「英検は役立たず、TOEICを取れ」は逆こそ正しい

2018年10月12日 06:00

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

「英検なんて何の役にも立たない。ビジネス英語ならTOEIC」

そんな風潮があります。英検もTOEICもそれなりにやり込んだ私は、この話を聞くたびに「その逆こそ正しいのに…」といつもガッカリさせられます。日本人のTOEIC信仰はすごくて、多くの人は次のような認識を持っています。

「英検は中高生がやるもの」
「英検は読み書きが中心で、会話の能力を示す指標にはならない」
「学校では英検、ビジネスではTOEICだ」

と。そもそもこのような主張をしている人の9割は、英検を準一級以上取得しておらず、英検の素晴らしさを真に理解出来ていないと考えます。

今回は世の中の風潮、「TOEICはOK、英検はNG」ということと真逆の主張をしたいと思います。

英検とTOEICを比較

細々したことまでは書きませんが、ざっくり英検とTOEICの違いは次のようなものがあります。

<英検>

  • 一度取得したら一生有効な資格
  • スコアではなく、合格・不合格
  • 試験は「単語」「リスニング」「リーディング」「スピーキング」の配点比重が高い

<TOEIC>

  • 取得したスコアの有効期限は2年間
  • 合否ではなく、スコア
  • 試験は「リスニング」「文法」「リーディング」の配点比重が高い

英検は筆記試験の他に英語面接も英作文あるので、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が試される試験です。TOEICにもSpeaking & Writing testというアウトプット力を試されるものがありますが、こっちはあまり知名度がなく受験者数も多くありません。実質、TOEICで測るのはリーディングとリスニングとなっています。

TOEICは「ある程度英語力」までしか測れない

私がTOEIC信仰の風潮に警鐘を鳴らしたいと思う理由には3つあります。それは

  1. TOEICはビジネスの現場で役に立たない。
  2. TOEICではある程度までしか英語力を測ることができない。
  3. TOEICを勉強する過程で英語力はつかない。

というものです。

  1. TOEICはビジネスの現場で役に立たない。

「TOEICはビジネス英語だ」と思っている人はすごく多いと思います。しかし、ビジネスの現場で求められるのは「専門英語」です。私は外資系で財務・経理や経営企画の仕事をしていましたが、その時に必要だったのは米国会計基準の理解や、英文会計の単語などです。英語上級者でも、会計の仕事に携わっていなければ「US GAAP」の「GAAP」が「Generally Accepted Accounting Principles」の略称であることや、「IFRSとJ GAAPとUS GAAPの違い」はまったく理解できないのではないでしょう。

TOEICはビジネスの現場での会話を想定していますが、現場で最も必要なのは専門語です。もちろん、英検も専門語を学べる試験ではありませんが、「TOEICをやればビジネス現場で困らない」というTOEICへの過信があると思うので、この点には一石を投じたいと思います。

  1. TOEICではある程度までしか英語力を測ることができない。

TOEICはその試験の特性上、ある一定以上の英語力を確認することが出来ない試験です。TOEICで高スコアを取るためには、短時間に簡単な問題をたくさん処理する能力が必要です。つまり、ある程度の実力がついたらあっさりと800点や900点の入り口まではたどり着いてしまうのです。

そのため、TOEICで900点を持っていると言われても、その実力にはあまりにも大きな差が生まれます。これまで山ほどTOEIC900点オーバーの人とお会いしてきましたが、実力には大きな差があることを見てきました。

  • アメリカ人と英語で本気で議論してもガンガン論破出来る人
  • 会議中に「やばっ、今の聞き取れなかった。助けて!」と目で何度も合図する人
  • 翻訳をするとものすごく日本人英語っぽさ全開の文書が上がってくる翻訳家
  • 「この人本当に日本人なのか?」と思わされるほどのネイティブにしか聞こえない会話力の通訳者

この4人は全員TOEIC900点オーバーの人たちです。スゴい人もいれば、あれ?と思う人もいます。繰り返しですが全員900点以上のホルダーです。TOEICスコアはある程度までしか実力を測ることが出来ませんから、過信は禁物です。

