「突然、涙が出てとまらない!」という経験はないだろうか。涙が出る理由は「刺激から目を守るため」「感情が揺さぶられているため」などとも言われる。しかし、理由がなく涙が止まらないということは他の要因も疑わなくてはいけない。
いま、注目されている書籍がある。『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)だ。Twitterで30万リツイートを獲得し、NHK、毎日新聞、産経新聞、ハフィントンポストでも紹介された過労死マンガの書籍版である。
著者は、汐街コナ氏。デザイナー時代に過労自殺しかけた経験を描いた漫画が話題になり書籍化にいたった。監修・執筆は、精神科医・ゆうきゆう氏。自分の人生を大切にするための考え方が、わかりやすくまとめられている。
■突然、涙が出てとまらない
――今回は、汐街コナ氏の当時の状況を振り返ってもらった。
「ある日、突然、涙が出てとまらない。突然立てない。起きられない。動けない。熱もないしケガをしているわけでもないのに、どこも悪くないのにおかしいな。どこも悪くないんだから頑張らないといけない思っても動けない。すでにストレス過多で限界に陥っている可能性があります。」(汐街コナ氏)
「普段どおりのことができない時点で十分『おかしい』のです。『どこも悪くないのに』という考えは捨てて、ゆっくり休んでください」(同)
――個人差の問題ではあるが、ストレス耐性も人それぞれである。ストレスと共生できる人がいれば苦手な人もいる。
「昔、在籍していた会社の人から聞いた話です。ある社員が苦手な人の隣になったとき苦手な人がいる側だけにジンマシンが出ました。席替えをしても苦手な人が逆になったら、今度はそっちだけに出ました。ストレスの出方は人によりいろいろです。体は正直なのです。」(汐街コナ氏)
「自分がいまストレスを受けていると自覚することは大切です。私もなるべく自覚して、その後、ストレスになりそうなものは一切シャットアウトしています。」(同)
■結局どうすればよいのか
――汐街コナ氏は、本書の中で「心に薬をぬって包帯を巻いて修復に専念してください」と答えている。なによりも自己防衛が大切であると。
「シャットアウトできない場合もあるでしょう。そのような時には環境を変えることも考えてください。今日なんか起きたくない。もうムリ!そう思ったら、身体が出している控えめのSOSかも知れません。素直な気持ちに従ってください。」(汐街コナ氏)
――汐街コナ氏の生々しい体験を、精神科医・ゆうきゆう氏が解説する内容には、リアリティがある。現代社会で働く、仕事に追われるすべての人におすすめしたい。
参考書籍
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)
尾藤克之
コラムニスト
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