1.9兆円が消える(筆者計算)。
- 「給料の大半を母国に送る」はウソ。送金は賃金総額の約15%、外国人が生む付加価値の約5%。そもそもGDPは「どこで作ったか」で数える。
- 治安は良くならない。働く外国人は犯罪率で見て日本人とほぼ同じ。逆に不況で強盗は最大2.5倍になり得る(殺人はほぼ横ばい〜2割弱増)。
- おまけ:4.5万〜11万の事業所が倒産・廃業、5年目に日本人の失業者が約270万人増。建設業が崩れて、橋も下水道も直せなくなる。
- 正直な但し書き:数字の多くは公的試算の比例外挿と、わたしが置いた仮定です。幅はかなり大きい。でも、どの資料を使っても「方向」は同じでした。
こんにちは。永江です。
「外国人はいらない」「出ていけ」。最近、SNSでも選挙でもよく聞きますよね。
じゃあ本当に出ていったらどうなるのか。現実的には不可能だが、試しにChatGPTに試算させてみたら「GDPは2〜3%減、直後は3〜5%減もあり得る」という答えが返ってきました。でもこれ、ちょっと甘い。しかも数字の出典がないものが混じっている。
なのでClaudeで全部一次資料に当て直して、経済・物価・社会保障・送金・治安の順にSFとして最後まで追いかけました。途中でわたしの見立てが外れたところもあります(1年目のダメージは思ったより小さく、殺人は思ったほど増えない)。それも含めて全部書きます。
対象は、厚生労働省に届け出のある外国人労働者257万1,037人(2025年10月末)。届出が義務化された2007年以降で過去最多の数字です。特別永住者はもともとこの統計の対象外なので、今回の話にも入りません。
働いていない家族や観光客は残る、という設定にしておきます。つまり「働く外国人だけが消える日本」。
257万人って、日本の就業者の約3.8%。26人に1人です。多いと思う?少ないと思う? 少ないと思った人ほど、この先を読んでほしい。
| 外国人労働者が働いている産業 | 割合 |
|---|---|
| 製造業 | 24.7% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 15.2% |
| 卸売業・小売業 | 13.3% |
大事なのはここ。外国人労働者の36.1%は従業員30人未満の事業所で働いています。大企業じゃない。町の弁当工場、部品工場、農家、介護施設、ホテルの清掃、コンビニの深夜。
10人の工場で3人が消えたら、生産が3割落ちるだけでは済まない。ラインの一工程が止まれば、全部止まる。残った7人の日本人も仕事ができなくなります。
伸びている分野も見ておくと、医療・福祉は外国人労働者が前年比25.6%増と大きく伸びている。介護の現場は、ここ数年でどんどん外国人頼みになっているんです。その人たちが、ある朝いない。
よく引用されるのが、経済産業研究所(RIETI)の北尾早霧・武田望の論文(2025年11月)。外国人労働者がいることで、労働力と総生産は「いない場合」より2〜3%高い、という結果です。なので「追い出したらGDPは2〜3%減る」とよく言われる。でもこれ、甘い。
このモデルは「最初から外国人がいない日本」と長い目で比べたもの。工場も設備も産業構造も、外国人がいない前提でとっくに作り直された世界の話なんです。しかも前提にしている外国人労働者は2024年の約230万人。明日いきなり257万人が消えて、設備も店もそのまま、という今回の話には使えない。使うなら「最低でもこれくらい」という下限です。
もっと今回の設定に近い試算があります。参議院の調査室が2019年に出した『経済のプリズム』No.176(山内一宏)の補論で、「外国人労働者が日本を選ばなくなって、労働者が100万人足りなくなったら」をマクロモデルで計算している。これを257万人に比例で引き伸ばすと、こうなります。つまり政府の試算です。
| 年 | 100万人減の試算 | 257万人に換算 | いまのGDP規模で |
|---|---|---|---|
