立憲民主党が財政難で「リストラ」に乗り出した。党本部を現在の6フロアから1フロアに縮小し、議員や都道府県連への交付金も削減する。そして党職員には希望退職を募集するという。削減目標は30人程度で、割増退職金は基本給の2ヶ月分だという。

希望退職を発表する立民党の田名部幹事長(SmartFlash)
金銭解雇には反対だが「希望退職」は募集
日本には、企業がいくら払えば雇用契約を終了できるのかという金銭解雇ルールが存在しない。解雇が有効かどうかは労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」という抽象的な基準で、最終的には裁判所の判断に委ねられる。
企業にとっては、解雇した社員から訴えられたとき、何年後にどんな判決が出るのか予測しにくい。そこで企業は「解雇」を避ける。代わりに使うのが希望退職と退職勧奨である。
従業員と面談を重ね、本人に退職届を書いてもらう。昔からある肩たたきである。法的には自己都合退職なので、解雇ではない。立民党も自分が使用者になると、この日本企業おなじみの方法を選んだ。それも退職金の上積みはわずか2ヶ月分である。
金額を法律で決めればいい
日本以外のほとんどのOECD諸国には金銭解雇ルールがあるが、立民党は政府が検討してきた解雇の金銭解決制度について「経営者による解雇権の濫用を助長する」として反対している。
現実には労働審判や裁判上の和解では金銭解決が行われており、4~7ヶ月分程度の和解金が支払われるケースが多い。つまり金銭解決できないわけではなく、法律上のルールがないだけだ。
外資系企業でも割増退職金を提示し、訴訟を起こさないことに合意して退職してもらうことは珍しくない。だが労働組合は、その法制化に強硬に反対してきた。連合の芳野会長は「金銭解雇ルールに賛成する維新とは組めない」と明言している。
肩たたきの方が労働者にやさしいのか
その結果どうなったか。会社は正面から金を払って解雇できないので、密室で肩をたたくことになった。ここには奇妙な逆転がある。
法律で「給与1年分を払えば雇用契約を終了できる」という解雇ルールがあれば、労働者は最低でも1年分の補償を受け取れる。ところが法律がない現在は、企業側が「希望退職です」と言えば、割増金2ヶ月でも、本人が同意すれば終わりである。
中小企業には、割り増し退職金ゼロというケースも多い(だから日本商工会議所は金銭解雇ルールに反対している)。どちらが労働者保護なのだろうか。
立民党は自分の経験を法改正に生かせ
立民党は財界に対しては「金銭解雇はけしからん」と説教しながら、自分たちは希望退職という名前で人員整理する。これは偽善である。
立民党は今回の経験を生かし、解雇ルールの法制化を国会で議論してはどうだろうか。上乗せ退職金2ヶ月で希望退職を募る立民党ほど、この問題を考えるのにふさわしい政党はない。







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