消費税を上げる時に注意したいこと

2011年01月27日 01:14

昨年7月の参院選の前というタイミングであえて消費税率引き上げに勇気をもって言及した菅首相、昨年末に政府が発表した税制改正大綱、改造内閣での与謝野馨経済財政担当相の大抜擢。いよいよ消費税増税の舞台は整った。菅内閣と財務省は並々ならぬ決意でもって消費税シフトを敷いた。この消費税率引き上げに比べれば、筆者には日本のその他の政策課題は些細な問題に思えてくる。自民党も消費税率を少なくとも10%に引き上げることを、前回の参院選の前に提案していた。もはや消費税率の引き上げは決まったのではないかと筆者は思っている。そこで今回は消費税率が引き上げられるという前提のもと、どうやって消費税を引き上げるべきなのかを議論したいと思う。


筆者は消費税率の引き上げには基本的に賛成である。増税の前に政府の無駄をなくせというのはあまりにも正論であって、完全に正しいことだ。しかし無駄をなくすのは難しい。なぜなら政府の無駄は必ず誰かの利益になっているからだ。むろん政府にそういった無駄(つまり不当に利益を得ている集団)をなくすように圧力をかけ続ける必要はある。マスコミやインターネットのメディアは政府の無駄を見つけ出し、追求していく責務を負っている。とはいっても日本の低負担、中福祉の実態は持続可能でないのは明らかだ。日本は政治家の人気取りのために高額所得者の所得税や大企業の法人税は世界最高水準だが、それらは付加価値を生み出す個人や企業の海外流出を後押しするだけで、結果的には多くの日本国民の負担をかえって増やすことになろう。

さて、消費税を上げる際に一番重要なことは何だろうか? 筆者は例外を作らないことだと思っている。なぜならば特定の業界への例外的な税制の優遇措置は政治の腐敗を引き起こし、必ず経済の効率性を大きく損なうからだ。政治家への働きかけによって、消費税の例外に入れてもらえるとなれば、レントシーキングは激しいものになる。そういったロビー活動に費やされる労力は全くもって国民を豊かにしない。特定の団体と一部の政治家や役人を潤すだけだ。

例えば、生活必需品に関しては消費税を免除しようという議論がある。スーパーで買う食品や、通勤の定期券などだ。しかし筆者はこういった例外措置には大反対である。まず第一にどこまでが「生活必需品」で、どこからが「嗜好品」なのかの線引きが難しい。そしてその境界領域の業界団体に強烈なレントシーキングのインセンティブを与えることになる。また税制も不必要に複雑化する。

そもそもスーパーで食材を買って自炊することを税金で優遇し、レストランで食事をすることに税金をかけたり、満員電車で通勤することを優遇し、タクシーに乗るのは贅沢だと税金をかけようという発想そのものが根本的に間違っている。なぜならば自分で自炊すると、確かにレストランよりは安いかもしれないが、時間という非常に貴重なリソースが使われるからである。むしろ所得の低い人ほど積極的に外食して、それで空いた時間を使ってスキルアップし、人的資本の価値を高めるべきなのだ。また、そうすることによって外食産業での雇用も生まれ、国全体の経済効率は高まっていく。タクシーも同じである。とにかく日本国民は特定の業界に利益を誘導するような消費税の特例措置には断固として反対していかないといけない。

もし本当に例外のない消費税が可能ならば、たった消費税率10%ほどで他の税金を全て廃止しても、現在の日本の税収を超えることになる。現在の日本の税収は年間40兆円程度だ。GDPは500兆円なので10%の消費税をしっかり取ればそれだけで税収は50兆円になる。本当に例外のない消費税を目指せば、たったの10%程度で、現在の全ての税収を補って余りあるのだ。菅内閣にはレントシーキングの起こらない消費税の引き上げを期待したい。

参考資料
2020年、日本が破綻する日、小黒一正
政府の規制や補助金はなぜ醜悪なのか? ―レントシーキングの罠― 金融日記
いよいよ消費税が切り上がる、アゴラ

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