| 1年目 | ▲0.76% | ▲2.0% | 約13兆円 |
| 3年目 | ▲1.85% | ▲4.8% | 約33兆円 |
| 5年目 | ▲3.88% | ▲10.0% | 約69兆円 |
外国人労働者257万人がいなくなった場合の実質GDP。3年目にコロナ(2020年度▲3.8%)を超え、5年目に1割が消える。面白いのは形です。1〜2年目は▲2%台で「あれ、意外と平気じゃん」となる。需要の冷え込みが広がるには時間がかかるし、需要が落ちれば輸入も落ちて一部が相殺されるから。ここはChatGPTの「直後に3〜5%減」より小さかった。
ところが3年目から、給料の落ち込みが積み上がって消費が減り、需要が供給以上に縮み始める。雪だるま。5年目で▲10%。ChatGPTの「数年後は2〜3%に落ち着く」とは、向きが真逆です。
ちなみに外国人自身が生み出している付加価値だけでも、わたしの計算で年約19兆円(外国人の平均賃金が日本人全体の約75%なので、その分生産性を割り引いて計算)。これが消えたうえに、日本人が働く工場や店まで止まる二次被害が乗ってきます。
注意点も書いておきます。このモデルは日本人と外国人を区別していない「労働者100万人減」の計算で、257万人への引き伸ばしはわたしの単純計算。モデル自体も幅を持って見るべきものです。それでも、「2〜3%で済む」と言い切る根拠はどこにもない。
人がいないと何が起きるか。実はもう起きています。日銀の田村直樹審議委員は2024年9月の講演(日付は資料番号からの推定)で、客室稼働率を抑えざるを得ないホテル、ドライバー不足のタクシー、人手不足で設備をフル稼働できない製造業の例を挙げている。いまの時点でこれです。
日銀の調査統計局も2026年3月の論文で、労働と資本の置き換えが難しい労働集約的なセクターを中心に、供給制約が経済活動を抑え、賃金と物価を押し上げやすくなっていると書いている。別の日銀の論文は、労働の供給制約が深刻化すれば物価上昇圧力が「非線形的に」強まる可能性まで指摘しています。
非線形。つまり、人手が少し減ると値段が少し上がる、じゃない。ある線を越えると一気に跳ねる。257万人の一斉退去は、その線を確実に越えにいく実験です。
| 在留資格など | 月額賃金(所定内) |
|---|---|
| 技能実習 | 190.3千円 |
| 特定技能 | 221.4千円 |
| 外国人労働者全体 | 254.3千円 |
| 一般労働者全体(日本人を含む) | 340.6千円 |
この仕事を日本人で埋めようとしたら、賃金を上げるしかない。そのコストは当然、あなたが払う外食・介護・建設・宅配の値段に乗ります。
ただし全体の物価が何%上がる、とは言えません。外国人の給料の大部分は、もともと日本の中で使われていた(送金の話は⑥で)。その分の需要がまるごと消えるから。供給はガクッと減り、需要もそれなりに減る。アパートは空きまくるしスーパーの売り上げも下がる。「給料は減るのに外食と介護は高くなる」。いちばんイヤなやつです。
外国人労働者の多くは若い現役世代。年金も健康保険も雇用保険も払っています。ざっくり計算してみました。
| 項目 | 置いた数字 |
|---|---|
| 保険に入っている人 | 約212万人(257万人から留学生アルバイトなど資格外活動の約45万人を除く。45万人は公表値からの逆算で、実数は未確認) |
| 年収 | 約305万円(所定内給与×12か月。ボーナス・残業代は入れない控えめな数字) |
| 保険料率(労使合計) | 厚生年金18.3%+協会けんぽ9.9%+雇用保険1.35%(厚生年金と雇用保険の料率は筆者が一次資料で未照合) |
| 合計 | 年約1.9兆円 |
追い出した瞬間、毎年これが入ってこなくなる。
公平のために書いておくと、RIETIの論文は「外国人労働者は財政の悪化を和らげるが、それだけで高齢化の社会保障費は賄えない」とも言っている。外国人は救世主ではない。それはその通り。でも、足りない財布からさらに1.9兆円抜く理由にはならない。そして外国人を追い出しても日本の老人は一人も減らない。
