起業するということは

昨日アゴラ・シンポジウムに参加させていただきました。
日本で起業することとは、ということがメインテーマであったと思いますが、起業とはなんでしょう。
あるいはベンチャーとはなんでしょう?

少し前までは、IPOを目指す意志の有無を、中小企業とベンチャーの相違のように語る人も多かったですが、これだけ株式市場が低迷し、IPOしたところで余計なコスト負担や規制ばかりがのしかかり、それほどのキャピタルゲインも得られない、となると、ベンチャー経営者だけでなく、VC側でさえIPOをマスト条件にはしないと公言するところがでてきています。

となると、ベンチャー イコール IPO志向ではない。ではラーメン屋を開くことがベンチャーかというと、これもちょっと違う気がする。
しかし、仮にラーメン店をチェーン化して、全国制覇を目指す、と言った瞬間に、それはベンチャーといっていい、と僕は思います。

つまり、ベンチャーとは、キャッシュフローを黒字にすることやお金を得るということだけではなくて、それなりの社会認知を得るだけの成長を目指すということであり、世の中をなんらかの形で変えてやろうという意志を持った小企業、といえるのではないでしょうか。つまり、ミッションというかビジョンを持っている企業でなくてはならない。少なくとも僕はそう思ってやっています。

先ほどのラーメン店でいえば、美味しいラーメンを作る、と考えることはラーメン店主であれば当然ですが、それが 全国のお客様に美味しいラーメンを食べてもらう、となった瞬間に、大いなるミッションになります。そしてその美味しいラーメンとはどんなラーメンなのか。みそなのかトンコツなのか、他のラーメン店とどう違うのか、どういう味を提供したいのかを考えた瞬間に、それがビジョンになります。そのミッションとビジョンを実現するために必要な手段を考えることが戦略であり、ビジネスプラン(事業計画)になります。

話が前後しましたが、ベンチャーを起こす、起業するということは、すなわち自分のミッションとビジョンを持つ人が、ビジネスプランを作成し、賛同者(投資家)と利用者(ユーザー、消費者、購買者)を得るために、成長性を持つ会社を興すことです。

日本では確かに米国に比べれば、ベンチャー起業を支援する制度がプアであり、脆弱な環境にあります。しかし、それでもやるところに意味があるのではないでしょうか。
もう一度繰り返しますが、自分のミッションとビジョンを実現するための手段であるビジネスプランを必死に作成し、ダメなら作り直し続けて、まずは賛同者を得る努力をすること。起業するということはそれだけのことであり、その努力を惜しまない者だけが、起業する資格がある、と言える。僕はそう思っています。