『美味しんぼ』騒動 ~ それでもワシは大笑いや --- 山城 良雄

2014年05月19日 08:17

『美味しんぼ』騒動、ついに休載にまでなった。もともとの予定のそうやけど、それが本当なら、作者と出版社はむちゃくちゃ美味しい話や。落ち目の漫画に活を入れて、連載再開時には、確実に部数増。

今後は、ネタに困ったらフクシマ(※注1 ←読んでな)へ、ホウシャセンを浴びに行くんやろ。次はどんな過激なことを始めるか。最悪の展開や。特に、今後の復興を本気で考えている人たちには、ダメージが大きいと思う。


大阪弁には「ややこしい」という表現がある。「具体的な理由は不明だ(もしくは憚られる)が、とにかく良くない不確定要素を含んでいる」というぐらいの意味や。ただし、結構、きつい言い方とされている。

一昔前、よく使われてたのは、特定の地域を差別する場合や。「あそこらへんは、ややこしいでっせ」と言えば、同和地区を含んでいるという意味になる。ほかには、会社が潰れかけているという意味もある。「あの会社、デリバティブでややこしい事になってまっせ」という噂で、信用金庫の融資がストップ、本当にややこしくなったりする。

また、上品なキャバレーなどでは、ホステスの下半身に手をのばした客に「ややこしいとこさわったらアカン」とカナキリ声が飛ぶ。それでも、触っていると、とてもややこしい兄ちゃん(たち)が出てくる。

今回の騒動で被災地が受けた最大の被害は、ややこしイメージを押しつけられたことやと思う。被曝に関して新たな事実があったわけやない。あくまで、作り事の中のフクシマの話。鼻血はフィクション、くしゃみはハクションや。

こういう手合に真面目に論争を持ち込んでも勝ち目はない。架空のキャラにケンカは売れん。ボロクソに批判されるのは想定済み。ネットの「釣り」と変わらん、今回は、大物が2匹(福島県・大阪府)がかかった訳やから、まことに「美味しい」話やがな。あらかた抗議が出尽くしたタイミングで休載。「うちは政治的な圧力がかかるぐらいの大物です。最新号が回収される前に書店へGO!!!」と言いたいわけや。

このままで行くと、ホウシャセンの怖さを隠そうとするコッカ権力に勇敢に挑む『美味しんぼ』という神話が出来る。そして「福島はややこしい」という印象だけが残る。実際にややこしいのはフクシマの方なんやけどな。困ったもんや。厄介やけど対策は無視と嘲笑しかない。この観点で、これまでのアゴラの主要記事を順不同で振り返ってみよう

まず、池田信夫ハンの基本的な指摘「『美味しんぼ』は何も証明していない」。川柳にすると「鼻血なら 証明しろよ 美味しんぼ」。相手が、記事や論文ならこれ一本で「試合終了」やが、そもそも証明なんぞする気が全くないマンガでは、結果的に空振りのようにも見える。とはいえ、誰かが言わなならん指摘なんやけど、書いた方は空しいのと違うかな。

迷惑を考えろという前田陽次郎ハンの「『美味しんぼ』騒動の問題点は『事実か否か』ではない」。長崎の例を出し風評被害の怖さがよく分かる記事やと思う。川柳にすると「鼻血なら 騒ぎ立てるな 美味しんぼ」。ただ、今回のはここまで上等の問題ではないやろ。記事中に「事実なら何を話してもいい、という考え方は危険だと考えて欲しい」とあるが、元から事実でもなんでもない鼻血騒ぎを、わざと事実のように描くのが職業の人に、こんな話をしても仕方ないように思う。

デマには責任追及を、という石井 孝明ハンの「放射能デマ拡散者への責任追及を–美味しんぼ『鼻血』騒動から考える」。川柳にすると「鼻血なら 責任とれよ 美味しんぼ」。ただし、「これはデマではありませんフィクションです」という言い抜けがいつもある。ドキュメンタリー並の破壊力(ややこしくする力)はキープしたまま、都合のいい時はフィクションとくる。困ったもんや。

手を変え品を変え反論しても、相手は幽霊のようなもの、弾が命中することは絶対にない。真面目な議論が盛り上がれば盛り上がるほど、フクシマのややこしさが全景に出てくる。そしてそれが、いつしか現実の福島に風評被害をもたらす。

一番、真剣に怒っておられると思うのが北村隆司ハンの「笑って済ませられない『美味しんぼ』騒動 」。川柳にすると「鼻血なら 洒落では済まぬ 美味しんぼ」。お気持ちはよく分かるが、ワシとしてはこの記事には反論したい。

記事中に「日本をカルト国家にしないためにも、笑って済ませられる問題ではないと考えた。」とあるが、カルトの最大の予防は嘲笑やと思う。例のオウムにしたところが、「教義におけるチベット仏教との齟齬」なんてことを語るより、「誰でも出来る空中浮遊」の方が、よほど効果的やったと思う。

ちょっとだけ「笑って済ます」から、そのカルトの社会的影響力が温存される。よってたかって、とことん笑い飛ばしたら、少なくとも、当分はカルト以上の存在にはならん。嘲笑軍団。真面目な人や団体に対してこれをやるとイジメになるが、はじめから「社会をややこしくする」ことを狙う連中相手なら、遠慮はいらんやろ。

今回の騒動でも、「またボケがやらかしよったで」「ヒバクで鼻血やて、あほらしぃ」「金もらっとるんやろ、少しは気合い入れてマシな話を作らんかい。ドアホ」というのが世の中の基本姿勢やったら、フクシマの風評被害が福島に転移することは、かなり防げたと思う。

そやから、ワシは「事実の歪曲」や「事実誤認」は、とことんネタにして笑ったる覚悟や。

鼻血なら 笑い飛ばすで 美味しんぼ

実は、あの鼻血。ホウシャセンとは関係無いと言うことが、福島を2分間取材して分かった。

前チョーチョー「ヤマオカさん。これから『夜のメルトダウン』の取材に行きませんか?」
ヤマオカ   「いいですねぇ」
クリタ夫人  「まあ、あなた鼻血よ!」
ヤマオカ   「こ、こ、これはヒバグが原因だぁ」

今日はこれぐらいにしといたるわ。

※注1)この記事では、人名、地名などで、あえてカタカナ表記しているのは漫画の世界での部分。漢字表記の、実際の人名、地名と区別してほしい。でないと読んでも、訳がわからん。

帰ってきたサイエンティスト
山城 良雄

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