コカコーラ、マクドナルド大幅減益~アメリカ人ジャンク離れか --- 安田 佐和子

アゴラ

▽コカコーラ

飲料メーカー大手が寄り前に発表した7-9月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比14%減の21億2200万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は48セントと、市場予想の54セントより弱い。ただ北米のボトル事業の再フランチャイズ化にかかる費用を除いた場合は、53セントとアナリスト予想平均に近づく。売上高は0.4%減の119億7600万ドルと、市場予想の121億1000万ドルを下回った。為替変動を除いた場合は、1%増となる。

世界全体での飲料販売量は1%増となり、一部アナリスト予想の3.4%増に届かず。地域別では肥満率の高い米国を含む北米が1%減だったほか、欧州も5%減と全体を押し下げた。一方でユーラシア・アフリカ大陸が5%増と強い伸びを示したほか、南米とアジア太平洋はそろって2%増となる。飲料別では世界全体のソーダ類販売量が1%増と、1999年以来の落ち込みを示した1~3月期から2期連続でプラスを維持。飲料水・ジュース類は2%増で、ミネラルウォーターとエナジードリンクが7%増と寄与した。粗利益率は61.3%と、4-6月期の61.7%および前年同期の60.9%および前期の61.1%を上回った。

見通しについて、「為替変動による好ましくない影響」を指摘。その上で「10-12月期の営業利益に約7ポイント、2014年通期では約6ポイントの押し下げを予想する」と試算、従来見通しの上限に達する。長期的な1株当たり利益の伸び率は5-9%増、売上高は4-5%増を予想。税引き前利益の目標として6-8%増を掲げる一方で、2014-15年はいずれも目標以下にとどまる見込みだ。

節減計画の見直しを発表。2019年までに年間30億ドルの経費節減を目指し、2月に公表した3カ年計画の10億ドルから拡大させる。ムーター・ケント最高経営責任者(CEO)は、「長期的な財務パフォーマンスを強化するため」、従来案より規模の引き上げが必要と認識したと説明した。

コカコーラは2月、家庭用飲料・コーヒー抽出機メーカーであるキューリグ・グリーンマウンテンとの業務・資本提携を発表。提携の一環として9月、コカコーラは傘下にある「オネストティー」のキューリグ抽出機向けカップ版をリリースした。

コカコーラとの、夢のコラボはいつ?
keurig
(出所:Keurig Green Mountain)

▽マククドナルド
ファーストフード最大手が寄り前に発表した7-9月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比30%減の10億680万ドルだった。2007年以来で最大の減益となる。1株当たり利益は1.09ドルと、市場予想の1.37ドル以下に。売上高は5%減の69億8700万ドルと、こちらも市場予想の71億8000万ドルを下回った。既存店売上高が3.3%減と市場予想の3.0%減より落ち込みが広がっており、客足減少が一因だという。

地域別でみると、タコベルをはじめバーガーキングやウェンディーズなど競争が激化するなかで主力の米国が3.3%減と、市場予想の2.9%減より大幅な減収となった。アジア太平洋・中東・アフリカは9.9%も沈んだ。米食肉大手OSIグループの中国現地法人「上海福喜食品」で、地元メディアが消費期限の切れた食肉を販売した問題が痛手となり、特に中国や日本が押し下げている。ただし、市場予想の10.6%減ほど悪化していない。欧州は1.4%減と市場予想の1.0%減より弱い。英国の強いパフォーマンスを遂げた一方、ウクライナ情勢緊迫化を背景にロシア、ウクライナが下押し。米欧による経済制裁を受けるロシアは対抗手段の一環か衛生面の問題を指摘し店舗の検査を断行、売上減少に追い打ちを掛けていた。また、ドイツも弱含んだ。

なおマクドナルドの競合チポトレ・メキシカン・グリルは20日、好決算を発表。 引け後に発表した7-9月(第 3四半期)決算では、調整済み1株当たり利益が前年同期比 56.9%増の1億3080万 ドルだった。希薄後の1株当たり利益は4.15ドルと、市場予想の3.84ドルより強い。売上高も30.6%増の10億 800万ドルと、市場予想の 10億600万ドルを上回る。既存店売上高も19.8%増と、市場予想の17.2%増 を超えていた。かつてマクドナルドはチポトレの筆頭株主だったが、2006年に保有していた株式を全て売却した経緯がある。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年10月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。