こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。最近、ポリテックの分野で起業を考えている方々から、ご相談を頂く機会が増えてきました。ポリテックとは、Politics(政治)×Technology(テクノロジー)の意味で、小泉進次郎さんの発言で一躍有名になった造語です。
自民・小泉進次郎氏「“ポリテック”で日本の力を高める」 政治にAI導入を提唱 https://t.co/aD4gIw9JAS
— 産経ニュース (@Sankei_news) April 29, 2018
私は学生時代に「日本政治.com」という政治サイトを起業し、議員になるまで5年間運営してました。テクノロジーで政治を変えていくことは私のライフワークです。そして、いま東京都を起点としたシンクタンク『ポリテック研究所』の設立を構想しています。
『ポリテック研究所』には、2つの大きな役割を考えています。一つは、ドローン・自動運転・ゲノムなど、未来の社会を担うテクノロジーの規制緩和や環境整備を進めていくことです。
例えば、トヨタ・日産・ホンダといった国内自動車メーカーは、2020年頃に高速道路での完全自動運転、2025年頃には一般の公道での完全自動運転の実用化を目標にしています。ドイツのBMWに至っては、2021年に一般道での完全自動運転を実用化する計画です。もちろんテクノロジーの確実な予測は難しいですが、そう遠くない未来に自動運転が当たり前の社会が訪れるのです。
しかし、テクノロジーのインパクトやスピードに政治が追いつけず、実用化に必要な政策投資や法整備が遅れてしまうケースも多々あります。そこで『ポリテック研究所』では、各テクノロジーの最前性でビジネスを展開する方々と政治家が協働して、未来の政策を立案する場を創っていきたいと考えています。特に、東京都の国家戦略特区を活用して、規制緩和や実証実験を積極的に進めていくのが狙いです。
そして、研究所のもう一つの役割は、IT・ブロックチェーン・AIなどのテクノロジーが、政治そのものをどう変えていくのかを提案・実践していくことです。この分野は、海外の方が圧倒的に進んでいますが、日本ではその事例があまり認知されていません。
例えば、ロシアのモスクワ市では、市民にアプリを通じて毎週質問を実施し、質問に対する市民の回答を政策に直接反映させています。モスクワでは、現在214万人の市民がこのアプリを利用しており、市の人口の20%に達する利用者がいます。市民が投票以外の方法で政治に参加する新しい民主主義の形と云えるかも知れません。
実は、かつて私は起業家時代にこのモスクワのサービスを日本で導入したいと考えて、1年近くいろんなアプローチを重ねてきました。その時に痛感したのは、起業家から見て政治家のニーズや実情というのは非常に掴みにくい上に、こうしたサービスに関心の高い政治家を見つけることも、気軽に会うことも難しいという事でした。
そこで『ポリテック研究所』では、海外のサービスや議会の事例を広く研究した上で、テクノロジーによる未来の政治モデルを提案していきます。同時に、Politechサービスの実験にも政治家がコミットしていくことで、起業家の後押しもしていきたいと考えています。
もちろん、まだまだ現段階でのアイデアです。これから詳細な検討を進めていきますが、今年中にはこの『ポリテック研究所』を設立できるように動いていきたいと思います。
編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年8月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。