マスコミの「過剰報道」が国会を迷走させる

2018年04月14日 16:30

森友学園が一段落したと思ったら、今度は加計学園で「首相案件」という話が出てきた。これは事実だとしても違法行為ではない。シリアでは空爆が始まったというのに、こんなくだらない話に国会審議を浪費している場合ではない。

他方、大阪地検特捜部は財務省の文書改竄事件について不起訴の方針と伝えられている。これは当初から慎重論が強く、そういう検察首脳の方針に不満な現場が朝日新聞に「リーク」したものと思われる。捜査情報の漏洩は明白な国家公務員法違反であり、マスコミに取材源を秘匿する権利はない。

リークは過剰報道の原因になる。私の経験でいうと、リクルート事件は刑事事件としてはグレーだったが、朝日新聞が警察から未公開株の譲渡先リストを入手して政治家の実名を暴き始めたため、大事件になった。このとき朝日が政治家の名前を小出しに報道し、それを政府が否定したあと確認するなどの危機管理のまずさが、事件を大問題に発展させた。

刑事罰で厳格にリークを禁止することは不可能ではない。毎日新聞の西山事件のように、記者を逮捕して証拠を押収すれば、公務員も記者も起訴できる。この事件では、アメリカ側では公開されていた協定を「密約」にした外務省に非があったが、最高裁でも有罪になった。

しかし捜査当局の公式発表以外の報道を禁止したら、マスコミは当局の広報機関になってしまう。リークがなかったら、財務省の文書改竄(これは起訴できなくても違法行為)は世に知られることがなかっただろう。それを内部告発するインセンティブは、当事者の誰にもないからだ。

だから判例でも取材源の秘匿には配慮し、よほど明白な違法性がない限り刑事罰には問わない。これは法治国家として好ましい慣例とはいえないが、国家権力を監視するマスコミの公益性とのバランスで個々に認められるべきものだ。

政府にとって大事なのは、過剰報道に振り回されないで「違法行為かどうか」を基準にして危機管理することだ。隠蔽は最悪だが、報道を小出しに確認するのもよくない。違法行為に限定して事実を徹底的に調査し、特別委員会をつくって集中審議すべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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