中国の国の仕組みというのは、非常にシステムチックに出来ているなぁと思うことがよくあります。中国がなぜ、外貨貯蓄高が増えるのか、その仕組みについて、中国貿易という観点から書きたいと思います。
中国と国際貿易をする際に、貿易権という権利が必要なことは、よく知られていますが、貿易権と一言で言いますが、貿易権をもって、どんな手続きを行なっているか知っている方は、実際に貿易実務を行なっている方以外、あまり知られていないように思います。
貿易権を持っている企業と中国の外貨を管理しているお役所『外貨管理局』と非常に関係があります。
中国から海外に商品を輸出する際に、『外貨核銷単』という書類を準備します。『外貨核銷単』という書類には、どんなことが記載されているかと言えば、海外から発注の入った商品価格と、品名が記載されています。
どんな商品が、いくらで発注を受けたかについて、記載した書類です。
中国の国際貿易の規定で、『中国から海外に輸出する商品に対して、商品代金は、海外から、外貨送金をしなければならない』と決まっています。すなわち、中国国内で、人民元で、商品代金を支払って、商品を購入し、海外に輸出してはいけないというルールがあります。
中国の外資系の銀行のATMの張り紙で見かける告知で『外貨管理局の規定で、国際クレジットサービスなどでATMでお金を引き出し、そのお金で中国国内で商品を買い付け、海外に輸出してはいけない。』と、記載されているの見かけます。これは、中国から海外に商品を輸出する際には、すべて、外貨管理局経由での支払いを義務付けているからです。
貿易権の持っている企業というのは、外貨管理局に対して、『外貨核銷単』の書類申請を行ないます。『外?核??』は、いくらで商品を海外に対して売るのか事前申請を外貨管理局に対して行ないます。この書類申請をすることで、外貨管理局としても、どれだけの外貨取引が行なわれているのか把握することができるのです。
すなわち、中国から輸出通関する際に、『外貨核銷単』の書類を提出が義務付けられています。
外貨核銷単は、先に、いくらの取引をするのかという宣言みたいないものですので、宣言した価格を必ず、海外から送金させることが条件になっています。
この考え方は、非常に合理的です。先に、中国の外貨管理局に対して、「いくらの取引額の商売をおこないますので、輸出許可書を出してください。そして、規定期日のうちに、外貨を外貨管理局に対して支払います。」とい宣言のようなものです。
外貨管理局としては、『外貨核銷単』という通関許可書を出すわけです。すなわち、中国から海外に商品を輸出する許可書を発行するのです。
貿易権の持っている貿易会社は、外?核??を受け取って、中国から海外に対して輸出作業を行ないます。
規定では、輸出通関をしてから3ヶ月以内に海外から商品代金の回収を行なわなければならないという規定があります。
※ ここでは、3ヶ月と記載していますが、細かいルールは、いろいろあります。
お金の流れとしては、(海外の取引先の銀行)⇒(中国の貿易権のある企業の銀行口座)⇒(外貨管理局)⇒(外貨管理局で外貨から人民元に両替)⇒(貿易会社が両替した人民元を受け取る)⇒(商品の製造したサプライヤーに対して人民元で支払う)
という流れで作業します。
貿易会社は、外貨管理局の窓口業務のような仕事をしていることになります。外貨管理局は、外貨を回収して、人民元に両替して、両替した人民元を中国国内の商品代金の支払いする資金として、貿易会社に渡します。
この流れを見れば、理解できますが、世界の工場となった中国は、世界に対して非常に多くの商品を輸出してます。中国から海外に商品を輸出して得た外貨は、外貨管理局が回収できる仕組みをつくっています。
中国貿易を行なっていると中国ビジネスは、中国の国が決めた仕組みの中でビジネスをおこなっているのだなぁと感じることがよくあります。
しかし、国が裕福になるための仕組みというのは、必ず必要だと思います。中国が20年足らずで一気に成長できた理由は、この外貨管理システムが大きく関係しています。
今日は、中国貿易と中国の外貨管理について書いてみました。
コメント
中国に限らず、基本的な外為法の意味ですよね。 日本でも昔の外為法は、同じ様な管理をしていました。