米中間選挙において、最大の政治的センセーションを巻き起こしたのは、テキサス州のジェームズ・タラリコ氏(James Talarico)だ。保守的な南部州であるテキサス州において、37歳の同氏は、連邦上院の非常に狭き門である議席の一つを獲得した。これは1988年以来、実に久しぶりの快挙となる。共和党の有力候補ケン・パクストン州司法長官を破ったことで、全米から「オバマの再来」とも称され大きな注目を集めている。

ジェームズ・タラリコ氏Xより
同氏は公立中学校の元教師(サンアントニオ西部で教鞭を執る)。2018年にテキサス州議会下院議員に初当選(第52選挙区、のちに第50選挙区)。教育委員会などに所属し、教育改革に尽力してきた。
長年、宗教的な言語(キリスト教)は共和党の専売特許とされてきたが、長老派のキリスト教徒であるタラリコ氏は神学校で神学を修めており、聖書を頻繁に引用する。自身の信仰をベースに「分断の政治は愛の政治にはかなわない」と訴え、保守層や党派を超えた幅広い支持を集めてきた。キリスト教の倫理を前面に出しながらも、保守的なナショナリズムとは一線を画し、公立教育の充実、医療費負担の軽減、貧困対策、移民や性的マイノリティ(LGBTQ)の権利擁護といったリベラル・ポピュリスト的な政策を掲げている。
また、反汚職・クリーンなイメージを掲げ、政治資金や権力の腐敗に対抗する「反汚職」を明確に打ち出している。今回の選挙戦では共和党側からネガティブキャンペーン(攻撃広告)を受けたが、これを跳ね返して勝利を収めたわけだ。
そのタラリコ氏の勝利を聞いて大笑いしている国があるという。南米のブラジルだ。その理由は、「タラリコ(talarico)」という言葉は、ブラジルのポルトガル語のスラングで、「友人の恋人に手を出そうとする男性」(寝取り男)を意味するからだ。
ブラジルのインターネットユーザーたちの間で自身の姓をめぐるジョークが拡散されていることを知ったタラリコ氏は激怒はせずに軽く受け止めて、「ハロー、ブラジル!私はここテキサスで、まっとうな政治活動をしているよ。君たちの恋人を奪ったりはしないから、安心してね!」と答えたという。大物だ。
ブラジルのインターネット上でネタにされているのは、タラリコ氏の姓だけではない。「プログレス・テキサス(Progress Texas)」という団体のロゴも注目を集めている。青い背景に白い星、その中に「PT」という文字が描かれているのだが、これがブラジルの左派政党「労働者党(Partido dos Trabalhadores、略称:PT)」を彷彿とさせるのだ。ルーラ大統領が所属するこのブラジルの労働者党のロゴも、赤い背景に白い星、そして赤い「PT」という文字で構成されている。そのため、ネットユーザーたちの間では、この団体がブラジルの左派政党の「米国支部」といった冗談が飛び交っている、といった具合だ。
ちなみに、ハンガリー国民議会で今年8月11日、新大統領にアンドラーシュ・バカ氏(Baka Andras)が選出された。古いところでは1991年、第58代フィンランド首相にエスコ・アホ氏(Esko Aho)が選ばれた時があった。フィンランドの欧州連合(EU)加盟への道を切り開いたやり手の政治家だ。その名前が「アホ」だった。アホ氏やバカ氏が選出された時、日本のソーシャルメディアで話題となったとは聞かない。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年11月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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