東京大学の次期総長選考を巡り、教職員有志が10月13日、総長選考・監察会議に選考経緯の説明を求める要望書を提出した。同日正午時点で523人が賛同。意向投票で最多票を得た候補者ではなく、2位の藤垣裕子教授が選ばれた理由について、具体的な比較評価や判断の根拠を示すよう求めている。

次期総長に選ばれた藤垣裕子氏(共同通信)
なぜ意向投票で過半数の候補が選ばれなかったのか
9月28日に行われた意向投票では、第2回投票で染谷隆夫教授が1107票、藤垣氏が553票、山本隆司教授が451票を獲得したが、同日の選考会議は藤垣氏を次期総長予定者に決定した。
大学側が公表した選考理由では、藤垣氏について、理事・副学長としての経験や科学技術を社会に伝える能力を挙げ、学術への信頼回復に取り組む意志と能力を評価しているが、こんな抽象的な説明だけでは、何が決め手だったのかはわからない。
要望書も、意向投票が選考会議の判断を拘束しないことは認めている。特定候補への支持を目的とせず、投票結果をどう扱い、5人の候補者をどのような具体的事実にもとづいて比較したのか、9月28日の会議の議事要旨を早期に公表するよう要請した。
教職員の74%が「説明が不十分」
東京大学新聞の特集号では、教職員にアンケートをとり、589人から回答を得た(うち意向投票有権者は387人)。「意向投票に従うべき」という回答は41%だったが(図1)、選考結果についての説明は「全く十分とは言えない」「まあ十分とは言えない」の合計で74%だった(図2)。

教職員のうち500人以上が説明に不満をもち、3/4が不十分だと考えていることは、今回の総長選考の正統性に大きな疑問を投げかける。
特に奇妙なのは、7月に総長選考が始まったのと並行して、工学部の不祥事(総合研究奨励会の背任事件)の調査がおこなわれ、最終選考の直前の9月11日にその結果が発表されて奨励会の解散が決まったことである。この調査には、奨励会の代表理事だった染谷氏を排除しようとする藤井総長の意向が働いたともいわれている。
少なくとも議事要旨を公開し、選考の具体的基準を示さないと、こうした疑惑は払拭できない。藤垣総長の任命権は文科省にあるので、このようにガバナンスが不透明なままでは任命されるかどうかもわからない。







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