動きは遅すぎるが評価できるJIS法の改正

日本経済新聞が5月16日付で「JIS サービスも対象に 経産省、国際標準化めざす」と報じている。産業構造審議会に検討委員会を設置して、今夏中に改正案をまとめるそうだ。

JIS規格は「工業標準化法」を根拠法として定められている。法の第1条(目的)は次の通りである。

この法律は、適正且つ合理的な工業標準の制定及び普及により工業標準化を促進することによって、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増進その他生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

これを読むと気づくように法の対象は「鉱工業品」に限られている。しかし、実際にはサービスに関わるJIS規格も定められてきた。国際標準化団体であるISOやIECは鉱工業品だけでなくサービスに関しても標準化を進めている。JISのような国内標準は国際標準に整合するのが原則なので、国際標準を受け入れると自動的にサービスも含まれてしまうのだ。

僕はIECの「SyC AAL」という委員会で日本代表を務めているが、この委員会の業務範囲には、「enables cross-vendor interoperability of AAL systems, services, products and components」と、システム・製品・部品と並んでサービスについて相互運用性を実現すると書かれている。サービスを別に分けようという考えは国際標準化団体にはない。

サービスの標準化という「脱法行為」を合法化しようというのが今回の法律改正である。世界の流れから見たら遅すぎるが正しい方向である。

5月16日に「知的財産推進計画2017」が決定した。てっきり工業標準化法の改正も含まれると思ったが、チェックしたら記述されていなかった。しかし、この法改正はサービスの時代を反映する大改革である。