起業精神でつかんだ青学の初優勝

2015年01月04日 00:40

※青学駅伝チームのFacebookページより
青学駅伝FB
どうも新田です。あけましておめでとうございます。新春早々、LINE社のサマンサタバタさんのFacebookでキャリコネのウジイエ毒舌編集長と小競り合いを起こしたカドで「お前はつまらん」と所払いを食らい、メディア業界引退も勧告されてしまいました。おそらく三が日明けにもBLOGOSから追放されそうです(苦笑)。まあ、そんなどうでもいい私事のドロドロを一瞬で吹き飛ばす、爽やかな風となったのが青学の箱根駅伝初優勝ニュースでした。関係者の皆様、桑田さん、原坊さん、蓮舫さん、小久保監督、おめでとうございます。


箱根は一応、記者時代の2009、10年の2回、取材したことがあります。2009年は東洋大の柏原君が新・山の神としてデビューした年で懐かしいですね。その年、まさに33年ぶりに箱根の地に戻ってきたのが青学でした。残念ながら他大学の担当だったので直接取材する機会は無かったのですが、その当時は「へー、青学って駅伝やってたんだ」と驚いた記憶があります。

青学の駅伝を再建した立役者は、原晋(はら・すすむ)監督。朝日産経もチーム強化の秘訣として監督が10年間のサラリーマン時代に培った、目標管理等のビジネスの手法を持ち込んだことを挙げています。

とはいえ、目標管理くらいなら他のチームでもやっている。私がかつて取材した他のチームでも自主性や創意工夫を高めるために部員同士のディスカッションを徹底させて課題を洗い出したり、人事マネジメントで言う「360度評価」のような手法で「お前はちゃんと今月の目標を達成したのか?」的な管理をしたりしていました。わが母校の駅伝部に至っては、こんなビジネス書まで出しちゃっているわけです。

「総合力」で勝つチーム術 早稲田駅伝チームに学ぶマネジメント
渡辺 康幸
日本能率協会マネジメントセンター
2011-11-03



そこで私が朝日の記事の中でとりわけ着目したのは、原監督がどういう経歴を歩んできたのか。中国電力では同期が本社で活躍するのを尻目に若い頃は支店に配属され、幅広い業務をこなしたこと。そして社内公募に敢えて応じて出向した先の子会社を5人規模から3年で100人規模に発展させた、というくだりです。

立て直しに役立ったのは、陸上を離れて仕事をした10年間のサラリーマン生活の経験という。「自分で言うのも何だけど、伝説の営業マンだった。箱根駅伝もビジネスも一緒です」

 広島・世羅高で主将として全国高校駅伝で準優勝。中京大から中国電力に進み、1年目に故障して5年で選手生活を終えた。同期が本社で活躍する中、配属されたのは支店の下の営業所。「一番下に回されたお陰で仕事を覚えることができた」。企画、広報、営業と何でもこなした。社内公募に手をあげ、出向して5人で始めた子会社を3年間で100人規模に育てた。

以前、元文科副大臣の鈴木寛さんが面白いことをおっしゃっていました。ダイヤモンドオンラインの連載記事の打ち合わせでのこと。「30代で社長になれる人材となれない人材」を分けるのは、社会人として最初に歩むキャリアパスに差異があるようです。ポイントは「牛後ではなく鶏口で働くこと」。大企業よりは中小企業、あるいは大企業勤務であれば本社よりも地方の支社で働けというのです。なぜなら大組織の末端にいるより、小さな組織の、トップの出来るだけ近くで働くことでリーダーの考え方を学ぶことができるから。とりわけ経営者が従業員と最も異なる点は非定型業務の連続であること。与えられた業務(定型業務)をソツなくこなせばいいわけではないのです。かばん持ちを積極的に引き受けることで移動中やサシ飲み時に愚痴を含めた悩みを聞き、その問答を続けるだけでも視野が広がるというわけです。

そうして小さい組織で幅広く修業を積み、早く部下を持つことでリーダーシップやマネジメントの素養を養っていけるわけです。鈴木さんは、駒崎さん等の社会起業家やヤフーナンバー2の高橋マーサの元カレ等のIT実業家を多数育てた教育者ですから説得力がある。有名人ではない教え子の方でも大手広告会社に入社後、地方に配属された方が“帝王学”をいち早く学べやすいキャリアパスを歩み、20代終わりに子会社の役員に抜擢されたそうです。こうした話を聞いていると、おそらく青学の原監督も支店業務で支店長等の要職にある方の仕事ぶりを間近に見て学び、30代には子会社で実際に組織を回して育てていくという疑似起業体験を通じて実践力を養うという順調なキャリアパスだったことが想像できます。

監督就任当時の青学の駅伝は30年近く箱根から遠ざかっていたという実質ゼロからのスタート。家族を抱えながら会社も辞めて退路を断ったあたり、起業と同じ重い決断です。聞けばこの10年の間には廃部の危機もあったそうで、セコムを一代で日本一のセキュリティ会社に育て上げた飯田亮さんの言葉を借りれば「仕事というのは、やめなければ本物になる。続ければ、必ずものになる」。初の栄冠は起業スピリットと執念の賜物だったのではないでしょうか。

記事を書かれた朝日新聞の増田記者におかれましては、初優勝も含めた優勝争いに加わってくることをしっかり見越して丹念に取材されています。ただ、一般紙のスポーツ取材の視点なので、原監督のマネジメントについては十分に掘り起こせていない話もありそうですね。このあたり、日経の運動部やビジネス誌のライターさん、あるいは最近スポーツ記事のイノベーションを展開しているNewspicks編集部のオリジナル記事あたりで、ビジネス視点からの青学勝因分析記事を読みたいものです。ではでは。

新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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