財産所得の純受取が多い日本 総所得への寄与率 国際比較

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この記事では、第1次所得バランスに対する財産所得の寄与率について国際比較した結果をご紹介します。

1. 日本の財産所得

経済の構造を体系化したSNA(System of National Accounts)では、付加価値の生産を起点にして、生産以外の所得となる財産所得を足し引きした総所得である第1次所得バランスが計算されます。

日本は失われた30年と言われるように、GDPが長期間停滞してきましたが、財産所得の純受取は拡大傾向が続いてきました。

近年では、労働による所得ではなく、資産運用からの所得が重要であると言われることも増えています。

今回は、このような財産所得が、実際のところどの程度の規模になっているのか、統計データで確認していきたいと思います。

図1 第1次所得の配分勘定 日本
国民経済計算より

日本の第1次所得の配分勘定を見ると、日本はGDP(プラス側の下4項目分)に、財産所得の受取を足し、支払いを差し引いた第1次所得バランスが計算されています。

財産所得は受取でも支払でもバブル期に非常に大きな規模となっていますが、近年ではかなり縮小しているようです。

日本全体で合計した財産所得は海外に対する分となりますので、日本では差引の純受取が少しずつプラスとなり、国民全体の受け取る所得を押し上げています。

図2 財産所得 日本
国民経済計算より

財産所得だけ抽出してみると、2000年頃までは支払も受取も利子が支配的だったことがわかります。

バブル崩壊後は利子が減り、その代わりに法人企業の分配所得が拡大してきました。

近年では法人企業の分配所得の方が多い状況となっています。

法人企業の分配所得は、配当金など、企業への投資からのリターンとなります。

2. 財産所得対GDP比

日本の財産所得の規模やバランスが、先進国の中でどのような状況なのか、確認してみましょう。

図3 財産所得 GDP比 2024年
OECD Data Explorerを基に作成

図3は、各国の財産所得について、受取と支払、純受取の対GDP比を純受取の多い順に並べたグラフです。

純受取 対GDP比で見ると、日本は先進国の中で最も高い水準に達しています。受取の方がそれだけ超過している事を意味しますが、支払も相応の水準ではあります。

受取が超過する国としては、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、韓国が続きます。これらの国は、他国に対して投資が多く、海外からのリターンが超過している国と言えます。

一方で、イタリア、イギリス、カナダや東欧諸国などはマイナスです。これらの国では海外からの投資の方が超過していて、その分財産所得の支払が多い事になりそうです。

ルクセンブルクとアイルランドの水準が極めて高いのも印象的ですね。ルクセンブルクは越境労働者が多い事でも知られていますが、海外からの直接投資も多い国です。

アイルランドも近年海外からの投資が多く、急速に経済規模が拡大している事で知られています。

3. 第1次所得バランス比の推移

続いて、財産所得の純受取額が、第1次所得バランスに対してどのような規模であるのかを見ていきたいと思います。

まずは、主要先進国の推移から見てみましょう。

図4 第1次所得バランスに対する財産所得(純受取)の比率
OECD Data Explorerを基に作成

図4が主要先進国の総所得である第1次所得バランスに対する財産所得(純受取)の比率を計算したものです。

総所得に対して、海外からの受取所得がどれだけ寄与しているのかを計算した指標と言えます。

日本は徐々に拡大傾向が続いていて、主要先進国の中で最もプラス水準の高い国です。

ドイツも拡大傾向が続いています。

一方でアメリカやイギリス、フランス、イタリアはゼロ近辺で推移していて、カナダに至ってはマイナスです。

カナダは、海外への所得支払の方が多く、第1次所得バランスが押し下げられている事になります。

4. 第1次所得バランス比の国際比較

最後に、財産所得(純受取)の第1次所得バランス比について国際比較してみます。

図5 第1次所得バランスに対する財産所得(純受取)の比率 2024年
OECD Data Explorerを基に作成

図5が2024年の、第1次所得バランスに対する財産所得(純受取)比の国際比較です。

日本は5.7%で、先進国の中で最もプラス水準の高い国になっています。

それだけ、財産所得の正味額が総所得を押し上げている事になりますね。

主要先進国はマイナス水準の国もありますが、いずれも上位となっています。マイナスの主要先進国では、海外との財産所得の正味額が総所得を押し下げてはいますが、それほど寄与率は大きくないようです。

一方で、東欧諸国ではマイナス水準も大きくなり、その分だけ総所得が押し下げられている事になります。

これらの国では、海外からの投資が超過しており、その支払が嵩んでいて、自分たちの所得が目減りしている事になります。

5. 財産所得の特徴

この記事では、各国の財産所得(純受取)について、そのバランスや、総所得への寄与率をご紹介しました。

日本は、外貨準備が積み上がっていたり、対外直接投資が大きく超過している事もあり、海外からの受取所得が、支払所得よりも超過しています。

先進国で最も海外からの所得受取の程度が大きく、総所得を押し上げている状況となっていますね。その寄与率は総所得の6%ほどに達しています。

国全体としてはこのような状況ですが、それではこの所得が誰に分配されているのでしょうか?

海外への投資の恩恵が、私たち家計に届いているのか、部門別にも見ていく必要がありそうです。

次回からは、部門別の国際比較をしてみます。

皆さんはどのように考えますか?

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編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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