一番のニュースは報道されない - 村上たいき

アゴラ編集部

この一年間、世の中ではいろいろ大きなことがありました。欧州の債権危機、日本の大卒就職難、尖閣諸島の追突事件、北朝鮮の砲撃、メキシコ湾原油流出、劉氏のノーベル平和賞受賞、韓国哨戒艦沈没、スー・チーさん解放、アイスランド火山噴火、キャメロン英首相誕生などなど。これだけいろいろありましたが一番のニュースとして、最初に私の頭に思い浮かんだのは「子供の成長」でした。


アゴラをはじめWEBでは世の中の大きな出来事に対して、世の中がかくあるべきだと論じられます。個人的には、世代格差、既得特権の維持、政治のふがいなさなどなど、世の中へのいつも不満を持ちます。しかし私個人が不満を持ったところで何も変わりません。塵は積もってもゴミであることが多いです。個人にとって、影響できないことに努力するより、影響できることに対して努力したほうが良いと思います。大きなことに対して議論するのも大事ですが、それと同時に、大きな正論より大きな現実を受け止め、そこで個人として何を感じ何を考え何を行動するかを考えることも大事なのではないでしょうか?

自分はそんなに大きな人ではありません。最初に挙げたような大きなことに対して意見や批判はできるでしょうが、何一つとして影響できないと思います。そんな大きなことによく目を凝らし、世の中の流れを見ることは、その流れの中で生きる人間として大事なことです。しかし大きなものばかり見て自分の足元を見ないことは自分の人生にとって良いことではありません。

マザーテレサは、インタビューの中で「世界平和のために私たちはどんなことをしたらいいですか」と尋ねられたときに「家に帰って家族を愛してあげてください」と答えたそうです。子供の成長は、世の中から見れば小さなことかもしれませんが、私にとっては一番大きな幸せです。

私たちは限られた時間のなか人生を生きています。その限られた人生は、世の中の大きなことから見れば非常に小さいことかもしれません。はたまた宇宙の歴史からみたら塵のようなものです。しかし、その人にとって人生とは全てです。その貴重な人生(時間)に対して真剣に取り組むことを忘れないようにしたいと思います。

アゴラ編集者様のお言葉「年末ぐらいは今年を振り返って、個人的な話をしていただいて結構です。」に甘えて、自分自身の一年をふりかえりました。そこでまず思い浮かんだのが、自分の子供がひとつひとつ言葉を覚えていく様でした。世の中がどうあれ自分の手の届くところに幸福があることを幸せだと思います。これが私の足元です。最後に、下記は環境啓発によく使用されるフレーズですが、個人の行動全体に関してもとても良い言葉かと思います。

Think global, act local.
(大きな視点を持ち、身近なことから行動に)
(村上たいき)

コメント

  1. bakudream より:

    小さな幸せこそ最大のgood newsですね。巨悪、極悪は誰にも判らないし報道もされません。

  2. minourat より:

    こうした見解をアゴラで読むのはめずらしいことです。 米国人などと話してみると、 ほとんどの人は一番大切なのは、 仕事でなくて家族だといいます。 逆にいえば、 政治なんかにあまり期待していないということです。 中国人でもそうだとおもいます。

    アゴラが日本の政治等の批判のオンパレードで具体的な提案がほとんどないのは、 まだまだ政治に期待しておられるのではないでしょうか? それとも、一時的なストレス解消か、幕末の志士や昭和の青年将校の焼き直しでしょうか?

    私なんかは、 「おまえならどうする?」といわれれば、 たいした案もうかばずビビってしまいます。 日本の政治家には同情もします。

    さいきん、日本からの米国への留学生数が急減しつつあり、 ハーバード大学での博士号取得者のうち東大出身者数は精華大学出身者数の約5%であるという記事をよみました。 広い世界にでて視野もひろげるのもよいかとおもいます。

    ご家族のご多幸をいのります。