ファミリーマートは一部店舗で営業時間を短縮する実証実験を実施し売り上げや人件費への影響を検証し、24時間営業を継続するか判断するそうだ。深夜帯の来店者が少ない地域では経営にプラスの効果が出る可能性が高い。コンビニ業界では常識ともいえる24時間営業を見直すために実証実験を行うというファミリーマートの姿勢は素晴らしい。
クロネコヤマトのヤマトホールディングスは2017年4~9月期連結決算について営業損益が128億円の赤字だったと発表した。業績悪化の要因は人件費で、宅配の人員を増やしたり外部委託費用がかさんだのが理由だそうだ。
宅配業界は再配達問題に苦しんでいる。ネット通販の増加に伴って配送量が増加する一方で、利用者のライフスタイルの変化によって再配達が増えた。宅配業界は人員増で対応しようとしたが人手不足によって宅配ネットワークは崩壊しつつあると、専門家は問題を説明している。
問題解決のために、世田谷区では公民連携事業の一環としてオープン型宅配便ロッカー(PUDO)が公共施設に設置される。周辺住民の利便の向上とともに、再配達の減少によるCO2の削減効果も期待されている。
宅配便ロッカーは宅配業界から熱い視線を浴びている。ヤマトHDが9月に発表した経営計画には「オープン型宅配便ロッカー(PUDO)、コンビニエンスストアなど、受け取りのタッチポイントを拡充します。同時にクロネコメンバーズの機能拡充を進め、お客さまとの双方向コミュニケーションを強化することで、自宅外での受け取り比率10%を目指します。」とある。
しかし宅配便ロッカーだけが解決策とは限らない。夜間に受取人が多くいる地域であれば営業時間を午後3時から午後10時にずらしてもよいだろう。過去の受け取り実績を分析して在宅可能性の高い時間に最初の配達をする方法も有効かもしれない。受け取り時間帯を指定していたのに不在だった人からは再配達手数料を徴収しても構わない。
ファミリマが営業時間を短縮する実証実験を行うように、宅配業界も再配達問題の解決に向けて多様なアイデアの可能性を実証してほしい。宅配便ロッカーをむやみに増やすよりも社会全体として費用が節減され、利便が維持される方法が見つかるかもしれないからだ。もちろん、学生街や農村地帯といった地域性を考慮して、複数の方法の取られてもよいだろう。