日本は資源が無い、だから原子力だ、は、サルを騙すウソ。ウランだって、結局、石油と同じ輸入品で、それこそ国際情勢に振り回され続けるだけじゃん。
足らねぇ、ってんだから、もーしょーがないじゃないか。しばらくしんどいかもしれないが、いまのうち、とっとと足らすように知恵を絞って工夫しときゃ、そのうちどうせ世界でも足りなくなるんだから、そうしたら日本が一気にトップに返り咲く。
古い人間なら、1973年の第一次オイルショックを思い出せ。エジプトとイスラエルの第四次中東戦争に端を発し、石油価格が4倍に跳ね上がった。あのとき、米国は、石油の安定供給にこだわり、中東に介入して、湾岸戦争から現在の独裁者問題まで、泥沼に財政赤字を拡大していく。一方、日本は、さっさと町中のネオンも消し、テレビも放送時間を大幅にカット。野球のナイトゲームも当然に中止。旧財閥グループに依存する古い重厚長大産業が没落し、ホンダのような独創的な会社が現れてくる。
で、79年にイラン革命で第二次オイルショック。米国は、あいかわらずの石油大量消費体質で自滅。とくにガソリン喰いのばかでかい米国製自動車は、国内外でまったく売れなくなる。だが、省エネに変貌していた日本は、この機に乗じて、小型車で世界を席巻。家電も含め、日本製は安くて長持ち、と評判になり、あれよあれよとナンバーわん。
電力が足らなきゃサルに戻っちまう、って、その発想こそ、まさにおサルさん。日本の弱電気の省エネったら、パねぇ技術だ。たとえば、60Wの電球の明るさが、いまやLEDでわずか9W。83年当時の業界標準パソコン9801F2+モニタで69W+70Wだったのが、驚異的に性能が向上した今のレッツノートSで39W。エアコンなんかも、この10年で消費電力が半減。インバータ無しの80年代からすれば、およそ1/4以下だろう。
なんでこんなにすごいことになったのか、というと、1999年の改正省エネ法で、トップランナー方式が導入されたから。前年度の業界のベストパフォーマンス商品を越えられないメーカーは、名前を公表して罰金を徴収する、という厳しいもの。恥をかいて罰金まで取られるくらいなら、開発競争にカネをかけ、政府から業界No.1のお墨付きもらった方がいい、とメーカーが考えるのは当然。「乾いた雑巾を絞る」と言われても、それをやってみせるのが、日本の技術者。ただでさえ電器メーカーは生産過剰なんだから、できなきゃ、顧客が離れ、会社が潰れてしまう。政官財学マ、べったり癒着のぬるまい独占ウラン湯に浸っていられるお偉いさんたちとはワケが違うんだよ。
3.11以前と同じだけの電気を寄こせ、などと吠えているのは、新しい状況に対応できないロートルの政治家や評論家だけだ。テレビで福島の様子を見たら、もうあの日より前には戻れないことくらい、誰だってわかっている。グチっている暇があったら、しゃあねぇ、やるか、と腰を上げ、黙って自分のすべきことに打ち込むのが、日本人気質というもの。
実際、この一ヶ月で、多くの人々、多くの企業は、とっとと生活防衛、電力対策に乗り出した。メーカーもこれに呼応して、発電機や蓄電池の大増産に入っている。多くの住民や会社が、地震や津波、停電にあまりに脆弱な高層ビルや湾岸埋立地を見捨て、新しい住宅や拠点の建設へと動き出している。この状況で、いまさらムリにムリを重ねて発電量を回復し、虚栄の東京を復古したりなんかするより、民間新規の健全な設備投資の方が、ずっと日本の景気回復、体力増強のためになるんじゃないんだろうか。
(純丘曜彰 博士 大阪芸術大学芸術計画学科教授/元テレビ朝日報道局報道制作部『朝まで生テレビ!』ブレーン)
コメント
乱暴な論理展開だけど一理も二理もある主張です。部分的に注釈を加えると、日本はウランを黒潮から漉し取る技術を確立して、そのコストを下げていけば国産ウランの実用化という可能性を秘めています。(今となってはウラン核分裂原子力は凍結先送りでしょうが)
メタンハイドレートも可能性十分。他国なら、もっと積極的に自国資源開発に予算投入しているでしょう。日本は敗戦国意識があまりにも強すぎて石油メジャー(連合国)への配慮からの自主規制の度が過ぎているような気がします。
