Twitterがいよいよ自身のビジネスモデル(リアルタイム検索の結果への企業のツイートを反映するという広告モデル)を明らかにしました。
Facebookも黒字化を果たし、ソーシャルメディア企業たちは、ポータル事業やEC、検索事業といった先行するネットサービス企業から、時代の主役の座を奪いつつあります。マイクロソフトやGoogleらが、TwitterやFacebookの買収に動いた時期もありましたが、結局誰も応じず、ソーシャルメディア企業の多くは自力でのIPOを目指すことになるのでしょう。
簡単に言うと、起業家は、大きく三つの選択肢を持っています。
一番目はもちろんIPO(新規株式上場)です。
最近の日本の株式市場の低迷下では上場しても、会社としても起業家としてもあまり大きなお金を得ることができず、魅力は半減していますが、それでも上場することで社会に価値を認めていただけるのは大きな意義を感じるものです。
それが適わない場合の選択肢は、M&A、すなわち企業買収に応じるということです。他の有力企業に会社自体を売ることで、売却益を目指すものです。もちろん創業期よりも企業価値が落ちていれば、売却損もありえますが、それでも倒産を避けたり、市場での激烈な競争に単独で戦っていくことのストレスを幾ばくかでも解消できるのであれば受け入れる起業家も少なくありません。
そして、どちらかを目指す過程か、どちらも選択できないときの結果として選択肢は、キャッシュフローを黒字にして永続的に経営を続けること。つまり、中小企業として生きていくことを目指すことです。逆に言えば、これ以外の道はすなわち倒産、ということですから、経営者としてはこれをなんとしてでも避けなくてはなりません。
最近成長著しい、位置情報サービスのベンチャー foursquareは既に利用者数が100万人を超え、企業価値が数千万ドルに達したと言われていますが、彼らはいま、Yahoo!やマイクロソフト、Facebookといった先行する有力企業からの買収のオファーを受けていると言われています。大方の起業家はIPOを目指して起業しますが、世間の注目を集め始めると、当然先行企業との競争にさらされるし、成長の加速を義務づけられるので、実はfoursqurareのように、名前が知られ始めたときが一番プレッシャーがキツいのです。
翻って、日本の起業家事情を考えると、先述のようにとにかく国内の株式市場の状態は悪いし、ベンチャーへの資金流入もどうも潤沢とは言いがたい状況は続いています。つまり、米国に比べても、遥かに日本の起業家は恵まれない、底冷えのする環境に置かれたままです。しかし、それでも、日本が経済のダイナミズムを維持して、経済大国としての面目を保っていこうと思えば、より多くの起業家を生み出していかねばならない。がんばるしかない、そんな想いを抱えているベンチャー仲間は多いです。
TwitterやFacebookは、プレッシャーに耐えぬき、買収話を蹴って今の成長軌道に会社を乗せましたが、果たしてfoursquareはどうでしょうか。
僕の個人的な見方では、foursquareは買収に応じた方がいいと思います。GPSとソーシャルアプリというアイデアは、技術的にそれほど難しいものではないので、TwitterやFacebookには1年としないうちに追いつかれると、僕は思います。Facebookにいまのうちに売った方がサービス存続にも売却益も一番いいときでしょう。
Ustreamは、売らずにIPOモデルのほうがいいかもしれません。テキストのソーシャルストリームはTwitter、人間関係のソーシャルストリームはFacebook、ライブ映像のソーシャルストリームはUstream。この3つは当分ソーシャルウェブの本流として生存できると僕は確信しています。
いずれにしても、起業家は自分の妄執にとらわれることなく、柔軟に3つの選択を行うタイミングを常にアタマに入れておく必要はあるでしょう。そう、誰よりも柔軟に。