発送電分離だけでなく、通信電力融合を

2011年05月19日 18:01

菅政権が電力の発送電分離を検討する。福島事故以降、あちこちで議論されている問題だが、ただ原発事故補償金目当てだけの発送電分離では不十分である。

電力送電網には巨大鉄塔で高圧送電をする部分と消費地の都会で小口に分けて配電する部門がある。それらを一体で分離するのか。送電と配電を分けて分離するのか、まだ語られていない。


高圧長距離送電部門は設備投資が巨大で、新規参入が難しい。配電も新規参入は難しいといわれるが、電力会社の配電部門と同じように電柱や地中配管 を持っている企業がある。NTTである。かつてNTTの地域通信網が新規参入を難しくしているといわれたが、電力は自らの設備、電柱や地下配管を利用して通信に参入した。その逆をやればいいのである。NTTが長距離送電に進出するのは難しいかもしれないが、配電分野なら成功する可能性は高い。もともとNTTは電力の大消費者の代表的存在である。太陽光発電などで自ら発電部門に進出するメリットもある。そのための研究もしている。

発電市場では工場の自家発電で余った電力を売りたいという企業が多く、これが発送電分離の発想の原点だった。送電部門を分離したら発電市場で新規参入は相次ぐと期待された。

送電部門は地域独占性が強く、仮に配電と送電部門を一体で分離するとその独占性は不変である。送電部門だけ規制下に置き、配電部門を発電部門と同時に自由化すれば、電力販売の自由度も増すはずで、発電の新規参入が促進される。

NTTの電力参入を促す理由はもうひとつある。スマートグリッドの建設促進である。もちろん他の通信事業者やIT関連事業者が参入してもいいのだが、通信と電力を融合させ、効率的な発電送電配電システムができれば、送電ロスを減らせるし、太陽光など小口の自然エネルギー発電を大量にネットワークで結んで、大規模発電に匹敵する電力供給源にすることもできる。電気自動車の蓄電池を電力ネットワークに組み込むことも容易である。電力の品質が低下するからという理由で電力会社が買電を拒否するなどということもなくなるはずだ。

送電配電の分離は技術的に無理だという反論があるかもしれない。仮に無理だとしても、送電配電の要素ごとにつまり変電所配電所ごとに会計を分離透 明化を図ることで、発電の新規参入を促すことも可能だ。かつてNTTの独占を排除、自由化を進めた経験が電力自由化にも生きるはずだ。

長期エネルギー計画の中で、これらの構想を具体化し、自然エネルギー市場を大きく育て、脱原発の道筋をつけることが、福島後の最も重要な政治経済課題である。

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