省エネ技術の更なる向上は当然強く希望しますが、実は省エネが進んでも消費エネルギーは増えます。ある物の消費電力が下がれば、その下がった電力料金に相当する別の消費が発生します。その消費財には製造流通コストが含まれ、それらのコスト=生産流通エネルギーの消費という事になるのです。省エネ技術の向上は、GDPの引き上げに寄与するのですが、消費エネルギー縮小の方向には向かわないのです。
それでいいと思います。エネルギー源の永続的な確保さえ出来れば。より大量にエネルギーを消費してGDPを向上させるか、省エネ技術を更に向上させて、同じ消費エネルギーでより多くの生産高(消費高)を増やすか。
国産エネルギー開発と、省エネ技術向上の二兎を追うのがベストだと思いますね。
経済面では、ちょっとだけ違うところがあるな。代替省エネ商品の製造流通コストは、ミクロ的にはフローだが、マクロ(社会)的には、分散的ストック(社会資本)になる。省エネ設備投資は、中長期的に社会全体のエネルギーフロー(ランニングコスト)そのものを抑え込む。だから、数字上のGDPは減る。しかし、QOL(生活の質)は保たれる。もともとGDPなんぞ、QOLの指標たりえない、というところが、重要なところ。
これまで日本は、社会資本を官僚たちに独占させ、安価な電気がジャブジャブだったから、エネルギーだだ漏れの国を作ってきてしまった、しかし、それは、電源開発費がまるまる税金でまかなわれ、事故賠償費も見込んでいなかったからにすぎない。
電気は、生活基盤の意味もあるから、低収入世帯には低価格で据え置くにしても、一般世帯や一般企業に対しては、むしろ電源開発費や事故賠償費も入れた本来の費用相当価格にまでつり上げた方が、あんな経営効率の悪い東電なんかからは電気を買わず、民間は自分たちでやりくりするようになる。(別途、CO2税なども設定しておくとして。)
いまや東電は中東と同じ。それも、これから事態が良くなることなどない。だから、そのリスク源に対する依存度を減らすことこそが、生活や経営の緊急の課題だ。
勘違いしている読者が多いようなので注釈しておく。
パソコンやエアコンの1台あたりの電力消費量は下がっているが、普及率が大幅に上昇したので、国全体ではパソコンやエアコンの電力消費量は激増している。
テレビだって、液晶になったが、画面サイズが大型化しているので、さして省エネになっていない。
さらには産業用の電力は乾いた雑巾と同様で絞る余地が少ない。家庭用とは違う。
それでも長期的には、少しずつ省エネを推進しようということは、国家的方針であり、京都議定書などで示されている。ただしそのためには、莫大なコストがかかる。無理にやれば、倒産や失業が多大に発生する。
長期的にその方針を進めるのはいいとしても、短期的には電力消費を激減させることは困難だ。せいぜい節電ぐらいだ。
そこをゴリ押しすれば、またしても計画停電や列車の運行停止となる。
そうならないように、火力発電所や自家発電で供給増が図られているときに、その努力を無意味だと嘲笑うのは、ただの素人判断。
> 民間新規の健全な設備投資
電気不足を解消しないとしたら、電気なしで設備をどうするんですか。動かない設備。w
いま家電の世界市場を席巻しているのは韓国ですし、風力発電や太陽光発電などの新エネルギーで強いのはアメリカや中国です。国内でガラパゴス化して世界市場で歯が立たない企業が多い日本で、さらにガラパゴス化しても何も生まれませんよ。
すでにLED業界で繰り広げられているのは、世界で求められるコストと機能の最大公約数に対して、日本企業の何倍もの集中投資で市場のシェアを奪う方式です。機能だけをのんびり追い求めて勝てるわけがありませんし、実際負けています。
電気が使えない、モノを作っても売れない国って、つまり発展途上国ですよ。
理想論としては面白いですが、単純に考えると、電気代や人件費の安い発展途上国に工場を移転する企業が増えるだけではないでしょうか?高効率のシステムを開発する研究開発職だけが日本に残り、実際の製造は海外で行うというパターンが増加しそうです。日本国内で製造を行い続けたいのであれば、安い電気は必須なのです。エネルギー政策は見方を変えれば雇用政策でもあるのです。
