“共謀罪”落としどころあれこれ⑤

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テロ準備罪という名称の使用だけでも止めてみたら

政府はテロ等準備罪と呼んでいるのだが、政府御用達新聞となってしまったのかしらと思わせるような紙面づくりに懸命な某新聞は、記事の冒頭に何箇所も「テロ準備罪」という大見出しを振るようになってしまっている。

「等」のあるなしは、この法律の肝に係ることであって、いくら何でもそれはないだろうと思うのだが、どうもマスコミ界でも印象操作が大流行のようである。フェイクニュースとまでは言わないが、世論操作の一環としてこんなことまで始めたのだろう。

どなたが仕掛けているのか分からないが、どうも関係者の皆さんが必死過ぎる。

その内、どこかで何か大きな騒動が起きるんじゃないかな、と思わせるような異常な雰囲気が横溢している。

もっと落ち着いたら如何?
一度頭を冷やした方がどうもよさそうですよ。

そう、声を掛けたくなるような慌てぶりである。

何とか落としどころを探ろうと、あれこれ頭を捻り、無い知恵を絞っているのだが、どうも無駄な作業で終わりそうだ。自公の国対の皆さんは、この通常国会の会期中に何としても共謀罪関連法案を可決成立させたいようだ。

私があれこれ落としどころを書いているのは、あくまで自民党や公明党の中で本気でこの法案の懸念事項の解消を願っている良識的かつ聡明な国会議員の皆さんにアピールするためなのだが、どうも動き出した歯車はどなたも止められないようである。

ああ、これじゃあ折角知恵を出しても何の役にも立たないな、と少々肩を落とし始めたところである。

落としどころを考えていると次から次へと様々なアイデアが湧いてくるのだが、誰も振り向いてくれそうにないな、ということになると、途端に頭の回転が鈍くなる。

まあ、どなたでもそうなってしまうのだろうが、私の場合は特にそうである。
少しでも役に立ちそうだと思えば、それなりに実際に役に立ちそうなことを考え付くのだが、まったく何の役にも立たないな、と思う時には、滅多矢鱈自分のアイデアを開陳するようなことはしない。

今の段階で言えることは、テロ準備罪と呼ぶのは止めましょうよ、羊頭狗肉を売るようなものですよ、ということくらいだ。

新聞社が率先して世論操作のお先棒を担いだり、人心を惑わすようなことはしない方がいいですよ、と申し上げておきたい。

今、国会で審議中の法案は、テロ対策法案ではない。
今、国会で審議中の法案は、277の罪の「計画」を新たに処罰対象にしようという法案だ、ということくらいは、国民の共通認識にしておいた方がいい。

落としどころ、などとはとても言えないが、大事なことだと思うので、落としどころの一つとして挙げておく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年6月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。