これ、本当によく言われます。「外国人は給料の大半を母国に送金するから、日本経済に貢献しない」。はい、数字で見ましょう。
まず「大半」がウソ。厚労省の調査では、仕送りをしている外国人は54.8%。半分ちょっと。しかも仕送りしている人の平均額は年104.3万円で、平均賃金(年約305万円)の約3分の1。大半どころか、送っていない人も半分近くいる。日本で貯金している可能性もある。
国全体でも同じ。財務省の国際収支統計によると、2025年度に日本から海外へ送られたお金は1兆39億円で過去最大。そう聞くと大きく見えます。でも外国人労働者の賃金総額は、控えめな計算で約6.5兆円。送金はその約15%。残りの85%は、家賃、食費、携帯代、税金、社会保険料として日本に落ちている。
外国人が日本で生む付加価値(約19.4兆円)に対して、海外送金は約1兆円。日本の家計が投資信託で海外に出したお金は約11.5兆円。そして一番大事なのがここ。GDPは「どこで作られたか」で数えます。稼いだ給料をどこで使うかは関係ない。
外国人が弁当工場で働けば、弁当が作られて売れて、工場は売上と利益を得て、法人税を払い、日本人の工場長や営業の給料になる。その価値は日本の中に残ります。送金されるのは、その後で本人が受け取った給料のさらに一部だけ。
東京に単身赴任しているお父さんが地方の実家に仕送りしたら、東京の会社の売上は消えるのか。消えないでしょ。同じことです。
つまり、外国人を追い出して止まる送金は約1兆円。代わりに失うのは、付加価値約19兆円と、社会保険料約1.9兆円と、止まる工場や店で働く日本人の仕事。1兆円の「流出」を止めるために20兆円以上を捨てる。どういう算数なんだろうね。
ついでに言うと、日本の家計が投資信託を通じて海外に出したお金は、2024年だけで11兆5,069億円。新NISAでオルカンや米国株を積み立てているあなた、外国人の送金の10倍以上を海外に「送金」してますよ。それで日本経済に貢献してないって言われたら、怒るでしょ?ww
「でも治安は良くなるでしょ」。ここは前回の記事でがっつりやったので要点だけ。逆に大きく悪化します。
外国人全員(観光客も永住者も含めて)がいなくなっても、刑法犯の検挙で減るのは5.5%ほど。しかも今回追い出すのは「働く外国人」だけです。
| 在留資格 | 犯罪率(日本人=1) |
|---|---|
| 特定技能 | 0.62倍 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 1.08倍 |
| 技能実習 | 1.48倍 |
| 就労目的の資格の合計 | 1.08倍 |
就労目的の資格だけでまとめると1.08倍で、日本人とほぼ同じ。働いている外国人は、そもそも治安悪化の主役じゃない。
怖いのは逆方向。バブル崩壊後、失業率は1990年の2.1%から2002年には5.4%へ上がり、平成元年から14年で路上強盗は7.2倍、ひったくりは5.2倍になった。ただ、失業率だけで犯罪が決まるわけではない。コロナの2020年は失業率が上がったのに刑法犯は17.9%減った。研究を見ると、効いてくるのは失業率より貧困率や賃金水準。今回のSFは、まさに「給料が減って貧しくなる」シナリオです。どのくらい増えるかは⑨で試算します。
ここからは付録です。本編より仮定がさらに強いので、数字は「桁の目安」として読んでください。
前提として、日本はすでに人手不足で会社が潰れています。2025年の人手不足倒産は427件で3年連続の過去最多。77.0%が従業員10人未満の小さな会社で、業種別では建設業が113件と初めて100件を超えた。
ここから外国人を抜く。東京商工リサーチの6,459社調査によると、正社員とフルタイムの外国人が従業員の10%を超える企業は9.1%、50%以上は1.1%。受け入れを「制限」されるだけで、受け入れ企業の52.6%が業績にマイナスと答えています。制限でこれ。ゼロにしたら?
