長く働ける会社=最良の職場なのか

2015年02月09日 19:00

丸の内
どうも新田です。組織になじめない自称ファンタジスタとは私のことです。ところで、Facebookを見ていたら、朝日新聞の神戸操練所と言われるwithnewsが、怒涛の月間1億PVも見えてきた東洋経済オンラインを持ち上げまくった記事が話題になっておりました。


◆東洋経済オンラインの“1億PV”の記事が話題に
世間一般では、佐々木さんがNewsPicksに移籍して、どうなるのやらと思っていたところ、後任の山田編集長がPVを倍増させて、勢いが止まらない展開になっております。

佐々木時代にお呼びがかからなかった常見のアニキはこんな感じで得意気ではあるんですが(笑)。

それはさておき、皆さんの耳目を引いたのはこのくだり。

「残念ながら、佐々木君の時代には、PVを取れない記事もありました。悪口を言う気はないですが、彼らは好きなものを書いていましたから。メディア論やベンチャー論。そういうのはあまりPVがとれない」

山田さんの佐々木さんへの対抗心がにじみ出ているようで、NewsPicksのコメント欄では「なんだかコメントしにくい記事だね」と微苦笑される方もいましたが、私のビジネススクールの友達がNP上で「成長フェーズの変化に合わせて必要とされる才能も変わる」と指摘していた通りだと私は思いますよ。実はいま私はお二人と同時並行でそれぞれお仕事させていただいてますので、それぞれの持ち味があるというのが実感です。つまり、佐々木さんは編集者としてマーケティング要素も取り入れたイノベーター気質が強くて、一方、山田さんは敏腕記者としての知見からファクトにこだわった大人のサイトにしようとして狙い通りのキャズム越え達成だったんじゃないかと。

◆長く働く会社は働きやすいのか
ちなみに、その東洋経済オンラインで最近の人気シリーズが会社ランキングもの。生涯賃金だとかお給料がらみでの切り口もあるわけですが、一読者としては、けさのこの記事にはちょっとオヤッと思ったところが正直ありました。

就活生必見!「平均勤続年数」トップ200社
…(略)…志望企業選びにはさまざまな観点があるが、「働きやすい」会社であるに越したことはない。日本の雇用慣行である「年功序列」や「終身雇用制度」が崩れつつあるといわれて久しいが、それでも「同じ会社で長く働きたい」というのは、まだまだ一般的な考えではないだろうか。そこで、今回は従業員が辞めずにどれぐらい長く働いているかを示す「平均勤続年数」に着目して、「平均勤続年数が長い」トップ200社のランキングを紹介しよう。…(略)…

それでランキングのほうを見てみると、1~5位はJR四国とか東武鉄道とか中国電力とか、こてこてのインフラ系の会社が3つも入っていて、2位のNTTファイナンスも電話代の徴収とかやってる、天下の通信グループの金融部門会社で、超絶安定会社。ま、零細個人事業者の私などは無縁な世界のこととして、いつもならこの記事スルーなんですけど、たまたまFBで知り合いの元地方紙記者の方が10位に河北新報がランクインしていたことに微妙な意見をお持ちだったわけです。新聞業界からはほかにも道新(25位)やら毎日(73位)やら中国新聞(85位)などなど。ちなみに私が昔いた会社は142位で、朝日は119位に入っておりました。

こうなると、記事の切り口に疑問が浮かぶわけですよ。新聞社にいたことがある故のバイアスもあるとは自覚はしつつ、鉄道会社とか電力会社みたいな顔ぶれも見合わせると、規制に保護されてきた業界もありまして、結局は業種業態的な特殊性から、そこで働く人はただ単に市場性のあるスキルが身に着けられず、「会社を辞めたくても辞められない」に過ぎないんじゃなかろうかと。私だけじゃなくて、あの記事を見た新聞関係者やOBはそんな感じの反応でした。

◆「回転ドア」のない新聞業界
回転ドア
それで、前段のウィズニュースの記事を酒の肴とばかりにFBで、某新聞社OBの方といろいろ話していたのですが、仮に私がいま新聞社とかどこかのメディアで記者としてジャーナリズム復帰する場合、あきらかに記者を辞めずにいなかったら絶対に得られなかったビジネスなり、ネットなり、選挙なり、政界裏事情なりのインサイダー知見を持ちかえることができるね、と。

しかし、そのOBの方が述べたことが印象的で、「新聞業界は回転ドア社会じゃないのが駄目。新田さんが読売に復帰するとか、佐々木さんが東洋経済に復帰するとかも許されるようにならないとね」と指摘してたんですね。彼は語学力が達者なので、外国のメディア事情にも精通しているわけですが、伝統メディアと新興メディア間の人材往来も珍しくないアメリカのメディア業界の転職事情のレポートを引用されつつ、そんな話をしておりました。

まあ、つまり、「長く働き続けられる会社」で続々とランク入りする日本の新聞業界などは人材の流動性が恐ろし過ぎる程なくて、ある意味、それがひとつの停滞感になっているような気もするわけです。なにかそういう昭和的雇用慣行のにおいが漂う感じもあり。。。いや別に古巣に復帰したい、というのではないんですが、たとえば政治部の記者だった人が、政治家の秘書を数年やって、またどこかの新聞社で政治取材をするなんてのは、かなり深い記事も書けるようになると思うし、専門記者養成の秀逸な方法じゃないかと。もちろん立場が変わることのモラル遵守は絶対必要ですけどね。

最近は歴史のある大手企業の一部で、起業経験者の復職を認める動きもちらほらあるようでして、雇用の岩盤慣行にも少しは風穴も空きつつあるのかと感じますが、起業率のアップを安倍さんが促進したいなら、自民党のセンセたちにはこのあたりの慣行についても検討いただきたいと淡い期待を抱いた次第です。以上、常見のアニキに怒られそうな記事でした。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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