アップルがテスラを買収? iCarの期待は時期尚早 --- 安田 佐和子

2014年02月19日 17:05

アップルによる電気自動車メーカーのテスラ買収。誰もが予想しなかったウルトラCが実現するなら、時代の最先端を駆け抜けるiCar誕生の布石となる——少なくとも、18日の米株市場ではそんな期待が膨らんだようです。アップルは0.4%高、テスラにいたっては2.8%高の203.70ドルの史上最高値を更新して取引を終えました。

コトの発端は前週末のサンフランシスコ・クロニクル紙の独占ニュース。2013年春頃にアップルの合併・買収(M&A)責任者のエイドリアン・ペリカ氏とイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会合したことが分かったんです。

マスクCEOといえば2013年にフォーチュン誌が選ぶ「最優秀ビジネス・パーソン」に輝き、創業者であるスティーブ・ジョブズ前CEO亡き後のアップルを危惧したようにジョブズ氏を尊敬する起業家の一人。そのせいかマスク氏自身もアッと言わせる革新性をはじめクールを極めたデザイン、躍動する機能性でテスラを自動車メーカーのアップルと称されるまでに育て上げました。こうしてみると、相性良さげな組み合わせではあります。報道を受け、マスク氏がアップルの新CEOに就任しiCarを世に送り届けるとの観測が浮上したのも、むべなるかな。

2013年春といえば、決算が振るわずアップルの株価が下落トレンドにあったとき。

aapl

(出所 : Yahoo! Finance)

アップルといえば10—12月期決算でiPhoneとiPadの頭打ちが感じられるだけに、新たな分野への進出は投資家が待望するところでもあります。しかし、アナリストの間では買収の可能性につき「ゼロに近い」との声が優勢。そもそもアップルはグーグルやヤフーなどと異なり、10億ドル以上の大型買収に踏み切ったことはありません。おまけに、テスラ自体が200ドルを超え割高感は否めず。だからこそアナリストからすれば買収よりも、提携こそ現実的な選択肢として浮かび上がっているのです。

提携の可能性としては

1)iPhoneや発売が噂されるiWatchなどウェラブル製品でテスラ製EVを操作

2)テスラが2015年春に発売予定のスポーツ多目的車(SUV)の「モデルX」後部座席に、アップル製エンターテイメント機能の設置

3)超長持ちリチウムイオン電池の共同開発

が考えられます。ちなみに1)だと、すでにBMWが1月に開催された世界最大の家電見本(CES)でサムスンの腕時計型ウェアラブル製品「ギャラクシー・ギガ」とEV「i3」のコラボを発表済み。「ギガ」を通じてEVの充電状況、車内の温度調節、ドアや窓の開閉、ボイス発信でのナビゲーション連携が可能となるんです。イノベーションを追求してきたアップルがこの上をいかなければ投資家は納得しないかもしれません。

テスラのCEOとの会合に関心が注がれましたが、アップルは医療部門での進出も狙っているといいます。医療部門では血流や血管をモニターして心臓発作を予防する製品が念頭にあるんだとか。ウェラブル製品では後塵を拝するアップル、起死回生の大作戦がまもなく展開されるのか。クック船長の舵取りに熱い視線が注がれます。個人的に、iCarは「カーシェアリング」ネットワークとして使えるような気がしますが……何がでるんでしょうね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年2月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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