iPhone/iPadをSIMフリーに

2010年09月23日 20:31

私のブログ記事について、松本さんからツイッターで反論があったので、今週のお題にそって、ここで補足しておきます。

私はソフトバンクが「基地局が繋がりにくいから光の道で救って貰おうと考えている」と批判しているわけではありません。「無線の帯域の不足は無線で解決するしかない」といっているのです。無線トラフィックが激増する(している)ことは、今のソフトバンクの状態をみれば明らかです。これを解決する方法は基地局を増設するしかなく、FTTHは役に立ちません。


ソフトバンクの「アクセス回線会社」構想は、固定回線から無線にトラフィックの中心が移るという流れは認めながら、その急増するトラフィックを屋内のフェムトセルに逃がすためにFTTHにしろという論理になっています。しかしこの論理が成り立つには、少なくとも

  • 政府がNTT法を改正してアクセス回線会社を構造分離し、

  • 同社が(株主の意思にかかわらず)FTTHを5年間で全世帯に強制的に敷設し、
  • 全世帯のFTTHの終端にフェムトセルや無線LANのモデムを装着する

という条件が必要で、これは技術的にもビジネス的にも政治的にも、実現可能とは思われません。かりにそれが実現可能だとしても、今の非常につながりにくい状態を改善する役には立たない。特に都心部では基地局が決定的に足りないので、フェムトセルなどで逃がすだけではとても追いつかない。

ソフトバンクは、iPadに無線LANのモデムを同梱したり、フェムトセルを配ったりしていますが、それを設置するユーザーは少ない。パケット定額制では、接続時間を節約するインセンティブがないからです。混雑するのは都心の屋外で、フェムトの置かれる自宅とは中継系のトポロジーが違うので、FTTHは無線の輻輳問題の解決策にはならない。

ソフトバンクも基地局の建設を進めていますが、その設備投資が経営に重くのしかかっています。しかしそんな巨額の投資をしなくても、基地局の負荷を減らす簡単な方法があります。SIMロックをやめて、iPhone/iPadをドコモのネットワークでも使えるようにすることです。今でもドコモのモバイルWi-FiルータやAPモードでiPadを使っている人は多いので、SIMロックがなくなれば、新規ユーザーの半分ぐらいはドコモに移行するでしょう。これで基地局を新設する必要は、当面なくなるものと思われます。

私は、総務省がSIMロックを規制することには反対だし、ソフトバンクが(公益のためではなく)株主のためにSIMロックをかけることには反対しませんが、現在の状況では過大な投資負担が生じて、株主利益にもならない。ソフトバンクはアップルに一定の超過料金を払っているでしょうから再契約が必要かもしれないが、アップルにとっても回線の容量不足で端末が売れない現状は好ましくないでしょう。

ソフトバンクがSIMロックをやめてドコモと対等に競争することはユーザーにとって望ましく、ソフトバンクの株主利益にもかなうだけではなく、日ごろから「インフラを開放して公正な競争を」とNTTに呼びかけている孫社長の主張にも沿うものです。総務省に規制される前に、ソフトバンクが進んでSIMフリーにして競争を促進すれば、通信業界が活性化し、日本経済のためにもなるでしょう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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