バルト3国の一国ラトビアで3日、議会(サエイマ、一院制、定数100議席)選挙の投開票が実施され、アンドリス・クルベルグス首相が主導する親欧州派の与党「統一リスト(United List)」が開票率99.99%の段階で得票率約35.3%、42議席を獲得し、ライバル政党ポピュリスト・新ロシア派政党「ラトビア・ファースト」の13.1%、17議席を大きく引き離して第1党を堅持した。第3党はウクライナ支援に反対の親ロシア派の政党連合「主権の力」で得票率約11.7%。第4党にはウクライナへの積極的支援を擁護する右派政党「国民連合」の約8.9%、そして第5党には中道右派「新統一」の6.3%だった。

ウクライナのゼレンスキー大統領から「ウクライナ国家賞」を受けるクルベルクス首相(右)、ウクライナ大統領府公式サイトから、2026 年9月28日
ラトビア(人口約184万人、有権者154万人)ではロシアがウクライナに侵攻して以来、安全保障問題が国民の最大の懸念事案となってきた。クルベルグス首相(47)は選挙戦では安保問題を最大の争点として有権者に訴え、国防費を国内総生産(GDP)の5%に維持すると公約してきた。これはNATO加盟国の中でも最高水準の規模。対照的に、親ロシア派の対立候補らは、ウクライナへの支援を打ち切り、高騰する生活費への対策に重点を移すべきだと主張してきた。
現地からの報道によると、クルベルグス首相は集計結果を受け、「予想以上にいい結果だった。首相ポストに留まる」と表明する一方、「ラトビア・ファースト」との連立については拒否姿勢を改めて明らかにした。なお、ラトビアでは今年5月に前政権(シリニャ内閣)が防空・安全保障をめぐる党内対立で崩壊したことを受け、クルベルグス首相率いる現4党連立政権が5月下旬に発足されたばかりだ。
ちなみに、4党連立は、クルベルグス首相の所属する中道右派の「統一リスト」、中道右派「新統一」、右派の「国民連合」、そして「緑の党と農民連合」だ。与党4党は、ウクライナ支援の継続と、北大西洋条約機構(NATO)および欧州連合(EU)との連携強化を基本路線とする。選挙後は、「統一リスト」主導で親欧州派の政党との連立交渉が始まるが、現連立与党の「緑の党・農民連合」は得票率5%の壁をクリアできなかった。
ラトビアは東側でロシアおよびベラルーシと国境を接していることもあって、ウクライナでの戦争が続く中、ドローンに関連する事案が既に複数発生している。NATOの戦闘機が過去、少なくとも2回、ラトビア上空でドローンを撃墜している。
NATO加盟国のラトビアは、選挙を安全に実施するために同盟国に支援を要請。これを受け、ドイツ空軍はノイブルク・アン・デア・ドナウに拠点を置く第74戦術航空団から、ユーロファイター4機と約40人の兵員を派遣した。彼らは1週間余りにわたってラトビアに駐留し、NATOの統合防空・ミサイル防衛体制を支援する任務にあたってきた。
なお、ラトビア国内のロシア系住民の人口は約42万6,000人で、これは全人口の約23%、バルト三国の中で最も高い割合だ。首都リガや、東部の第2の都市ダウガウピルスなどの都市部に特に集中して暮らしている。
クルベルグス首相は「安全保障なしに経済は成り立たず、経済がなければ安全保障も成り立たない」と主張し、ロシアに対する強硬姿勢とウクライナへの全面的な支援を掲げている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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