生活保護受給者も大病院受診に「特別料金」案:医療扶助のタブーに切り込めるか

生活保護受給者が医療を受ける医療扶助は原則無料である。その財源は税金(一般会計)で、総額は1.9兆円。医療財政が火の車で健康保険料が上がっているとき、なぜ生活保護受給者は窓口負担もしないのか。

大病院に紹介状なしで受診した場合に負担を求める

厚生労働省が、タブーになっていた議論にやっと一歩踏み込んだ。日本経済新聞によると、厚労省は10月28日の有識者会議で、生活保護受給者が紹介状なしで大病院を受診した際に、一定額の支払いを求めることを提案した。軽症の場合は地域の医療機関の利用を促す狙いで、対象として一般病床数200床以上の病院を挙げたという。

一定の大病院を紹介状なしで受診すると、初診では通常の窓口負担とは別に7000円以上の特別料金がかかる。大病院への外来患者の集中を抑え、開業医との役割分担を進めるしくみである。今回の案はこのルールを生活保護受給者にも適用するものだ。

医療扶助による過剰受診を医師会と共産党が守る

生活保護受給者は国民健康保険の対象から外れ、医療費の多くは公費で支払われる。健康保険などが適用される場合には、その制度で給付されない部分を医療扶助が補う。原則として医療そのものを提供する現物給付であり、受給者に医療費相当の現金が渡るわけではない。

医療扶助には治療費を払えない人を救済する役割がある一方で、本人が費用を負担しないので、過剰受診が起こりやすい。本来は国民健康保険に統合すべきだが、過剰受診してほしい医師会と、過剰受診の紹介で稼ぐ共産党が阻止してきた。

生活保護にかかわるという理由だけで、負担や利用ルールの議論を避ける必要はない。必要な医療の保障と、公費で支える制度の持続性は、どちらも正面から論じるべき課題である。今回の案は改革のほんの一歩だが、医療扶助というタブーの見直しに踏み出す意味は小さくない。

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