先日の記事で法人税の減税を提言しましたが、きのうの日経新聞の「経済教室」で、井堀利宏氏も法人税の減税を求めています。それと同時に彼が提唱しているのは、消費税の増税です。不況に増税するというのは一見、おかしな政策のようにみえますが、実は消費増税は消費を促進する効果があるのです。
この図は、1997年4月に消費税が3%から5%に引き上げられたときの実質GDP成長率です。増税の決まった96年10~12月期に、増税前の駆け込み需要でGDPが大きく上がり、増税後の97年4~6月期にその反動でマイナス成長になっています。これを「橋本政権の増税で不況が悪化した」などというのは誤りで、10~12月期には通常の値に戻っています(98年に下がったのは信用不安が原因)。
したがって、たとえば「消費税率を2020年まで毎年1%ずつ上げる」と決めれば、一種の人為的インフレを起こすことができ、消費が刺激されます。この増税と同時に法人税や所得税を引き下げ、税収中立にすればよいのです。消費税にインボイスを導入して捕捉率を高めれば、税収は増えるでしょう。消費税は逆進的な性格をもっているので、所得分配の不平等化を防ぐには、負の所得税(給付つき税額控除)で最低所得保障を引き上げればよい。
所得分配の不公平が最大なのは、実は現在世代と将来世代です。したがって財政を健全化することは、若い世代の将来への不安を減らし、消費を増やす効果があります。大事なのは、井堀氏もいうように、税を短期的なバラマキとして使うのではなく、長期的な資源配分の効率化の手段として使うことです。
コメント
私も消費税の段階的増税に賛成です。
複数投稿すみません。追記です。
消費税の段階的増税に賛成ですが、法人税や所得税の引き下げには現在の私の理解では反対です。
法人税や所得税の引き下げる理由、税収中立にする理由について掘り下げられた記事を希望します。
国内企業の海外での競争力が落ちるのではないか、たとえばODAによる事業機会を失う結果になるのではないか、など気になります。そういう面では郵貯の問題も関係しますが。
日本の国際影響力が増す政策であれば支持します。