でも英検は違います。英検は準一級、一級レベルとなると使用されている単語も難しいですし、英文もかなり歯応えのあるものばかりです。リスニングも優しい内容の問題がたくさん出るのではなく、かなり長いものを聞いて理解出来なければ正確に解答できません。少なくとも私がお会いした一級ホルダーの中で「あれ?」と感じる人は皆無でした。

英検は上へいくとかなり難しい試験ですから、それを突破出来る人は相応の実力があると思わされます。200問簡単で短文がたくさん出題されるTOEICとは、英検は全く異なる性質を持っているのです。

  1. TOEICを勉強する過程で英語力はつかない。

そもそも試験の意義とはなんでしょうか?

「合格してナンボ」

という意見もあるかもしれません。しかし、私は試験を受ける過程で実力がつき、合格することで実力があることを証明できる事に意義があるのではないかと思うのです。ですので、ただ「合格・不合格」という、中身の伴わないシグナルを獲得するだけでしかないなら、そこにやる価値はあまりないと思います(医師、会計士試験などの免許は別ですが)。

TOEICは勉強をする過程で実力がまったくつきません。一つ一つの問題は簡単なのですがとにかく数が多く、時間制限も厳しい試験です。簡単な問題をたくさん解いて、試験慣れはするでしょうが、その過程で肝心の英語力はつかないのです。

英検は学習する過程で英語力がつく試験

その点、英検は学習する過程でしっかりと英語力が身に付く優れた試験です。

よく、「英検1級の単語はネイティブも首を傾げるもので、奇問、難問ばかりで実用的ではない」という意見がありますが、まったくの大間違いです。私は英検1級の勉強する過程で膨大な語彙力を身に付ける事が出来ました。そこで覚えた単語には、今でも毎日ものすごく助けられています。

私は株式や不動産、仮想通貨など投資をする上で、海外の経済・金融・企業業績の情報をWeb記事や動画ニュースで見ています。そうした情報を見る上で、「あ、この単語、昔英検で覚えたやつだ」と思うことはしょっちゅうあります。英検の長文教材を通じて語彙力を高めましたが、あの頑張りがなければ今みたいにスイスイ英語の文献を読む力は絶対についていないと言い切れます。

英検の教材を使って英語学習を進めれば、その過程で英語力を身につけることが出来るのです。具体的な学習法は著書の中で紹介しています(著書についての詳細はこちら)。

TOEICの勉強をしても英語は上達しませんが、英検は学習するプロセスで英語力を高める事が出来るようになっています。どの程度実力がついたかは、試験を受けることでチェックが出来ます。本当に英検は素晴らしい資格試験だと思います。

転職で役に立つのはTOEICだが…

これは認めざるを得ないことですが、転職市場で役に立つのは英検1級よりTOEIC800点の方であることは間違いありません。私はTOEIC800や900点を持っているより、英検1級ホルダーの方が「この人は英語力がある」と思いやすいのですが、世の中は実際逆に回っています。残念なことですが、世の中、TOEICを過信する人が多いのですがそれで世の中が回っているなら乗っかるしかないというのが実情です。そういう意味では英検の合格証書より、TOEICスコアの紙の方が価値があるのです。

英検は持っている人同士でその実力が分かりあえる試験なんですよね。私は英検1級ホルダーにお会いするといつもお互いに話が盛り上がります。

「どの教材使いました?」
「何回受験して合格しました?」
「みんな否定的ですが、いいですよね~楽しいですよね~英検」

という具合です。

転職市場で面接官に見せるためにTOEICを取る、これは否定しません。特に若い人で外資系転職をしたい人などは、ビジネス現場で英語を使用する経験を積むための経験がない状態ですから、そんな時はTOEICスコアを持参する他はないのです。

しかし、本当に英語力を身に付けたいなら英検を推したいですね、私は。英検を頑張れば絶対に英語力がつきます。その英語力でTOEICを受ければあっさりハイスコアが取れるでしょう。でもその逆はありえません。

「試験は合否だけでなく、学習するプロセスで実力を高めることこそに意義がある」と賛同してくれる方なら、英検の良さを理解出来るのではないでしょうか。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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