文書改竄の原因は「理財局長の答弁」ではない

2018年03月14日 11:30

国会では佐川元理財局長の参考人招致が争点になっているが、どうも辻褄が合わない。あの程度のことで公文書を改竄するリスクは、その利益に見合わない。本当の原因は理財局長の答弁ではなく、首相答弁ではないか。2017年2月19日の衆議院予算委員会で、安倍首相は森友学園の設置認可について、次のように答弁した。

私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。

繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います。

これは繰り返される質問に苛立ち、自分は無関係だということを強くいっただけだろうが、そのあと安倍昭恵さんと森友学園の「関係」がいろいろ出てきた。問題の決裁文書にも「夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と籠池理事長が主張したと書かれているが、これはけさの国会答弁で安倍首相が否定した。

改竄前の文書には「産経新聞社のインターネット記事に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される」という記述もあるが、いずれも籠池理事長の話だ。

けさの国会で、安倍首相は「書き換え前の文書を読んだが、私や妻が関わっていないことは明らかだろう」と答弁したが、これは「関わっていない」とか「関係していない」の定義による。「名前を利用された」という関係はあるので、元の文書を国会に出して「妻は被害者だ」と答えればよかった。

ところが「総理大臣をやめる」という話が出てきたので、財務省は困ったのだろう。昭恵さんの名前が決裁文書に出てくると「関係」が明らかになり、内閣総辞職ということにもなりかねない。昭恵さんの部分を削除したら毒食わば皿までで、他のあやしい部分もすべて改竄したのではないか。

これは理財局のレベルではなく、国会答弁をとりまとめる大臣官房レベルの意思決定だと思われ、事務次官も知っていた可能性がある。改竄が始まった「2017年2月下旬」というのは、首相答弁の直後である。

これが首相答弁をきっかけとする特殊な事例だとすれば、役所の答弁資料すべてにかかわる問題ではないが、他にまったく改竄がないという証明はむずかしい。財務省の調査ではなく、国会が調査委員会を設けて調査するしかないだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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