世界最強クラスのチェーン店好きな日本人と個店回帰

私の住むバンクーバーの目抜き通り、ロブソン通りにはかつて7-8店のスターバックスコーヒーが存在していました。今は2店舗のみになってしまいました。代わりに急増しているのが個人経営のカフェ。どの店も工夫を凝らしています。内装が凝っていて高級感あるところからカジュアルなところ、あるいはコーヒーにこだわる店からデザートやスイーツにこだわる店などが次々生まれ、ロブソン通りがまるでカフェ通りに変貌するのかという勢いです。

なぜスタバから個店のカフェに変わったのでしょうか?私は80年代後半、スタバが世界に打って出る前からスタバとの接点を持ち始めたのですが、いつしか行くことは無くなりました。それはそこに面白みがなく、強烈なスタバ スタンダードを消費者に強制したからかもしれません。味からカップのサイズの呼称、スタッフの見せ方からサービスのスタイルまでコーヒー=スタバというはめ込みに消費者は飽きてきたのだと考えています。

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私が以前経営していた小さなカフェは8年間経営したのち、買い取りたいという方のためにお売りしたのですが、引き継がれた方の経営は地元の人たちに強く愛され、今でも安定した事業展開をしています。そこにはチェーン店で見られるセントラルキッチンから配送されたような商品は一つもなく、カフェのオーナーがスープやパンからデザートまで全部手作りで提供しています。

韓国でスタバ排除の動きが出たニュースはご存じの方も多いと思います。同社がメガサイズのコーヒーを「タンク」と称し、そのキャンペーンを光州事件が起きた5月18日にスタートしたことで国民が歴史問題を想起すると猛反発し、不買運動が展開されます。私から見るとそれは結構こじつけで、実はスタバ離れになる良いきっかけに過ぎなかったと思っています。韓国人は「俺こそ一番!」という意識が強く、チェーン店より個店がもともと強い傾向にあったことも背景にあるでしょう。その結果、既にスタバは同国内のコーヒー業界では4位にまで落ち込んでいます。

日本人のチェーン店好きはたぶん世界最強クラスだと思います。何故かと言えば「あの店に行けば間違いない」という消費に対する超保守的姿勢が理由であり、また長時間粘ってもチェーン店の店長はコトを荒立たせたくないから見て見ぬふりだろうという足元を見る客もいるからでしょう。

一方、私が日本に行くとき、最近、いわゆるチェーン店とは縁遠くなってきました。それは少なくとも私の周りで「チェーン店でしょ?」という懐疑的というか批判的な受け止めをする方が多いからです。ずばり、「おいしくないよ」と明言する方もいます。先般東京に行った際、ごくたまに行く地元の寿司屋で会計を済ませたところ、店長が「長年お世話になりまして」とあいさつに出てきました。珍しいなと思ったのですが、店長は17年間も勤務し、お客様を大事にしてきたと言って最後、店を出るまで見届けてくれました。こういう店は嬉しいものです。また行こうかな、という気にさせるのですね。

個店とは個性がある店とも言えます。飲食店にしろ物販店にしろ、チェーン店は確かに上手な商売だなと思う反面、敵を作らないビジネスなので特徴が非常に乏しくなります。その代表格が実はアマゾンでごく一般的なものならばアマゾンで全部済ませられます。同様にコンビニもそうだし、ニトリとか無印、ユニクロも同様です。手軽な半面、自分だけのお宝的なものは何もないのです。ユニクロのTシャツなんて街で着ていれば「あっ、俺と同じ奴…」という出会いは結構あります。

日本の場合、かつての「1億総中流」の名残はまだまだ強いと思うのです。収入層とチェーン店の顧客層のバランスを見ると収入層がやや下で割と背伸びをしなくてはいけない方々がチェーン店を利用することで同じ枠組みに入るという潜在意識がどこかにあるように見受けられます。「同じ釜で飯食った仲間」とはよく言ったもので、社内の上下関係にかかわらず、同じものを食べて一緒に汗を流しす関係を非常に重視する精神があります。これがチェーン店の根幹をなす思想ではないでしょうか?

また近年は斜に構える若者が増えて個性が強い店だと「私はあの店、嫌い!」と好き嫌いが明白になるため、中庸なチェーン店が落としどころとして具合が良いこともありそうです。個店を「敷居が高い」「入るのが怖い」「なんか、あの店、客を選んでいる」といったネガティブメッセージのオンパレードになっていないでしょうか?

私はそういうのを「思想が貧素」と申し上げます。コンビニ世代でAIに染まり、会社ではマニュアル道理の業務になると考え方がどうしても標準から飛び出せなくなるのであります。こんな時代になったからこそ、個性とは何か、もう一度、見直してもよいのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月14日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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