子どもへの面談を100%実現!明石市施策は全国に展開できる

2018年06月29日 14:00

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は兵庫県明石市の泉房穂市長が、都議会に足を運んでくださいました。

手話言語・コミュニケーション条例やひとり親支援で画期的な政策を実施しており、私もこれまで視察で何度も足を運んでいる明石市。

参考過去記事:
● 兵庫県明石市の「手話言語・障害者コミュニケーション条例」とは
● 明石市の「離婚後のひとり親家庭への養育支援」がすごい
● 生まれて初めて市長になりたいかも…と思った日

泉市長は「児童虐待防止」においてもやはり、全国に先駆けた取り組みを展開しており、今回はその施策実施を厚労省や関係機関に訴えるために上京されたとのことでした。

国基準を上回る児童相談所の配置や、常勤弁護士の雇用などその政策は多岐に渡るのですが、特にすごいのは

こどもスマイル100%プロジェクト

という、明石市内に住む子どもたちとの100パーセント面会・健康状態の確認を目指し、実現した施策です。

未就学児童(学校に入学する前の子どもたち)には支援の手が行き届きにくく、保護者が乳幼児健診などに自発的に来ない場合、行政や関係機関が子どもたちに接触することはできません。

そして児童虐待の多くは、乳幼児健診などで健康状態が確認できなかった子どもたちに対して発生しています。

そこで明石市は、市内に住むすべての子ども(保護者ではない)に入学までにトータル4回、必ず面談することを制度化します。

これを実現したポイントは、以下の2つです。

①児童手当の支給方法の変更

乳幼児健診などで市職員が面談できなかった保護者に対しては、市が支払う児童手当等の給付金の銀行振込をストップし、職員による手渡しに切り替えます

給付金がいらないという人はまずいませんから、手渡しをするときに保護者・児童と接触する機会を強制的に発生させることができるわけですね。

なお

「乳幼児健診を受けないと、給付金を支払わない!」

というように罰則的な扱いはできませんが、支給方法を変更することは法的にも問題ないとのことです。

②保健師による土日・夜間を含む自宅訪問を実施

それでも乳幼児健診に来ない・自宅から出てこないという家庭に対しては、行政側から手を伸ばして自宅訪問を実施します。

保健師の数を増員して、日中に会えない場合は土日・夜間の訪問も行い、民生委員とも連携しながら粘り強く家庭訪問を実行。

平成29年度はこのアウトリーチ型の訪問により、乳幼児健診に来なかった約250人の子どもたちと接触することに成功したそうです。

それでも会えない場合は警察や児童相談所等の関係機関と連携して調査を行い訪問、最終的に平成29年度は「すべての子どもの健康を100パーセント確認」を実現しています。

この明石市の取組は、その気になれば他の自治体がすぐにでも真似できる画期的な施策と言えるでしょう。

児童手当の支給を「子どもと面会できないと手渡しに切り替えますよ」と宣言するだけで乳児検診の受診率が劇的に上がるので、実際のところ振込停止手続きまでに至った例はなく、特に事務的な経費も増えていないそうです。

アウトリーチ型の家庭訪問には人員が必要なので、こちらにはそれなりの予算・リソースが必要になりますが、それでも億単位という支出にはなりません。

行政が本気になれば、「すべての子どもたちに面談する」ということは可能なのです。

しかしながら行政には、そもそも「子どもたち本人と会わなければいけない」という問題意識が希薄だと言えます。

例えば泉市長が就任した直後にも、こんなやり取りがあったそうです。

市長「明石市の子どもたちは大丈夫なのか、みんなチェックできているのか?」
職員「大丈夫です」
市長「どうやって確認しているの?」
職員「親(保護者)にきちんと確認しています」

…まさにこれが、多くの自治体における行政職員の「普通の意識」でしょう。

子どもは親に従属する存在であり、親の意向さえしっかり確認できていれば問題ない。そこに子どもへの視点・子ども自身のための施策という考え方は欠落しています。

児童相談所の職員が「保護者との接触」で良しとしてしまうのも、こうした意識の延長線上にあるものと言えるでしょう。

泉市長は

「明石市は子どもたち本人に絶対に会うんや。会えない家庭には私が直接訪問して、窓ガラスを割ってでも入って会ってくる!

と職員たちに宣言し、職員たちが奮起した結果(?)、市長が直接腰を上げなくても面談率100%を実現しているそうです。

トップである政治家がリーダーシップを持って行政職員の意識を(良い意味で)打ち壊し、

「子どものために、子どもたち本人に直接接触・支援する」

という制度を確立すれば、目黒区事件のような「目に見えた衰弱」を伴う虐待案件は少なくともほぼすべて発見することができるはずです。

もちろんこうした施策を実施するのは、住民と直接接触する基礎自治体(区市町村)になりますが、広域自治体である東京都にもできることはたくさんあります。

児童相談所を統括しているのは東京都なのですから、そのリーダーである知事が率先して

「東京都民である子どもたちには、必ず行政が直接会って支援を届ける!」

と宣言し、基礎自治体を後押しする仕組みを構築することはできるはずです。

現実的には、例えば区市町村が増員する訪問保健師の人件費などを補助する仕組み等が考えられるでしょう。

まさに長島昭久代議士も提唱している、「日本版ネウボラ」の実現です。

虐待死ゼロに向けて、いま東京都に全国の厳しい視線と期待が集まっています。幸いなことに、こうしたすぐにでも取り入れられる「先進事例」はたくさんあります。

明石市長の人柄や他の取り組み・提言については、社会起業家の駒崎弘樹さんがまとめてくださっているので、こちらもぜひご一読くださいませ。

「子どもたち『本人』への面談100パーセント実現」

を東京都から目指し、議会からこうした制度の実現を強く提言して参ります。

泉市長、昨日は誠にありがとうございました!

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。

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音喜多 駿
東京都議会議員(北区選出)

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