液晶テレビはともかく、大型プラズマテレビは、まったくダメだ。中型ブラウン管テレビの3倍も電気を食う。いったいどこが省エネのエコポイント対象なんだか。国家的方針なんて、しょせんそんなもの。
パソコンやエアコンが増えた、だから、増え続ける、というのは、まさに役人的なトラタヌ水増し算法。右肩上がりの外挿的延長に、怪しげな波及効果係数を掛けて、数字の上でだけ、日本はどんどん成長し続ける。しかし、これまでの予測実績を見れば、道路需要でも、空港需要でも、まったくのデタタメ。まあ、建設することに意味がある、という方々だから当然か。しかし、この震災と事故の影響を織り込んでいない単純延長の経済予測なんか、経済の現場では、いまさら何の意味も無い。
電気に関して言えば、人口減と、重厚長大産業の国内空洞化が、もはや決定的要因だ。いまさら電気を増やしたって、人口も、重厚長大産業も増えない。
列車が止まるぞ、停電になるぞ、ってな脅しは、昔ながらの恐怖下のプロパガンダ。しかし、まともに安定供給もできないなら、いよいよ民間の東電離れが進むだけ。
人の話にケチばかりつけていないで、すこしは新しい状況に対応することを考えたらどうかね? 時代の変化に取り残されるだけだよ。せめてさぁ、フローとストック、費用(コスト)と設備投資の区別くらい勉強しておいでよ。
>>足らねぇ、ってんだから~(中略)~黙って自分のすべきことに打ち込むのが、日本人気質というもの。
というあたりの論旨に対してのコメント、以下、
greetreeさんのコメント;
>>パソコンやエアコンの1台あたりの電力消費量は下がっているが、普及率が大幅に上昇したので、国全体ではパソコンやエアコンの電力消費量は激増している。
~(中略)~
電気不足を解消しないとしたら、電気なしで設備をどうするんですか。動かない設備。
それに対しての論者の反論、以下、
>>パソコンやエアコンが増えた、だから、増え続ける、というのは、まさに役人的なトラタヌ水増し算法。
という反論。greetreeさんのコメントは、「電力が増加すればGNPが増え、国が豊かになる」というニュアンスではない。「だから」以降の「増え続ける」の主語は、「GNP」や「経済成長」ですか?違うでしょう。「電力」ですよ、主語は。
ところが引用の段階で「経済成長的なもの」に変わってしまっている。引用誤りだと思う。役人的でもないし、トラタヌでも水増しでもない。
誰一人、「電力の消費が増えれば経済成長している、素晴らしい」という主張をしていないのに、何故このような反論が可能なのでしょうか。 izumihigashiさんのコメントの、第二段落、
>>省エネ技術の更なる向上は~(中略)~消費エネルギー縮小の方向には向かわないのです。
のあたりはそれに近いかも知れませんが、ここの部分にしても結論は「省エネ技術の向上は、GDPの引き上げに寄与するのですが、消費エネルギー縮小の方向には向かわないのです。」のところ。
>虚栄の東京を復古したりなんかするより、民間新規の健全な設備投資の方が、ずっと日本の景気回復、体力増強のためになるんじゃないんだろうか。
論旨からここでの「民間」とは日立、トヨタなどの大企業のイメージでよいでしょうか?一方、町工場については狙われているみたいですねぇ。
韓国、被災企業の工場移転打診(時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011041700165
悲観論は多数ありますが、前向き論もあります。
製造業の海外移転が電力価格の上昇で加速
http://www.toyokeizai.net/business/column/detail/AC/d97c8b52100ca045fad74d5af14d08c2/
個人的には、「成長戦略は有害であることが多く、将来の方向は市場が決める」と思っています。(100%引用ですが・・)
http://www.toyokeizai.net/business/column/detail/AC/1fa1a49e4b6a2a9cbf8bce54d56db9be/page/1/