ノーベル賞をもらえなかったトランプ大統領、くやしまぎれにICC制裁?

ダニエル グラント

ノーベル平和賞をほしがっていたトランプ大統領にとって、何とも皮肉な結果となった。10月9日に発表された2026年の受賞者は、国際刑事裁判所(ICC)の元判事で、国連人権高等弁務官も務めた南アフリカのナビ・ピレイ氏だった。その数時間後、トランプ政権はICCへの制裁を発表した。reuters.com

ナビ・ピレイ氏(Bloomberg)

制裁対象を裁判所全体に拡大

トランプ政権は以前からICCの判事や検察官を制裁してきたが、今回は裁判所という組織そのものに対象を広げた。米国の管轄下にある資産を凍結し、米企業や個人には取引を終了するための6カ月の期間を設ける。AP News

金融、保険、業務用ソフトなどのサービスを断てば、裁判所の活動を実務面から締め上げられる。ロイターによると、ICCはこうした事態に備え、ソフトの切り替えや銀行・保険の手配変更を進めていた。法廷で争う代わりに、法廷を動かす基盤を奪うわけだ。Internazionale

平和賞が映した価値観の対立

米政権が掲げる理由は、米国人に対するICCの訴追を認めないというものだ。背景には、アフガニスタンでの米兵の行為に関する過去の捜査や、イスラエルのネタニヤフ首相らへの逮捕状をめぐる対立がある。米兵に関する捜査は、その後終了している。

ICCの権限や判断への異議と、組織の活動を資金やサービスの遮断によって止めることは別問題である。自国や同盟国に不利な捜査をする裁判所は機能できなくしてよい、という論理が通れば、法の適用は国家の力関係に左右される。

ノーベル委員会はピレイ氏の受賞に際し、国際法の裁判官や機関が政治的攻撃を受けている状況で、国際的な法秩序の重要性を示す趣旨を説明した。今回の制裁は、まさにその問題を同じ日に浮かび上がらせた。

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