そうりゅう型潜水艦「こくりゅう」と中国の原潜と武器輸出と --- うさみ のりや

アゴラ

10月31日、自衛隊のそうりゅう型潜水艦の6隻目「こくりゅう」がお披露目しました。ちなみに黒竜は伝説上は、光を苦手として深い海底で孤独に棲みつき海または闇を司り、魚達を乱獲する者に罰を与え、海底に引きずり込むと言われており潜水艦にはぴったりの名前です。ちなみに五行思想においては、黒竜を玄武と同様、『北方を守護する神聖な竜』とする異説があるそうで、この「こくりゅう」も北方を守護する役目を担う事になるかもしれません。

そうりゅう説明

そうりゅう型潜水艦はスターリングエンジンの搭載に成功し、従来原子力潜水艦以外では数日間が限度だった水中持続力(燃焼用の酸素を補給するため定期的に水上に出る必要がある)を一気に2週間にまで引き延ばした世界最高峰の技術が結集された潜水艦です。ではこの潜水艦がどんな役割を持つのか、ということですが、ついに存在が明らかになった中国の原子力潜水艦部隊ということになりそうです。中国としては近い将来この原子力潜水艦に開発中の潜水艦発射弾道ミサイル「Jl2」を搭載し、太平洋に進出する事で「おれはあんたの土地にいつでもミサイルぶちこめるんだぞ」、とアピールしてアメリカの接近を阻止しようとする狙いがあります。最終目標はもちろんアメリカを釘付けにした上での台湾占領です。こうした中国の動きを事前に哨戒する役割が「こくりゅう」に当てられそうです。

jl2の射程

中国は津軽海峡の海底調査を既に終了済みので、こうした懸念は心配し過ぎという種のものではなく既に顕在化しつつあるとみて良いでしょう。このそうりゅう型潜水艦はその技術水準の高さから、日本と同じく中国の海洋進出を食い止めようとしている国には人気があり、オーストラリアや台湾も購入を検討しています。一方で武器輸出三原則の問題もあるわけで、この辺りが集団的自衛権の議論と併せてどのような結論がでるかを個人的には注目しています。そうりゅう型は非原潜としては性能が段違い に良いので、世界的ベストセラーになってもおかしくないので、武器なので単純に商売だけで考えてはいけないとはいえ、武器輸出の可能性を排除するのは惜しいと感じています。特にオーストラリアとは利害が一致するところも大きいですしね。

そんなわけで潜水艦乗りはストレスが激しいため体調が崩しがちなようですが、自衛隊の皆様なにとぞお身体をご自愛して頑張ってくださいませ。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。