石破茂氏の絶望的な軽さ

山田 肇

総裁選の出馬会見をする石破氏(Facebookより:編集部)

石破茂氏の書いた「自民党総裁選への決意など」を読んで、これでは当選するはずはないと思った。

石破氏は、わが国は高齢化や一極集中などの危機に直面しているとしたうえで、「自立性と持続可能性を基本に設計図を書き換えなくてはなりません」と国家運営の設計図を書き換える意欲を示している。ここまでは結構だ。

しかし、設計図に相当するだろう『政治・行政の信頼回復100日プラン』は、総裁に当選後、「年内の完成を念頭に早急に策定したい」のだそうだ。

石破氏は総裁選に立候補するまでに、政治・行政と信頼を回復させるために何が必要か考えていないかった。それがどうして当選して100日間でプランを策定できるのだろうか。

2009年に民主党、社会民主党、国民新党は『衆議院選挙に当たっての共通政策』を発表し、直後の衆議院選挙で圧勝した。しかし、共通政策の具体化に失敗し民主党政権時代は「失われた3年」と呼ばれている。それでも、彼らは消費税率の据え置きや郵政事業の抜本的見直しという、具体的な共通政策を掲げていた。

一方、石破氏のプランは、官邸の信頼回復、国会の信頼回復、行政の信頼回復だが、具体的に何をするかが読み取れない。官邸の信頼回復には「国民の立場に立った内閣人事局の改革」が挙げられているが、政治主導の行政運営を実現するために設置されたのが内閣人事局である。さらにどう改革すればよいのか、石破氏は何も示していない。そういえば、石破氏の新刊『政策至上主義』も「姿勢論に終始で政策なし」と批判されている。

これほど空虚では石破氏が当選するはずはない。