どこかモヤモヤ感が漂う日米経済状況 --- 岡本 裕明

2014年06月07日 10:47

恒例のアメリカ雇用統計。5月度も20万人越えの好調を維持し、失業率も変わらず、労働参加率も下がらずの結果、市場には安堵の雰囲気に包まれているというのが適切な表現かもしれません。住宅市場にはやや陰りが見えているものの自動車販売はとてつもなく好調でむしろこちらの方が経済をけん引しているのではないかという気も致します。


ただ、報道にもありましたように自動車販売に伴うローンの与信が甘くなっている懸念があり、自動車版サブプライムとも指摘されています。米国は与信が緩むと人々はそこに群がり、あるとき、ダムの決壊のような問題が発生することが繰り返されています。今回こそ、歯止め対策は十分に行ってもらいたいものです。

ちなみに5月の自動車販売は日産、トヨタが二けたの伸びと堅調だったもののリコール問題で揺れるGMはまずまず、フォードは主要メーカーでは最低であり、日米で明暗が分かれたともいえそうです。

全般的にアメリカの景気はスピード感はともかくも前に向かって改善してきていると言えそうです。

さて、昨日はもがき苦しむ欧州をカバーしましたので日本にも目を向けてみたいと思います。

最大のポイントは金融政策と改革のバランスでしょうか?

日経電子版に「首相も読めない日銀総裁の本音」と題して日銀の金融緩和第二弾はあるのか、はたまた、それがさも首相の期待であるがごとく記事にされています。しかし、日銀の目標とする脱デフレは達成し、インフレ率の目標にいかに近づくかという段階にある中で追加の金融緩和期待は黒田手腕を信じているもののさらに保険をかけたいとする政府側の意向のようにも聞こえます。

一方の本来、独立性のある日銀としてはお約束は果たしつつあり、ここから先は政府側の政策主導になるべきとそのバトンを渡したいとところです。では、なぜ、安倍首相はそれでも金融緩和という甘い汁に期待を寄せるのかといえば本来の成長戦略である矢が的を射ることができるのか、疑心暗鬼ということもあるかもしれません。

その中で今、期待のホープとなりつつあるのが法人税減税。結局、金融緩和にしろ、減税にしろマネーという最もわかりやすい、しかし、根本を変えるわけではない抗生物質のような治療に頼るところはやや、心もとない気がします。

いま日本で最も深刻な経済問題は人手不足でしょうか? アルバイトが集まらず、賃金はうなぎのぼり。就職環境も大幅に改善した今、仕事は簡単にゲットしてよい賃金ももらえるという印象を若者に与えてしまいそうです。多くのサービスは機械化で極力労働力が省略されています。効率性の追及に理解はできるものの何か、寂しいものが残ります。懇意にしているトロントの金融関係者と食事をしながらそんな日本の労働市場の話をしたところ、「機械にお金を放り込むことに虚しさを感じないかね? やっぱりサービスは人間から受けたいよね。」というその言葉にやけに重みを感じてしまいました。

日米ともに景気の回復に向けて確実に歩を進めているもののなにかしっくりこない引っ掛かりのようなものがあるのはなぜなのか、その解明にはもう少し時間がかかりそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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