「中国共産党」と「中国」は全く別だ!

2018年09月09日 11:30

海外中国メディア「大紀元」(日本語版9月6日)に、米議会の「米中経済安全審査委員会(USCC)」が先月24日に公表した「中国共産党の海外における統一戦線工作」という報告書の内容が報じられていた。報告書には中国の海外でのさまざまな工作が記述されている。同報告書の概要を「大紀元」の記事をもとに紹介する。

新華社サイトより:編集部

先ず、「統一戦線工作」とは、「敵(自由主義国や国内の資本家、知識人など)を味方の陣営に引き込み、同じ戦線に立たせること」を意味し、中国共産党「統一戦線工作部」がそれを主導している。具体的には、中国共産党政権が欧米諸国で政治、経済、社会、文化各方面に統一戦線を構築することだ。

問題は、中国共産党政権の戦略に対し、欧米諸国はこれまで無知か無関心だったことだ。それが変わったのはトランプ政権に入ってからだという。トランプ政権は40年間余りの対中融和政策を転換させ、軍事的、経済的両分野で対中強硬政策を実施し、中国の軍事的覇権に警告を発する一方、貿易戦争も辞さない姿勢を強調している。

興味深い点は、「中国観(イメージ)」が変化してきたのは米国だけではなく、欧州でも同じということだ。このコラム欄でも報告済みだが、ジグマ―ル・ガブリエル独外相(当時)は今年2月17日、独南部バイエルン州のミュンヘンで開催された安全保障会議(MSC)で中国の習近平国家主席が推進する「一帯一路」(One Belt, One Road,)構想に言及し、「民主主義、自由の精神とは一致しない。中国はグローバルなリーダーシップを発揮し、民族主義、保護主義の復活を刺激し、世界の秩序に大きな影響力を行使し、欧米の価値体系、社会モデルと対抗する包括的システムを構築してきている」と主張し、「現代で中国だけが世界的、地政学的戦略を有している」と警告を発している。まさに、中国の「統一戦線工作」を指摘しているわけだ(「独外相、中国の『一帯一路』を批判」2018年3月4日参考)。

参考までに、ドイツ政府は欧州連合(EU)域外の企業がドイツ企業に投資する場合、これまでは出資比率が25%に達した場合、政府が介入できる規制を実施してきたが、その出資比率を15%を超える場合に政府が介入できるように、規制を更に強化する方向で草案作りに入っている。ドイツ日刊紙ヴェルトが8月7日報じた。ズバリ、中国企業のドイツ企業買収を阻止する対策だ(「欧州でも中国の『スパイ活動』を警戒」2018年8月21日参考)。

同じように、米国は知的財産権や産業技術の保護に力を入れ、「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」と呼ばれる法案により、米国の安全保障を脅かす可能性のある投資や買収を未然に阻止する考えだ。中国を意識した政策だ。

米議会の報告書では中国共産党政権の統一戦線工作を「硝煙のない戦争」と呼び、その目に見えない戦争に対し、トランプ政権は反撃を開始してきたという。

中国共産党の「統一戦線工作」の特徴として「3つのD」、偽装(Disguise)・欺瞞(Deceive)・堕落(Deteriorate)が挙げられる。「大紀元」から以下、簡単に説明する。

① 偽装(Disguise):中国共産党政権から送り込まれた官僚やスパイは様々な肩書を使い分け、相手国に入り込む。狙いはその国の政治、社会、経済界との関係を構築することだ。

② 欺瞞(Deceive):その国の政治、商業、軍隊、学術界などのキーパーソンを取り込むため、名誉や利益、ハニートラップを駆使して買収もしくはコントロールし、中国共産党に有利となるような言論を発表させる。同時に、中国共産党にとって不利となるような言論や政策を阻止させ、共産党にとって好ましくない人物を妨害する。

③ 堕落(Deteriorate):継続的に様々な不道徳的な手段を活用して買収工作を行い、さらに多くのインフルエンサー(影響者)を取り込む。取り込まれた人物らには中国共産党の利益となる言論を広げさせ、中国共産党が当該国で勢力を拡大できるような政策を制定させる。

上記の報告書は、「中国共産党が長年米国の政界と学術界に浸透し、米国のエリートが中国共産党のために声を発するように仕向けてきた。米国が中国共産党に対し警戒を解くよう仕向けるためだ。同時に米国内部で勢力を持つ社会主義者やリベラル派などの左翼勢力と連携し、米国を蝕む。そして米国の政権を奪い取り、最終的には完全に左傾化させ、社会主義国とすることが最終目的だ」という(「『孔子学院』は中国対外宣伝機関」2013年9月26日参考)。

米議会の報告書のハイライトは、「中国共産党」と「中国」は別存在という認識を示していることだ。中国共産党は久しく、「中国共産党政権を批判することはとりもなおさず中国を批判することだ」と主張し、「中国共産党」イコール「中国」と強調、現政権を批判する声には、“反中国”ジャーナリスト、知識人というレッテルを張ってきた。

「大紀元」は「中国共産党が長年刷り込んできた誤った認識を見破ることを意味する。中国共産党は長年『中国と中国共産党は同一の存在だ』と嘘、偽りを発信し続け、中国国民を欺き、全世界を騙してきた」と述べている。

冷戦時代、旧ソ連共産党政権、旧東欧共産党政権を目撃してきた当方もまったく同感だ。中国共産党政権が行っている人権蹂躙、不法な臓器移植、反体制派への弾圧の責任は、一党独裁政治で国民を弾圧する中国共産党にある。中国共産党の蛮行の最大の犠牲者は中国国民だ。例えば、法輪功メンバーたちは中国共産党政権から迫害を受けている。国際社会は中国共産党にその非人道的な政治から決別するように要求すべきだ。

米議会の報告書は、「中国共産党は不公平な貿易によって自身の経済規模を拡充してきた。非合法的な技術の取得による自身の先端科学産業を発展させてきた。そして非人道的な低賃金・人権無視の戦略を用いて外資企業を誘致した。その極みとして、不道徳的な統一戦線工作を通して外国の世論や政策を操り、他国の政権や民主主義社会の転覆を目論んできた」(大紀元)と強調している。

いずれにしても、中国共産党の正体を暴いた同報告書はトランプ政権の大きな実績だ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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