| 外国人比率 | 事業所数(推計) | 低位 | 中位 | 高位 |
|---|---|---|---|---|
| 50%以上 | 約1.9万 | 70% | 90% | 100% |
| 10〜50% | 約13.6万 | 20% | 30% | 50% |
| 10%未満 | 約21.6万 | 2% | 5% | 10% |
| 倒産・廃業の合計 | 約4.5万 | 約6.9万 | 約10.8万 |
2025年1年間の倒産件数(1万261件)に対して、中位ケースで約6.9万事業所。倒産の約7年分が一度に来る。潰れる順番は、製造(食品加工・部品)、農業・漁業、建設、介護、宿泊・飲食、物流。外国人比率10%以上の企業の割合も、製造業18.0%、農・林・漁・鉱業16.3%、建設業9.7%とこの並びです。
しかもこれ、控えめな数字。東京商工リサーチの調査は正社員とフルタイムの直接雇用しか数えていないので、派遣や請負、留学生バイトで回っている弁当工場やコンビニの依存度は入っていません。倒産率の置き方はわたしの仮定なので、そこは割り引いて読んでください。
ここが一番皮肉なところです。1〜2年目は、失業はほとんど増えない。会社は潰れるけど、257万人分の求人が同時に生まれるから。「人は足りないのに会社が潰れる」というミスマッチの時期です。
3年目から、本物の不況が来る。参院の試算では3年目以降に需要が供給より大きく減り、257万人に引き伸ばすと5年目の雇用者報酬(働く人の給料の総額)は約13%減(筆者計算)。これを失業率に直すため、リーマンショックの時の比率を借ります。あのとき失業率は2008年9月の4.0%から2009年7月の5.5%へ、GDP約3.7%の落ち込みに対して1.5ポイント上がった。GDP1%につき約0.4ポイントです。
| 時期 | GDP(外挿) | 失業率(筆者試算) | 日本人の失業増 |
|---|---|---|---|
| 1〜2年目 | ▲2〜3% | 2.5%前後で横ばい | ミスマッチ型が中心 |
| 3年目 | ▲4.8% | 約4.4% | 約130万人 |
| 5年目 | ▲10% | 約6.5% | 約270万人 |
日本人の失業率は2年目まで横ばい、3年目から上がり、5年目にはリーマン後の最悪値5.5%を超える。5年目に6.5%。追い出した257万人より、職を失う日本人のほうが多い。ただし日本の会社はクビより給料カットで耐える傾向が強いので、失業率はこれより低く出るかもしれない。その場合は、失業しない代わりに給料が減るだけ。どっちにしても地獄です。
じゃあ、失業した日本人はどこへ行くのか。求人はあります。2025年度の有効求人倍率は全体で1.10倍だけど、建設躯体工事は7.72倍、土木作業は6.21倍。それでも埋まらない。ズレが4つあるから。
| ズレ | 中身 |
|---|---|
| 場所 | 外国人労働者は東京25.4%、愛知9.7%、大阪8.1%に集中。地方で職を失った人が家族を置いて東京の現場に行くのか? |
| 年齢 | 職を失うのは中高年が多い。建設業はすでに55歳以上が約37% |
| 技能 | 型枠も鉄筋も、明日からできる仕事じゃない |
| 賃金 | 月給19万円台の技能実習の仕事に、事務職を失った50代が行くか |
結果、行き先は3つに割れます。若い人の一部は人手不足の現場に行って給料が上がる。中高年は仕事探しをやめて、統計上は失業者ですらなくなる(隠れ失業)。残りは雇用保険から生活保護へ。2つ目があるぶん、失業率は実態より「マシに見える」はずです。
建設業で働く人は2024年平均で477万人。ピークの1997年から約3割減っています。そこで働く外国人は2024年10月末で約17.8万人、うち技能実習生が約10.7万人。60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.7%)で、10年後にはその大半が引退する見込みです。
つまり、高齢化で縮んでいく現場に、若手を補充していたルートが外国人だった。そのルートを切る。
全国約73万の道路橋のうち建設後50年を超えるものは、2040年には4本に3本(国交省資料の数値と年次の対応は帝国データバンクの記述で照合したもので未確認)。土木部門の職員が1人もいない市町村は約25%。発注する側も空っぽです。土木部門の職員が0人の市町村は437団体、全体の25%。5人以下まで入れると約5割。
SFの時系列はこう。地元の建設会社が人手不足で潰れる。除雪も、災害の復旧も、橋の点検もやる人がいなくなる。市町村には工事を発注できる技術者もいない。2025年1月28日、埼玉県八潮市で下水道管の破損が原因とみられる道路陥没が起きました。あれが「直す人がいないから直らない事故」として、全国で日常になる。
5年目に▲10%。数字だけだとピンとこないので、実際に起きた国を並べます。
| 国・時期 | GDPの落ち込み | 失業率 |
|---|---|---|
