昨日、Yahoo!個人に投稿したこの記事が拡散している。PVは今のところそれほどでもないが、信頼している人たちから共感して頂いており、嬉しい。経産省若手官僚レポートは、ズルい 霞が関ポエムに踊らされてはいけない(常見陽平) – Y!ニュース タイトルがすべてを物語っているが・・・。ネットで話題となった経産省の若手官僚のレポート、あれを礼賛する人はバカだと思う。いや、バカはさすがに失礼だ。撤回し、訂正しよう。知性、理性が足りず、品性もなく、ネットを使っているわりに情報リテラシーも低く、意識高い系で実際は問題意識も低い人たちだろう。さらには実際、一部から礼賛されてしまったことについて危機感を抱いている。昨日は、いてもたってもいられなくなり、若手官僚による美しい言葉を装い、国民を手懐けようとする悪辣な企みを糾弾し、彼らを弾劾すべく、ひたすらキーボードを叩き、それが知的レベルの高い学生・労働者・市民の強い支持を得たわけだが・・・。私が前出のエントリーで言いたかったのはこういうことだ。・よくも悪くもMETI(経産省)っぽい。社会人基礎力、ワーク・ライフ・バランス、プレミアムフライデー(笑)など、キャッチーなものを作ろうとするが、本質的な解決につながらないもの、問題に対する解決策の関係が怪しいものが散見される。ベテランも若手も、METIとはこういう人たちの集団なのか。・論じられている問題については目新らしさはまったくない。様々な立場の人が、様々な場で論じてきた。これまでの議論の積み重ねに不誠実ではないか。・しかし、「霞ヶ関ポエム」により、それをあたかも自分たちが発見し、問題提起したものに見せようとしている。そのポエムのレベルも、例えるなら岩波文庫よりも、ケータイ小説なみ。・ネットでウケそうな論点、切り口を上手く盛り込んでいる。SEO対策を十分に行っているかのような印象。
・データやファクトの使い方が恣意的。明らかに事実誤認なものも。
・このような国作りに加担してきたのは経産省そのものではないか。敬虔な反省をもたないまま、論じるのは卑怯。
・他省への批判、領空侵犯も巧妙。
・若手であることを利用して物を言うのは卑怯。いや、経産省が若手を利用しているようにすら見える。彼らは御用若者、プロ若者。
・これ自体が、ポピュリズム的アプローチ。
簡単に言うとこういうことだ。そして、これが拡散し、礼賛されてしまうことについて危機感を抱いてしまうのである。
いわば、御用若者によるシンゴジラごっこなのだ。官僚たちによるネットポエムポピュリズムの実験とも言えるものではないか。これこそがMETIの「自省ファースト」なのだ。すべてが、計算済なのだ、経産省だけに。
ただ、拡散させてしまった者にも問題がある。生きた現実を反映する感性も知性も喪失してしまっているのだ。
例によって「じゃあ、代替案はあるのか」というツッコミがあったが、そういう意見は全うな批判のようで、適切ではないから気をつけた方が良い。このような時には、知識人は代替案だなんだという前に、世の中に第2、第3の視点を提供することが大切なのだ。知性によって、社会の暴走を食い止めることが必要なのである。
また、若手官僚の意見によって議論が深まったなどという発言も散見されるが、拡散と議論は違う。今、我々が気をつけなければならないのは、政治家や官僚が庶民の意見を聴いているかのように装うポーズなのだ。
普遍性を装った美しい言葉に手懐けられてはいけない。このレポートと、礼賛自体が、官僚の腐敗そのものである。我が国を憂い、勇躍決起した次第だ。
このエントリーを読んでいる労働者・学生・市民諸君!PV至上主義集団のように成り下がった経産省を断罪すべく起ち上げるのだ。我々の血税を使ったシンゴジラごっこを断じて許してはならないのだ。
なお、経産省のワーク・ライフ・バランスの取り組みについては、拙著で数ページかけて批判している。経産省の若手官僚諸君!私の考えについては、この最新作を熟読せよ!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。