わたしの新京都20景(2)

若井 朝彦

わたしの新京都20景(1)
からのつづき・・・

6/20 八寸

わたしはフードポルノは好まない。しかし京料理の八寸だけはその自制をみずから破る。かならず季節のものを用い、小さい器に巧みに盛り込み、しかし余白はかならず残しておく。あたかも食材と食器による俳句。栄養学ともガストロノミーともまた違う何か。

7/20 家

数寄屋造りの町家、商家の町家といろいろあるが、ほっとするのは、こじんまりした職人町の木造、また郊外の木造。路地やら家の前で野菜の無人販売をしている所はまだまだ多い。

8/20 小路

あるときのこと、タクシードライバーが問わず語りに話しはじめた。「京都にやって来て思ったことは、細い道にもいつも人が歩いている。夜でも多い。だから京都には犯罪が少ない」のだと。だからそうなのかはわたしにもよくわからない。だが、他の都市に比べてということでなら、職と住も、食と住も、街中で接近していることはたしかだ。

9/20 近代現代建築

社寺仏閣古建築の多い京都ではあるが、新しくて珍しいもの、近未来的なものもまた少なからず。この重層性が京都の肝かもしれない。肯定的にいえば懐が深い。しかしおそらく本当の所は、自分にとってよく判らないものは、あえて関知干渉せず。

10/20 鉾町

京都の中心部、祇園祭の鉾町も、あるときまではドーナツ化が止まらなかった。だが最近は高層住宅が増え、人口の減少は底を打ったようだ。新しい住民が祭に加わる例も多い。観光化にも歯止めがかかり、催事から歳事へ。歳事から祭事へという流れが見える。

2017/04/09 若井 朝彦
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