米雇用統計は5月晴れ、リセッション期に喪失した雇用を回復 --- 安田 佐和子

2014年06月07日 10:41

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米5月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比21.7万人増となり、市場予想の21.5万人増より強い結果となった。2012年1月以来の高水準を達成前月の28.2万人増(28.8万人増から下方修正)を下回りつつ、6ヵ月平均の19.2万人を超え労働市場のさらなる改善を示していている。過去2ヵ月分は0.6万人分、下方修正された。なお5月の結果を受け、景気後退入りしてから約850万人も喪失した雇用を回復した(カバー写真をご参照下さい)。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が21.6万人増となり市場予想の21.0万人増を上回った。2012年1月以来の強い伸びを達成した前月の27.0万人増(27.3万人増から下方修正)から鈍化。特にサービスが19.8万人増と、前月の22.4万人増を下回っている。

(サービスの主な内訳)

・教育/健康 6.3万人増>前月は3.9万人増、足元で最大

・ビジネス・サービス 5.5万人増<前月は7.1万人増、増加トレンドを維持

そのうち派遣は1.4万人増<前月は1.6万人増、増加トレンドを維持

・娯楽/宿泊 3.9万人増>2.4万人増、増加トレンドを維持

・貿易/輸送 3.9万人増<前月は7.0万人増、増加トレンドを維持

そのうち小売は1.3万人増<前月は4.3万人増、3ヵ月連続で増加

・金融 0.3万人増<前月は0.6万人増、2ヵ月連続で増加

・政府 0.1万人増<1.2万人増 4ヵ月連続で増加

地方政府が支え、連邦政府は0.5万人減と6ヵ月連続で減少

財政産業は1.8万人増となり、前月の4.6万人増を下回った。5ヵ月連続で増加したなかで、もっとも小さい伸びとなる。

・製造業 1.0万人増>0.4万人増 増加トレンドを維持

・建築 0.6万人増<3.4万人増 5ヵ月連続で増加したなかで最小の伸び

時間当たり平均労働賃金は、市場予想と一致し0.2%の上昇の24.38ドルだった。前月の±0%から上向きに転じている。前年比は市場予想の2.0%を上回る2.1%の上昇。前月は2.0%と、速報値の1.9%から上方修正された。週当たりの平均労働時間は3ヵ月連続で34.5時間となり、市場予想とも一致。製造業の平均労働時間は、前月の40.9時間から41.1時間へ延び2007年以来の高水準を遂げた。

5月雇用統計、NFPの伸びは健全さを維持。

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(出所 : WSJ)

失業率は、市場予想の6.4%を下回る6.3%。前月に続き、2008年9月以来の低水準となる。雇用者数は14.5万人増と前月の7.3万人減からプラスに反転した一方、失業者数は前月比4.6万人減と前月の73.3万人減から増加に転じた。ただマーケットが注目する労働参加率が62.8%と、2013年10月、12月、14年4月に続き1978年3月以来の最低を迎え失業率の低水準維持に寄与した。雇用率は、3ヵ月連続で58.9%だった。経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は12.2%と、前月の12.3%から低下。2008年10月以来で最低を示す。平均失業期間は前月の35.1週から34.5週へ短縮。2010年11月以来でもっとも短くなった。失期間の中央値も、前月の16.0週から14.6週へ大幅短縮。2009年5月以来の低水準となる。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「失業率が4月に急低下した水準を保っただけでなく、民間の278業種のうち62.7%が雇用を増加させていた」と評価。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が労働市場のたるみとして挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率──の項目全ても改善しており、「労働市場の健全化を表す」と好感している。また「離職者1人に対し解雇者数は5.7人、職探しが困難なあまり労働市場から退出した人数も86000人減の697000人とそろって景気回復サイクルで最低を更新した」とあって、17?18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は引き続き現行のペースで量的緩和(QE)を縮小する公算が大きい。同FOMCで公表される経済・政策金利見通し(SEP)最新版では、失業率予想が3月時点2014年末失業率予想・中央値6.1?6.3から小幅に下方向へ修正する可能性が意識される。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、4ヵ月連続で強い伸びを遂げた米雇用統計結果を歓迎しつつ「失業率は前年同期から1.2%低下した半面、労働参加率も0.6%低下しておりFOMCメンバーにとって労働市場の健全性を判断するのは困難」と指摘。賃金の伸びもインフレ目標値2%をわずかに上回る程度であるため、BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストの見解「労働市場の『たるみ』は解消されつあるとはいえ鈍いペースで、賃金の伸びも抑制的」を紹介していた。

(カバー写真 : CNN Money)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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