再び動機は「人を殺してみたかった」という闇

2015年01月28日 15:25

名古屋でまた常軌を逸する殺人事件がありました。殺人の容疑で逮捕されたのは、名古屋大学理学部1年の女子大生です。彼女は、同じ名古屋市内に住む77歳の女性を斧で撲殺し、取り調べでの動機では「人を殺してみたかった」と供述しているようです。被害者の女性は、2014年12月7日から行方不明となり、警察が捜索した結果、遺体が容疑者の自室から発見されました。容疑者は年をまたいで1ヶ月半以上も遺体と一緒にいた、ということになる。


「人を殺してみたかった」という言葉から、すぐに2014年7月に長崎県佐世保で起きた女子高生による同級生殺害事件が想起されます。この犯人も県立進学校に通う成績優秀な生徒だったらしい。また、2000年に愛知県豊川市で起きた男子高校生による主婦殺人事件でも、犯人は「人を殺してみたかった」と供述しています。この男子も進学校に通う成績優秀な生徒だったそうです。さらに、2007年には、福島県の男子高校生が実母を殺害し、切断した頭部を自首した警察に持って来た事件も起き、この犯人も県内有数の進学校に通っていました。

周囲からは表面的に「成績優秀」とされている子どもが、評価と内面との間にギャップを生じ、精神的に追い詰められる、というのはステレオタイプな見方かもしれません。ただ、この共通点には何かがある、と考えても不自然ではないでしょう。彼らと我々の違いは、いったいどこにあるのか。単に「人殺しは悪い」と唱えていても、彼らの動機の真相はなかなかわかりません。

一方、殺すことが「常軌を逸している」のなら、なぜ我々は他人を殺さないのか、という問いも可能です。第二次世界大戦中の米軍の調査によると、敵の攻撃にさらされていても敵に向かって発砲しない兵士が約半数いたらしい。「殺さなければ殺される」戦争という極限状態でも人を殺さないというのも普遍的な人間存在なんでしょう。

当方の父親は、買ってきた生きたニワトリを庭で絞めて殺し、熱湯を掛けて羽をむしってクリスマスのご馳走にするような人間でした。中高年世代は多かれ少なかれ、生物の生き死にを間近に感じながら育ったんだと思います。しかし今では、家畜の屠殺は人目の届かないところへ隠され、生き物を殺す、という実体験がないまま育つ人も多い。

上記のような一連の事件との関係を乱暴には言えませんが、生き物の生き死にに触れずに育った成績優秀で「好奇心旺盛」な子らが「人を殺してみたくなる」のは、誤解を怖れずに言えばある意味で当然なのかもしれません。しかし、その行為の意味を知ったときにはすでに遅く、頭の中だけで考えていることを実際にやってしまう責任は限りなく重い。いずれにせよ「人を殺してみたかった」という言葉は、そう単純ではなさそうです。

続々・たそがれ日記
高齢女性殺害犯は名古屋大学の女子大生


Why Monster Storm ‘Juno’ Will Be So Snowy
livescience
先週の北米大陸は記録的な大雪になりました。今週明けてからもかなりの異常気象にみまわれているらしい。この「MY BIG APPLE」でも伝えている通り、この大雪をもたらしたのは季節外れのメキシコ湾由来のハリケーンブリザード「ジュノ(Juno)」。表題の記事によれば、このブリザードは米国史上10本の指に入る規模だったそう。風速56kmを超える猛吹雪で視界は400m以下になりました。メキシコ湾の水蒸気をたっぷり含んだ雪雲と超低気圧が東海岸を襲ったようです。
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気象衛星から撮影された「ジュノ」。Credit: NOAA Goes Project

Creative AI: Computer composers are changing how music is made
gizmag
人工知能による作曲は、音楽の生成過程を大きく変えるだろう、という記事です。動画はコンピュータが作った「バッハっぽい」音楽。平均律などは作曲しやすそうです。ただ、よく聴くとわかりますが、どこかやっぱり「変」。そのうち違和感ない音楽が作られるんでしょう。
Bach style Prelude 29 Emmy Cope

Majority of homeless adults with mental illness have high rates of cognitive deficits
EurekAlert!
当然と言えば当然のような研究結果です。これは、精神疾患を持つ成人ホームレスの多くに、高い確率で認知症がみられる、というもの。カナダのトロントの医療研究機関の調査です。カナダでは毎年20万人以上がホームレスになっているらしい。彼らの大国アルコール依存症やうつ病などの重度の精神疾患がみられるそうです。こうした予想できそうなことを、改めて確かめるのも重要な研究テーマの一つです。

FBI: We Busted A Russian Spy Ring In New York City
BUSINESS INSIDER
いわゆる「新東西冷戦」なるものが現出し、欧米と中露との対立構造がちらほら見え隠れし始めています。こうした政治的な力学の間隙により、中東が真空地帯化してイスラム国などが跋扈する遠因にもなっている。昔の東西冷戦期には、東西のスパイが暗躍し、多種多様な活動を行っていました。この記事によれば、経済制裁下のロシアからニューヨークへスパイが送り込まれ、米国市場や制裁の内容などについて調査活動をしていたらしい。逮捕されたスパイは容疑を否認しているようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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