みずほフィナンシャルグループが、営業や事務の社員をAI開発人材に転換する。日本経済新聞によると、約5万人の社員から希望者を優先して選び、10年後には数千人規模に増やすという。

3ヶ月で何ができるようになるのか
5万人から適性や意欲のある人を選ぶこと自体は不自然ではないが、事務の仕事が減るなかでの職種転換には、別の疑問がつきまとう。新しい仕事を用意する人材投資なのか。それとも、適応できない社員に退職を促すAI追い出し部屋にならないか。
みずほの公式説明では、先行プログラムに5人が参加し、うち4人はプログラミング未経験者だった。全員が所定の基準を満たし、9月からエンジニア職に転換したというので、銀行員には開発などできないと決めつけるのは早計である。
しかし3ヶ月の研修で合格することと、実際の金融業務に使えるシステムを継続的に作り、管理できることも別である。少人数での成功を、そのまま数千人に広げられる保証はない。「AI開発者」という肩書だけを増やしても、生産性は上がらない。
問われるのは適応できなかった人の処遇
みずほはAI活用によって今後10年で最大5000人分の事務業務を減らす方針も示している。これは直ちに5000人を解雇するという意味ではないが、従来の仕事が縮小する方向は明らかだ。Bloomberg
そこで「新しい仕事を学んでください」と言われた社員に、どこまで選択肢があるのか。研修についていけなかった場合、別の職務を用意するのか。追加の教育を受けられるのか。それとも低評価や賃下げにつながるのか。
制度の実態は、成功者の紹介よりも、適応できなかった社員の処遇に表れる。十分な支援をせずに難しい課題を与え、「成果が出ないのは本人の責任」と扱うなら、リスキリングは退職圧力の道具になりうる。
追い出し部屋より退職パッケージを
給与体系が今後の検討事項とされている点も気になる。開発への転換が成長機会なのか、処遇引き下げを伴う再配置なのかは、社員にとって決定的な違いだ。これは日本企業が人員整理するときよくやる「肩たたき」の一種ではないか。
日本の大企業では解雇が事実上禁止されているので、希望退職という形をとるしかないが、追い出し部屋はあまり人間的な方法とはいえない。特に中高年社員にとっては、AI開発は拷問だろう。
いっそ退職パッケージを3年分ぐらい上積みして解雇してはどうだろうか。これは日本でも外資系企業がやっており、現在の労働基準法でできる。厚労省は解雇ルールの法令化を拒否しているが、みずほが退職パッケージを導入すれば、他の銀行もならうかもしれない。







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