エネルギー復興なんかいらねぇ - 純丘 曜彰

2011年04月17日 08:26

日本は資源が無い、だから原子力だ、は、サルを騙すウソ。ウランだって、結局、石油と同じ輸入品で、それこそ国際情勢に振り回され続けるだけじゃん。

足らねぇ、ってんだから、もーしょーがないじゃないか。しばらくしんどいかもしれないが、いまのうち、とっとと足らすように知恵を絞って工夫しときゃ、そのうちどうせ世界でも足りなくなるんだから、そうしたら日本が一気にトップに返り咲く。

古い人間なら、1973年の第一次オイルショックを思い出せ。エジプトとイスラエルの第四次中東戦争に端を発し、石油価格が4倍に跳ね上がった。あのとき、米国は、石油の安定供給にこだわり、中東に介入して、湾岸戦争から現在の独裁者問題まで、泥沼に財政赤字を拡大していく。一方、日本は、さっさと町中のネオンも消し、テレビも放送時間を大幅にカット。野球のナイトゲームも当然に中止。旧財閥グループに依存する古い重厚長大産業が没落し、ホンダのような独創的な会社が現れてくる。


で、79年にイラン革命で第二次オイルショック。米国は、あいかわらずの石油大量消費体質で自滅。とくにガソリン喰いのばかでかい米国製自動車は、国内外でまったく売れなくなる。だが、省エネに変貌していた日本は、この機に乗じて、小型車で世界を席巻。家電も含め、日本製は安くて長持ち、と評判になり、あれよあれよとナンバーわん。

電力が足らなきゃサルに戻っちまう、って、その発想こそ、まさにおサルさん。日本の弱電気の省エネったら、パねぇ技術だ。たとえば、60Wの電球の明るさが、いまやLEDでわずか9W。83年当時の業界標準パソコン9801F2+モニタで69W+70Wだったのが、驚異的に性能が向上した今のレッツノートSで39W。エアコンなんかも、この10年で消費電力が半減。インバータ無しの80年代からすれば、およそ1/4以下だろう。

なんでこんなにすごいことになったのか、というと、1999年の改正省エネ法で、トップランナー方式が導入されたから。前年度の業界のベストパフォーマンス商品を越えられないメーカーは、名前を公表して罰金を徴収する、という厳しいもの。恥をかいて罰金まで取られるくらいなら、開発競争にカネをかけ、政府から業界No.1のお墨付きもらった方がいい、とメーカーが考えるのは当然。「乾いた雑巾を絞る」と言われても、それをやってみせるのが、日本の技術者。ただでさえ電器メーカーは生産過剰なんだから、できなきゃ、顧客が離れ、会社が潰れてしまう。政官財学マ、べったり癒着のぬるまい独占ウラン湯に浸っていられるお偉いさんたちとはワケが違うんだよ。

3.11以前と同じだけの電気を寄こせ、などと吠えているのは、新しい状況に対応できないロートルの政治家や評論家だけだ。テレビで福島の様子を見たら、もうあの日より前には戻れないことくらい、誰だってわかっている。グチっている暇があったら、しゃあねぇ、やるか、と腰を上げ、黙って自分のすべきことに打ち込むのが、日本人気質というもの。

実際、この一ヶ月で、多くの人々、多くの企業は、とっとと生活防衛、電力対策に乗り出した。メーカーもこれに呼応して、発電機や蓄電池の大増産に入っている。多くの住民や会社が、地震や津波、停電にあまりに脆弱な高層ビルや湾岸埋立地を見捨て、新しい住宅や拠点の建設へと動き出している。この状況で、いまさらムリにムリを重ねて発電量を回復し、虚栄の東京を復古したりなんかするより、民間新規の健全な設備投資の方が、ずっと日本の景気回復、体力増強のためになるんじゃないんだろうか。
 
(純丘曜彰 博士 大阪芸術大学芸術計画学科教授/元テレビ朝日報道局報道制作部『朝まで生テレビ!』ブレーン)

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