米民主党「歴史的大敗」は日本へどう影響するか --- 岡本 裕明

2014年11月06日 10:51

歴史的敗北。ヘッドラインに書き並べられた言葉は日本での民主党大敗を思い出さずにはいられません。オバマ大統領にとっても今回の事態はあまり考えたくはなかったと思いますが、当然想定していたはずです。私も形勢不利とは半年も前から指摘させて頂いたのはアメリカでオバマ大統領が十分にリスペクトされていない空気が漂っていたのをそれなりに感じていたこともあるでしょう。


新聞には敗北理由についてオバマケア、格差を挙げているところもありますが、私はズバリ外交の失策が大きかったと思います。正直、国内経済についてはリーマン・ショックから順調な回復を見せ、失業率は5.9%(9月統計)まで回復、FRBは金融の量的緩和を終了し、シェールガスにシェールオイルとアメリカの自前主義が芽生えています。少なくとも経済不振の欧州、日本、成長率の低下が目立つ中国と比べ「よくやった」と本来褒められるはずであります。

ところがアメリカ人はそれを評価せず、メンタルの中で強いアメリカを再び求め始めた気がします。ロシアへの徹底抗戦はその一つでしょう。北アフリカの春もアメリカの影響があまりにもない中でなし崩しに起きたことに「何か違う」と思っていたことでしょう。ウクライナにおいてはもっと中途半端となってしまいました。最近ではニュースにもならなくなりましたが、国境を隣接し、ガスの供給を止められたら困るウクライナの落としどころはある程度答えありきだったのではないでしょうか? そこに無理に分け入ったのがオバマ大統領でした。

アジア政策もオバマ大統領の本来であればもっとも力を入れる外交分野であったにもかかわらず、ブレーンからアジア通がいなくなり、中国と頓珍漢な外交をしてしまいました。特にミシェル夫人がオバマ大統領とは別に中国で1週間ほど滞在したあの判断は何だったのかさっぱり分かりません。

とすれば、私はこの歴史的敗北とは民主、共和の政策論争ではなく、オバマ大統領自身のオウンゴールが続いたと見た方がすっきりします。アメリカ国内でも所謂政治離れは起きており、無党派が増えていることは事実です。今年の初めのギャラップの調査では42%が無党派と答えており、二大政党の構造そのものが時代にマッチしていないともいえるのです。

共和が主導するであろう議会においてヒーローは見当たりません。いや、その可能性を持った人はいるのかもしれませんが、まだ芽が出ません。民主はクリントン氏が今後、確実に旗振りをしますから政党の色付けでは民主の方が有利だったはずなのです。大統領の仕事とは政策指導だけではなく、アイデンティティを作り出す色濃さが必要です。アメリカとは何か、アメリカの進む道といった本質を捉えていくとやはりアメリカは世界のリーダーでなくてはいけない、警官もやる、強い経済と政治力で地球ベースで世界を導くことを望んでいた気がします。

では、今後2年間に何ができるか、でありますが、案外たくさんあります。まず、注目される原油価格政策は明らかにプーチンの首根っこを掴むであろうし、日本や欧州の再生をサポートするはずです。イラクのイスラム国にとってもあまりおいしい話ではないでしょう。原油価格の市場は小さいですから価格を下落させることはさほど難しくないはずで、あとは調整弁のサウジアラビアをどう口説くか、そこだけだったはずです。同国の国家予算はバレル80ドルベースとも言われていますから予算を下回っても今、原油の大放出をしなくてはいけない理由が存在するのです。そこは誰も指摘していません。多分、アメリカのシェールオイルが決め手だったと思いますが。

中国と韓国については日本との和解を確実にし、アメリカがフロントラインに立たなくてもよいようにすればよいでしょう。その道筋はきちんとできつつあります。特に昨日、韓国が竹島における恒久施設建設を中断すると発表したのはあまりにも大きな同国の外交姿勢の変化であります。多分、習近平国家主席が朴槿惠大統領とも調整しているのでしょう。2015年は日中韓の色合いは明らかに変化するはずです。

それ以外にも欧州、イスラム国、南アメリカへの影響力など様々な努力は継続しなくてはいけませんが、多分、直接手を下さなくてもできる方法を取るはずで、2年後の選挙に向けたアメリカの国家体制を裏で操ることになろうかと思います。その点においてレームダックしたオバマ大統領はゴルフを楽しむことは出来るでしょう。ただ、御仲間4人で楽しいゴルフになるのか、それはオバマ大統領のみぞ知る、という事でしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年11月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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