香港法人、タックスヘイブンの仕組み - 小谷 まなぶ

小谷 まなぶ

 国際貿易を行なっているとよく利用させるのが、香港を利用した三国間貿易、なぜ、三国間貿易を行うのでしょうか?海外で資材調達をしている企業にとって、三国間貿易を行うメリットがどこにあるか今日は、書いてみたいと思います。

 香港とは、タックスヘイブンといわれる地域で、税金上の優遇があります。その優遇制度がどのようになっているかは、あまり説明した文献が少ないと思いますので、私自身が、中国上海と香港に法人を持ってビジネスを行なっていますので、経験談から、香港を使った3国間貿易のメリットについて簡単に説明したいと思います。


 香港法人というと、何か日本では、税金逃れの法人として、あまり良いイメージがないと思いますが、しかし、香港は、まったくの無税かと言えば、そうではありません。香港市内で収益の上がるビジネスを行なえば、16.5%の利得税(リーダースイ)という所得税がかかります。
 
 それでは、なぜ、香港法人が非常に税制面でメリットがあるといわれる原因に、『海外から送金されてきた(資金)に対して、税金をかけない制度』【オフショア法人口座】があります。送金に対する規制は、特に厳しい規定は設けていません。
 中国国内の企業の場合は、貿易権などのない企業の場合は、外貨送金を規制していますが、香港法人の場合の海外送金に対する規制などは、一般的にありません。国際貿易に対する資金送金、投資に対する国際送金など、自由に海外との国際送金を行なうことができます。

 例えば、アメリカから香港法人に送金して、その一部の資金を日本に再送金をした場合、香港に利益が残ります。
 香港に残った利益に関しては、その資金が『海外から送金されてきた資金』という事であれば、課税対象になりません。

 アジア諸国で言えば、タックスヘイブンで有名な地域は、香港、シンガポールです。香港法人がなぜ人気が有るかは、私が思うに、シンガポールより法人口座の維持条件のハードルが低い点にあると思います。
 また、香港法人は、登記上、最低1名から登記することができ、外国人であってもパスポートのコピー及び、登記申請に必要な書類にサインをするだけで、1ヶ月程度で法人登記が完了します。
 そのようなお手軽さがあるのが、香港法人です。

 また、資本金に関しては、最低資本金は、1香港ドル~ということですので、登記に関する資金面でハードルが低い点があります。
 そのような理由から、香港に法人をもつ企業が多いということがいえると思います。

 香港は自由貿易港、金融都市として発展してきました。それを支えたのが、海外からの外貨です。香港に資本が流入する仕組で、香港以外の外国から送金されてきた資金に対して課税されないという利点を使って行なうのが、香港を使った三国間貿易です。
 次回は、中国における国際貿易について説明したいと思います。

 
 
 
 
 
 

コメント

  1. bobby2009 より:

    香港法人のメリットは、送金だけではなく、オフショア(香港外)で得た利益が非課税になる事があげられます。(下記の日本・大陸中国・香港の課税について会計士事務所が説明しているサイトが参考になります)

    http://www.nacglobal.net/2009/02/corporate-tax-1/#more-124

    たとえば香港に法人を設立し、そのスタッフが日本へ出張してコンサル業務を行い、香港法人が日本国内の顧客へ請求書(Invoice)を発行した場合、その取引に関する利益は、香港では非課税となります。

  2. bobby2009 より:

    香港法人のメリットは、送金だけではなく、オフショア(香港外)で得た利益が非課税になる事があげられます。(下記の日本・大陸中国・香港の課税について会計士事務所が説明しているサイトが参考になります)

    http://www.nacglobal.net/2009/02/corporate-tax-1/#more-124

    たとえば香港に法人を設立し、そのスタッフが日本へ出張してコンサル業務を行い、香港法人が日本国内の顧客へ請求書(Invoice)を発行した場合、その取引に関する利益は、香港では非課税となります。

  3. bobby2009 より:

    小谷氏は既にご存知と思いますが、今年の3月に日港間で租税条約が締結されたそうです。低い法人税や生活のし易さと治安の良さを合わせて考えれば、海外統括会社を香港に設立するのがベストではないかと考えますが如何でしょうか。関連記事をリンクに張りましたのでご参照ください。海外統括会社に関する記事をお待ちしています。