私の住むカナダBC州の州議会選挙が週末行なわれ、与党だった中道左派のNDPが大崩れし、下馬評では想定外で保守党が地滑り的勝利を収めました。何故想定外が起きたのか、選挙予想の難しさを考えながらアメリカの中間選挙の行方についてみてみたいと思います。
まず、BC州の選挙ですが、もともとは28年が任期満了に伴う選挙のスケジュールでした。ところが、対抗馬の保守党内部がガタガタで前党首が不正で辞任したばかりで今の党首は暫定党首であります。よってNDP党首=州首相は「今なら楽勝でいける、よって解散総選挙をやることで2030年まで安定基盤を築く」というのが目論見でした。(当地のメディアは「党首のギャンブル」という表現をしています。)
ここで指摘されなかったのが「今の与党に満足しているの?」という世論の声です。財政赤字が膨らみ、格付け機関による州の債券の格付けが下がる一方なのにそれを改めようとしない政権姿勢に有権者はイライラを募らせます。それでも選挙1週間前の世論調査では保守党44%、NDP42%なので僅差とも言える状況でした。
では今回勝利した保守党は万全だったかと言えばろくな選挙公約もなく、党首は前述の通り暫定党首で「田舎のおっさん」であります。ウィリアムスレイクというほとんどの人が行ったことがない選挙区で2020年に議員初当選したぐらいですから正直、誰も知らない方です。勝利宣言のスピーチは本人が興奮してしゃべりまくったり、感極まったりでうーん、という感じです。
今回の選挙の分析を見るとNDP支持派が党首の政策方針にうんざりし、3割相当のNDP支持層が選挙投票を放棄したとされます。私が見たのはこの部分です。今までは選挙は青か赤かという選び方をしてオセロゲームの様な意味合いが強かったと思います。が、今回は保守党の投票率は4.4%減に留まったのに対してNDPの投票が前回の95万票から67万票と29%減じており、支持層からそっぽを向かれたのです。つまりNDPの完全自爆です。
ではアメリカの中間選挙でこのケースを当てはめて考えてみます。一番怖いのは共和党支持者層が「今回の選挙は遠慮しておくわ」という姿勢です。つまり選挙に行かない、あるいは投票しないという選択肢です。民主党の支持層は対抗馬なのでしっかり選挙に行くでしょう。となればオセロゲームよりも怖い共和党の自壊が起こりえる可能性は否定できない気がしています。

トランプ大統領 ホワイトハウスHPより
なぜそう考えられる余地があるのかというと世論が現状の生活や世の中の動きに「満足していないけれど政治にも期待できないよな」という厭世観があるように感じるのです。となれば民主も共和も「どっちもどっち」。
北米における市民の不満は物価高、AIによる急激な社会変化への懸念、海外からの移民や一時労働者を締め上げすぎていることによるコミュティの不和ではないかと感じています。
北米の物価はコロナ禍のころから更に大きく上がり、特に食品物価は目も当てられない状況です。最近は牛肉が高すぎるので代替消費として鶏肉を消費者が選んだため、生産が追い付かず価格が高騰、卵も1ダース800円程度です。ガソリンは当地ではレギュラーがリッター230円を超えています。カナダは原油産油国にもかかわらず、です。日本は物価だけ見れば高いなんて言うのは私からすればお笑い種で、仮にガソリンや電気代などの補助金がなければどんな物価になっているか想像されたらよいでしょう。諸外国にはそんな補助金は原則ないのです。つまり日本は良くも悪くも「補助輪をつけた経済」なのです。(補助輪をつけられる財政余力があるとも言えますが余力は何時までも使えない点も考慮すべきでしょう。)
選挙で外交は主題にはなりにくいとされます。特に今回は議会選挙であり、大統領選挙ではありません。しかし人々はそう受け止めない可能性があります。特に世界中の識者の大多数が異口同音で表現する「変わった大統領」「先が読めない大統領」の状況に対してその暴走を止めたいという気持ちがあるならBC州の選挙のような想定外が起きないとは限りません。特にイラン戦争は本当に「いらん戦争」だったと多くの人が認めます。ウクライナの戦争もかつては1日で終わらせると言いながら最近はロシアの肩をもつのは「終戦を実現できる唯一の方法」だと思い込んでいるからでしょう。これでロシアとアメリカは蜜月感すら生まれます。それを国民が「Mr.President、よくやってくれた」と思うのでしょうか?これが国民の良心として選挙行動に表れるかもしれないと感じています。
あと1週間、地球儀ベースで様々な影響を与えたトランプ氏への審判が下るとも言ってよいでしょう。そして今日、イスラエルも総選挙となります。ネタニヤフ氏を国民がどう評価するのか、選挙行動にどのような変化があるのでしょうか?私は一連の選挙に社会学的にも心理学的にも注目したいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月27日の記事より転載させていただきました。







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