| 日本・コロナ(2020年度) | ▲3.8% | — |
| フィンランド(1990〜93年) | ▲11% | 3.5%→16.5% |
| アルゼンチン(2002年) | ▲10.9%(1年で) | 21.5%(2002年5月)、貧困率53% |
| ギリシャ(2008〜12年) | ▲20% | 7.8%→28%近く(2013年) |
日本では、戦後GDPが1割消えたことは一度もありません。▲10%はコロナ2.6回分。いまの規模なら約69兆円、赤ちゃんからお年寄りまで1人あたり50万円以上が消える計算です(筆者計算、人口は約1.24億人と置いた)。
一番近いのはフィンランド。きっかけはソ連崩壊で最大級の貿易相手が消えたこと。外から突然「相手」がいなくなる供給ショックという点で、今回のSFと形がよく似ています。
日本の失業率がそこまで行くとは言いません。日本の会社はクビを切らずに給料を削るから。でも「GDP1割減」は、先進国が戦争でも災害でもなく経験した最悪クラスの不況と同じ桁。そこに自分から飛び込む政策です。
⑧で出した「5年目に失業率6.5%前後」を使って、殺人と強盗がどうなるかを計算してみます。根拠は2つ。
1つ目は日本の実績。平成元年から14年にかけて、凶悪犯(殺人・強盗・放火・強姦)の認知件数は5,899件から12,567件へ2.13倍になった。同じころ失業率は2%台から5%台へ(1990年2.1%→2002年5.4%で3.3ポイント上昇)。
2つ目は研究。大阪大学の大竹文雄・小原美紀(2010)は、全国の時系列データでは失業率が上がると2年ほど遅れて凶悪犯が増えることを示した。一方で、都道府県別のデータでは凶悪犯を説明できる要因は見つからなかった。つまり「増える可能性はあるが、はっきりしない」。
なので幅で出します。高位は、バブル崩壊期の伸びを失業率の上昇幅(3.3ポイント→4.0ポイント)で引き伸ばしたもの。低位は、県別分析に従って「増えない」。
| 罪種 | 2025年の実績 | 低位 | 高位 |
|---|---|---|---|
| 殺人 | 976件 | 976件 | 約1,155件 |
| 強盗 | 1,428件 | 1,428件 | 約3,570件(2.5倍) |
強盗の高位は、点線の2012年の水準(3,658件)とほぼ同じ。殺人はほとんど増えない。高位だと、強盗は年1,428件から約3,570件へ2.5倍。2012年の3,658件とほぼ同じで、13年かけて良くしてきた治安がまるごと巻き戻る。殺人は976件から約1,155件で、2割弱の増加です。
ここがわたしの見立てと違ったところ。殺人はあまり増えない。バブル崩壊期でも、殺人は平成3年の1,215件から14年の1,396件へ15%しか増えていない。増えるのは強盗、つまりお金目当ての犯罪です。
但し書きも書いておきます。バブル期の強盗の急増には、少年の窃盗でケガをさせた事件(窃盗傷害)が強盗として多く計上されるようになった、という統計上の事情も混じっていると指摘されている。なので高位は上振れしている可能性がある。逆に、リーマン後の2009〜10年は失業率が上がったのに窃盗は減り続けた。景気が悪くなれば機械的に犯罪が増える、というほど単純ではありません。
それでも研究がはっきり言っているのは「失業率より貧困率が効く」ということ。いまでも詐欺の動機の38.4%は「生活困窮」です。給料が1割以上減る世界で増えるのは、殺人より、詐欺や窃盗や強盗といった「お金の犯罪」。
整理すると、外国人を追い出して減る犯罪は、刑法犯検挙の5.5%が上限。不況で増える強盗は最大2.5倍。治安のためにやるなら、完全に逆効果です。
今回いちばん意外だったのは、「すぐに地獄が来るわけではない」ことでした。1年目のGDPは▲2%。ChatGPTの「直後に3〜5%減」より小さい。だから追い出した翌年は「ほら、なんともないじゃん」と言う人が必ず出てくるはずです。
でも本番は3年目から。給料が減って消費が減り、会社が潰れて、失業が増える。5年目にはGDPが1割消えて、日本人が270万人職を失い、地元の建設会社がなくなって橋も下水道も直せなくなる。そのあいだ、外食と介護だけはどんどん高くなる。治安は良くならず、強盗はむしろ増える。
外国人の受け入れには課題があります。制度の穴も、地域の摩擦も、ちゃんと議論すべき。そこは否定しません。でも「いらない」「出ていけ」は、議論じゃなくて自爆スイッチです。
257万人を追い出して、日本人270万人が職を失い、橋が落ちる。あなた、本気でそのボタン押すの?
さて、iPhone 18 Pro Maxを予約したのでカードをいれられるケースを先に買いました。免許とクレカ1枚を収納します。これで出かけられます。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年9月30日の記事より転載させていただきました。








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