電波政策も政治主導で ー 山田肇

2010年08月19日 14:40

モバイルマルチメディア放送の委託事業者選定が混迷を極めている。池田信夫氏の記事『破綻した電監審』に書かれているように、電波監理審議会に今その判断が委ねられている。

この問題では、民主党の情報通信議員連盟が8月4日に公開で勉強会を開催した。その様子は日経ITPro『携帯マルチメディア放送、民主党議連が官主導の進め方に異議』などで報道されている。勉強会では勝又恒一郎衆議院議員は「電波監理審議会は正しい判断を下せるのか」と質問した。これに対する総務省情報流通行政局大橋秀行総務課長の回答は素直だが、驚くべきものだった。


これまでの報道は回答の一部を抜き書きしただけだが、無料ネットテレビのピラニアTVには勉強会の様子がほぼ無編集で『携帯マルチメディア放送の未来を占う ?2010年8月のワーキンググループ』としてアップされた。

動画No.2の5分から6分までの間に記録されている、大橋課長の発言をそのまま書き写そう。

審議会に対して諮問し答申をいただきますけれども、これは私どもの評価ということを審議会にお諮りして答申をいただくということでありますから、要するに評価は私どもの方でいたします。そのうえで第三者的な立場の方々にも専門的な何がしかの立ち位置・立場からご意見をいただくということでありますから、われわれは当然のことでありますけれどもプロフェッショナルな立ち位置に立ち、それだけのスタッフを持ちしっかりした評価というものをさせていただくということで、準備もしてまいりましたし、現に作業も進めているわけですから、その点についてはしっかりした結論を導き出せると考えております。

大橋課長の回答は、総務省電波部の判断を追認するだけの電波監理審議会、という仕組みを素直に説明したものだ。しかし、政治主導を唱える民主党議員の前で、官僚主導の実態を堂々と話すことに躊躇しない様子には、驚きを禁じ得ない。

行き詰まりに達した電波政策を改革するには官僚主導の仕組みを破る必要がある。「プロフェッショナルによるしっかりした判断」の積み重ねで、わが国の電波産業はガラパゴス化し競争力を喪失し、国民が自由に利用できる電波は限られているからだ。

電波政策も国民の負託の下、政治主導で進めるべきだ。同じ勉強会で岸本周平衆議院議員が発言したように、このモバイルマルチメディア放送は、入札価格が高騰する恐れもないので、電波オークションを実験するのに最適だった。この電波オークションの導入といった抜本的な改革には政治の力が強く期待される。

山田肇 - 東洋大学経済学部

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